近代日本は社会的, 経済的に幾多の構造的欠陥を孕んでいたが, 今次の戦事までは壇加する入口をかなりよい生活水準に保つてきたといえよう. 戦後は狭い国土と乏しい資源に対する過剰の入口が現在並びに將来の大きな問題としてすでにあらゆる面から論議されている.
人口動態統計については, 毎月, 毎年厚生省から, 5年毎には国勢調査による人口静態統計が発表されている. 水島等
1) 2) によ6府県別或は大都市別にみた地理的なものの外に, 叉石田
3) 等による職業別人口動態の解析が行われている. 幅田等
4) による入口計画の基礎として地理的なある局地的実態調査を広汎に実施した文献もある. 西尾
5) は人口現象が自然的, 社会的条件に規制され, 反映発現するものとして本邦入口を社会生物学的に観察している.
人口現象はある地域の自然的, 社会的, 経済的諸条件のすべてを集約した形であらわす指標である. 死亡とか出生ということも入の集団である入口の一現象にすぎないのであつて, 種々の入口現象と相関聯しており, 人ロという全依膝に於て把握してはじめて意義を生すべきものである. 館
6) のいうごとく人口現象は公衆衛生の対象の全体であり, その診断学的指標であり, その規制条件でもある. それ故入口現象を理解するには可能である限りの指標をあつめて, その開係に於いて入口を観察することが大切である. 人口は二つの環境即ち自然的, 社会的環境によつて影響されるのは当然である, この指標として生物学的, 経済学訥, 教育文化的, 社会学的等の因子を集めることが望ましい.
著者は現佳する立揚から東京を控えた代表的農村県としての茨城県について, 上記の入口現象を入口静態, 動態統計及び社会生物学的因子を考慮して追求したのでこの結果について本報文以下3編に分けて報告したい.
府県別生命表は水島等により作球発表されているが, 著者はこれにならつて茨鱗県の昭和25年の国勢調査結果をもとに同年及び翌26年の人口動態統計を用い簡易生命表を作成した. これは茨城県の衛生状態及び県民の健康状態を最も端的に表現するものと考えられる.
抄録全体を表示