肥後ギクの細胞遺伝学的行動を明らかにし, 交配用の花粉源としての能力を検討するために, 16品種を供試して減数分裂および花粉稔性を調査した.
すべての品種の花粉母細胞の第一分裂中期において大部分の染色体は二価染色体を形成した. しかし, 少数の一価および四価染色体の形成も観察された. また, すべての品種の第一分裂および第二分裂の終期において遅滞染色体および染色体橋が, 四分子期において大きさや数が異常な小胞子が観察された. 花粉稔性は品種間差が大きく, 0.4-97.7%の範囲で変異し, 供試品種は高稔性 (71~100%) の8品種, 中稔性 (31~70%) の5品種および低稔性 (0~30%) の3品種に分けられた.
以上の結果から, 肥後ギクの大部分の品種はキクの育種のための花粉親として利用できると考えられる.
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