高熱が持続し,汎血球減少や肝機能障害,播種性血管内凝固症候群(DIC),商フェリチン血症,高トリグリセリド血症などの検査所見を特徴とし,骨髄をはじめとするリンパ網内系組織での組織球の増殖と血球貪食がみられるものが血球貪食症候群(Hemophagocytic Syndrome, HPS)である. HPSには一次性のものと二次性のものがあり,一次性HPSの予後は不良で致死的経過をとる.二次性HPSは,軽症のものから再燃を繰り返し進行するもの,劇症で多臓器不全から死に至るものまで異質性のみられるのが特徴である.本症の多様な病態は,種々の原因によるT細胞およびマクロファージの異常活性化による高サイトカイン血症に起因することが明らかとなってきた.原因ならびに基礎疾患の有無,重症度に応じた適切な治療が行われるようになり,重症型の予後も改善されつつある.
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