電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
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macOSマシン群におけるメッシュ型NFSホーム共有による分散型計算機ネットワークの構築
—Unixにおけるレガシーな技術とモダンな技術の融合—
山田 泰司高橋 純島田 裕池口 徹
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2024 年 18 巻 1 号 p. 7-28

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抄録

NFS (Network File System) はUnixで用いられる分散ファイルシステムである.1990年代のUnixを用いた計算機ネットワークでは,どのマシンにログインしても各ユーザのホームディレクトリがNFS共有されることが通常であった.このようにローカルネットワーク内においてユーザのホームディレクトリをいつでも参照・共有できる環境は,計算機資源の有効利用,情報・技術の共有などのメリットを有している.一方,ストレージがHDDからSSDへと高速化された現在では,たとえ10 GbEのように高速な伝送速度をもつネットワーク規格を用いてもNFSファイル共有のデータ転送速度がボトルネックとなり,高速なマシンの性能を引き出すことは困難となる.そこで,SSDのアクセス速度をコンソールでは落とすことなく,ローカルネットワーク内でのユーザのホームディレクトリを共有できるネットワーク環境を構築した.具体的には,各マシンのホームディレクトリをNFSエクスポートするメッシュ型NFSホーム共有による分散型計算機ネットワークの構築を,モダンなUnixであるmacOSで実現した.本稿はその技術解説である.

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