人間の音声を駆使した “ヒューマンビートボックス” という新たな音楽表現は日進月歩の発展をみせており、海外では愛好者のコミュニティや研究者らの間で、活発な議論が展開されている。一方、日本では技術面への関心は高いものの、 概念形成に関する議論は不足しており、その拠り所となる日本語の資料が必要であった。
そこで本稿は、世界最大の愛好者コミュニティの様々な論考や世界初の解説書などが示す内容に、国内外の “ビートボクサー” と呼ばれる演奏者らへの聞き取り調査の結果を加え、ヒューマンビートボックスの歴史的背景や音楽表現としての様々な特徴や可能性を整理した。その結果、日本におけるヒューマンビートボックスの捉え方と世界的な流れにはずれがあったことや、ビートボクサーAfra(本名:藤岡章)が世界と日本との架け橋となり、日本におけるこの音楽表現の発展に大きく貢献したことなどが明らかとなった。
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