1970,71年の夏季,札幌において晴天積雲の移動速度をステレオ写真方式で観測した.また雲の周辺の気象条件として札幌管区気象台のレーウインゾンデの資料をつかって解析して次の結果を得た.
1.雲底が地上高700m以上の高い晴天積雲では,その移動方向は,その雲の高度(雲底)の風向とよく一致するが,700m以下では地形の影響が大きい.
2.晴天積雲の移動速度は一般に雲底高の風速よりおそいが,そのなかで次の傾向が認められた.低い雲ほど,また大きい雲ほどおそい傾向がある.また風の垂直シャー(上方が速い)が大きいほど雲速に比べておそくなる.
これらの傾向は,雲内で小さい運動量が下方から輸送されるということで理解される.
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