大学において複数の情報システムが導入され,サービスが展開され,それぞれが独立に認証機能を提供するため,サービス毎に多くのIDとパスワードを記憶しなければならない問題点などから,全てのシステムで同様に用いられる統一認証が必要となってきている.山口大学では統一認証を全学で定常的に利用してもらうため,利用者にとって利用しやすいもの,提供側(管理者)にとって提供しやすいものであることを考え,利用者・提供者の立場にたって統一認証を提供し,自然に構築されるように配慮し,独自の取り組みを行い,統一認証を導入してきた.本学メディア基盤センター(以下,本センター)の主要サービスに利用者を誘導することで,ネットワーク接続におけるユーザ認証の統一,メールサービスにおけるユーザ認証及びメールアドレスの統一,Webサービスにおけるユーザ認証の統一を総合して,統一認証を実現した.本センターの認証サービスのための個人情報は,当初図書館との連携だけだったが,学生部の学生情報,人事課の教職員情報をそれぞれ連携させることで,大学関係者の概ね全ての情報を保有することができ,現在では本センターの認証が大学の標準の認証として位置づけられている.本稿では,山口大学における統一認証導入の経緯等について述べるとともに、大学における認証導入のあり方、情報サービスのあり方について議論する.
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