3種の水現像型感光性フレキソ印刷版について, 光化学反応性と反応後の版構造の変化を化学的な視点から分析した. 露光による架橋的光重合の進行は試料のバルクの
13CNMRスペクトルより版全体の反応率を, ATRFT-IRスペクトルにより露光面および非露光面表面近傍の反応率を見積もることができた. 光反応は露光側の版表面で優先的に進行し, 露光時間とともに版内部まで反応が進行する傾向が捉えられたが, 版構成に応じてその挙動に差が出ていることがわかった. 露光された試料は試料の深さ方向に反応率分布が生じるので, 反応後に未反応モノマーが非露光面側から露光面側に徐々に拡散し, その様子が経時的に測定したATRFT-IRにより捉えられた. 未反応モノマーの拡散性は, モノマー構造だけでなく版組成や反応の進行状態の影響を受けていた.
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