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上野 純子, 粒来 崇博, 駒瀬 裕子, 村岡 弘海, 松島 彩, 峯下 昌道, 井上 健男
ジャーナル
フリー
気道過敏性検査は気管支喘息の診断および治療評価に有用である。本研究では気道過敏性の評価法であるアストグラフと,呼吸抵抗の分析法として注目されているモストグラフの両者による評価を行い,両者の関連性を比較検討した。
対象は,アストグラフで気道過敏性を評価した症例のうち,モストグラフを測定した137名を抽出した。アストグラフにおける呼吸抵抗(Rrs: respiratory resistance at 3 Hz)はモストグラフの各指標と相関を示し,気道反応性についてはAX 以外の指標と相関を示し,logPD35GrsについてはX5,Fres,AX の指標と有意な相関を示した。気道感受性(logDmin)についてはX5,Fres,AX の指標と有意な相関を示した。logPD15Grs についてはX5,Fres,AX の指標と有意な相関を示した。
FEV1とモストグラフの各指標は有意な相関を示したが,FeNO とは関連を認めなかった。今回の検討から,FeNO,FEV1,モストグラフの各指標による気道過敏性の評価は困難と考えられたものの,リアクタンス成分が気道感受性および気道過敏性を反映する可能性があると示唆された。
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髙井 大哉
日本内科学会雑誌
2013年
102 巻
12 号
3167-3173
発行日: 2013/12/10
公開日: 2014/12/10
ジャーナル
フリー
呼吸機能検査は,スパイロメトリー,フローボリュームカーブ,肺気量分画,拡散能など手法が確立した検査項目が多い.一方で,実験的な検査が試みられるも,一般的に用いられるようなものは多くはなかった.最近になって広域周波オッシレーション法および,呼気一酸化窒素濃度計測が保険収載されて,その利用は広まっている.本項では,これらの検査の歴史や,意義,そしてその解釈について概説する.
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磯崎 淳, 小張 真吾, 田中 晶, 安藤 枝里子, 中村 陽一
日本小児アレルギー学会誌
2014年
28 巻
1 号
111-118
発行日: 2014年
公開日: 2014/06/20
ジャーナル
認証あり
【背景】本邦でも強制オッシレーション法による呼吸抵抗検査が可能になりつつある.近年,国産機器である
MostGraph
(Chest社)が開発された.小児では正常値の報告が散見されるが,個々の測定結果に幅がある.また,小児では周波数依存性もあることから,個々の患児での変化を観察することが重要と考える. 【目的】気管支喘息にて治療・管理を行う患児における,
MostGraph
の各パラメーターと呼吸機能検査の変化の関連を検討する. 【対象と方法】気管支喘息で通院中の6歳から17歳の患児で,
MostGraph
による呼吸抵抗検査,呼吸機能検査を施行した63例を対象に,検査項目ごとの差,ならびに変化率の相関を後方視的に検討した. 【結果】実測値の差では,平均R5と⩒
50(ρ=-0.501,
p<0.001),FEF
25-75(ρ=-0.472,
p<0.001)との間に逆相関を認めた.吸気時R5は⩒
50(ρ=-0.524,
p<0.001)との間に最も強く逆相関していた.変化の割合では,吸気時R5は⩒
50と逆相関していた(ρ=-0.515,
p<0.001).しかし,呼気,吸気での
MostGraph
測定値の変化と呼吸機能検査の変化の相関には大きな差を認めなかった. 【結語】
MostGraph
は呼吸機能検査ではとらえられない異なる変化を見出す可能性があり,気管支喘息患児での管理・治療への反映も期待される.しかし,これらパラメーターを具体的にどのように利用していくかについては,今後の検討を要する.
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矢川 綾子, 今井 孝成, 清水 麻由, 宮沢 篤生, 中村 俊紀, 石川 良子, 北條 菜穂, 神谷 太郎, 板橋 家頭夫
昭和学士会雑誌
2015年
75 巻
6 号
641-646
発行日: 2015年
公開日: 2016/09/10
ジャーナル
フリー
強制オシレーション法は安静呼吸で測定できるため,小児において臨床応用が期待される呼吸機能検査法である.しかし,解析における安静呼吸抽出の指標として用いられるコヒーレンス0.7の妥当性が検証されたことはない.学童131名を対象にモストグラフの測定を安静呼吸10回以上で少なくとも3回以上行い,最も安定した呼吸の回を採用した.その後,コヒーレンス0.7,0.8,0.9をカットオフ値としてデータを抽出し結果を比較した.学童131名中基礎疾患や合併症のない95名の健常学童,平均年齢7.6歳±1.4を対象に解析を行った.コヒーレンスの異なる3群における,モストグラフの各測定値R5,R20,R5-R20,X5,Fres,ALXに関して,呼気,吸気,およびその平均値に有意差を認めなかった.また,解析対象の安静呼吸数が不安定な27例を抽出して同様の検討を行った.コヒーレンスの異なる3群における,モストグラフの各測定値R5,R20,R5-R20,X5,Fres,ALXに関して,呼気,吸気,およびその平均値に有意差を認めなかった.コヒーレンス0.7で抽出した安静呼吸は既に基準波形と十分に相関が高いため,コヒーレンスのカットオフ値をさらに上げても群間有意差を認めなかったと考えられた.また,コヒーレンスは呼吸波形の相関性を評価する呼吸の安定性の指標であるのに対し,FOT測定値である呼吸抵抗,リアクタンスはオシレーション波の反応から算出される.このため,相関の高い安静呼吸に基づいた測定値には差がなかったとも考えられた.モストグラフの測定において,コヒーレンスは0.7が妥当である.
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座長:吉川 衛, 山田 武千代
日本鼻科学会会誌
2015年
54 巻
3 号
418-421
発行日: 2015年
公開日: 2015/09/11
ジャーナル
フリー
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片山 均, 三好 誠吾, 片山 晋, 都築 佐枝, 片山 衣子, 石井 美喜, 山口 和子, 水内 泰子, 片山 純
ジャーナル
フリー
HTML
【背景】一般人の肺への健康意識を高めるために肺年齢の普及が進められているが,測定には最大努力呼気が必要である.
【目的】安静換気中に測定可能な強制オシレーション法(Forced Oscillation Technique: FOT)を用いて肺年齢を推定する.
【対象と方法】2017年4月から2018年5月までにFOTとスパイロメトリーを行った18歳以上の男女114例を後ろ向きに検討した.84症例で肺年齢と実年齢の差(実測肺年齢差)とFOT測定値との相関を求めてFOT測定値から肺年齢の推定式を作成し(開発研究),別の30症例で作成した肺年齢推定式を検証した(検証研究).
【結果】開発研究において実測肺年齢差は呼吸リアクタンス,共振周波数および低周波数面積との間に有意な相関を認めた.開発・検証の両研究において,推定肺年齢と実測肺年齢に強い相関を認め,推定値と実測値の一致度も高かった.
【結論】FOTを用いて肺年齢を推定出来ることが示唆された.
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北岡 裕子, 玄山 宗到, 平田 陽彦, 木島 貴志, 田淵 寛人, 星野 朋子
生体医工学
2017年
55Annual 巻
3AM-Abstract 号
158
発行日: 2017年
公開日: 2017/09/13
ジャーナル
フリー
【背景】呼吸周期中は、呼吸筋の活動によって胸腔内圧が変動し、それに伴い、気流量、肺容積、肺胞内圧、そして呼吸インピーダンスが変動する。また、心拍によって心臓周囲の気道が圧迫され、インピーダンス値に影響を与える。したがって、呼吸インピーダンスを詳細に解析するためには、胸腔内圧の変動と心拍変動を同時に知る必要がある。【方法】健常ボランティア8名に対し、異なる呼吸モード(陰圧呼気と陽圧呼気)で、モストグラフ(チェスト社)と指尖容積脈波を同時記録し、気流量、R5、X5と容積脈波の時系列データを得た。【結果】R5とX5のスパイク状の変動が心拍に概ね一致していることが全例で確認された。
MostGraph
の計測時間間隔が0.25秒であるため、直接的な心拍のふぃつたリングは不可能だったが、吸気呼気ごとのデータをそれぞれの持続時間についてアフィン変換し、呼吸周期平均化時系列データを算出したところ、心拍の影響を概ね除去することができた。陰圧呼気モードの際は、呼気中に容積脈波の波高が増加し、X5が低下した。反対に、陽圧呼気モードの際は、容積脈波の波高が減少し、X5が増加した。陰圧呼気モードに限り、X5の呼吸周期変動から呼吸コンプライアンスを推算できた。さらに、R5の気流量依存性と肺気量位依存性、呼気時X5の気流量依存性と気流量補正値を組み合わせることで、閉塞性換気障害の細分類が可能であることを、阪大病院の過去症例の解析で確かめた。
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Toshihiro Shirai, Hajime Kurosawa
ジャーナル
オープンアクセス
The forced oscillation technique (FOT) is a noninvasive method with which to measure respiratory system resistance and reactance during tidal breathing. Recently, its clinical application has spread worldwide with the expansion of commercially available broadband frequency FOT devices, including
MostGraph
and Impulse Oscillometry. An increasing number of reports have supported the usefulness of the FOT in the management of asthma and chronic obstructive pulmonary disease (COPD). However, the FOT is not a surrogate test for spirometry, but should be used complementarily. Furthermore, reference values are not necessarily available and the interpretation of some measured data is controversial. There is a need to update the international statement for not only technical aspects but also the clinical use of the FOT. In this review, we summarize the previously published studies and discuss how to use the FOT in a clinical setting.
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中村 俊紀, 矢川 綾子, 今井 孝成, 山川 琢司, 北條 菜穂, 石川 良子, 板橋 家頭夫
アレルギー
2012年
61 巻
9-10 号
1459-
発行日: 2012/10/25
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
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田中 晶, 磯崎 淳, 小張 真吾, 菊池 信行, 安藤 枝里子, 菅井 和子, 遠藤 順治, 古家 正, 中村 陽一
アレルギー
2012年
61 巻
9-10 号
1459-
発行日: 2012/10/25
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
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福田 啓伸, 吉原 重美, 金子 堅太郎, 市川 純子, 田村 元子, 阿部 利夫, 有阪 治
アレルギー
2012年
61 巻
9-10 号
1459-
発行日: 2012/10/25
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
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小張 真吾, 磯崎 淳, 田中 晶, 菊池 信行, 安藤 枝里子, 菅井 和子, 遠藤 順治, 古家 正, 中村 陽一
アレルギー
2012年
61 巻
9-10 号
1459-
発行日: 2012/10/25
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
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中野 祥子, 中平 淳子, 澤井 俊幸, 尾野 直美, 南 敏明
日本臨床麻酔学会誌
2018年
38 巻
3 号
304-309
発行日: 2018/05/15
公開日: 2018/06/23
ジャーナル
フリー
気道刺激性の強いデスフルランの使用が,抜管後の呼吸に与える影響を調査するため,全身麻酔で経尿道的膀胱腫瘍切除術を施行する患者を対象として前向き観察研究を行った.術前と全身麻酔における抜管後に,オッシレーション波の周波数が5Hzの呼吸抵抗(R5),20Hzの呼吸抵抗(R20)を測定し,セボフルラン群18症例とデスフルラン群14症例で比較した.術前の各測定項目には,2群間で有意差はなかった.いずれの群でも抜管後に,R5値およびR20値は有意に上昇した.抜管後のR5値およびR20値は2群間に有意差はなかった.揮発性吸入麻酔薬の違いによって,全身麻酔前後の呼吸抵抗に差異はないことが示唆された.
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桂 蓉子, 古田島 正樹, 石森 絢子, 糸魚川 幸成, 牧野 文彦, 伊藤 潤, 長島 修, 梶山 雄一郎, 原田 紀宏, 熱田 了, 高橋 和久
アレルギー
2010年
59 巻
3-4 号
463-
発行日: 2010/04/10
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
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森 朱美, 川部 勤, 松島 充代子, 平山 達也, 高木 健三
アレルギー
2010年
59 巻
3-4 号
463-
発行日: 2010/04/10
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
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磯部 全, 原 健一郎, 前野 敏孝
アレルギー
2015年
64 巻
9 号
1254-1260
発行日: 2015年
公開日: 2015/12/08
ジャーナル
フリー
背景:
MostGraph
-01は,日本で開発された強制オッシレーション測定機器である.簡便に呼吸インピーダンスを測定できることから普及が期待されるが,体格の影響も示唆され,パラメーターの標準化が確立していない.目的と方法:本研究は,2014年1月から10月までスパイロメトリー,
MostGraph
-01を施行した呼吸器疾患のない外来患者63名に対して各パラメーターの相関を統計学的に分析し,肥満群(body mass index:BMI>=25),非肥満群(BMI<25)に群別し,相関の相違を検討した.結果:Rrs at 5Hz(R5),Xrs at 5Hz(X5),frequency of resonance(Fres),low-frequency reactance area(ALX)は,肺活量,努力肺活量,一秒量と有意に相関した(
p<0.05).非肥満群に比べ,肥満群はより低いX5,より高いFresおよびALXを示した(
p<0.05).また,Spearman順位相関分析の結果,肥満群に比べ,非肥満群では,肺活量,努力肺活量,一秒量がR5およびX5,Fres,ALXと高い相関を示した(
p<0.05).結論:肥満は呼吸インピーダンス,特にXrsに影響することが示唆された.
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矢川 綾子, 今井 孝成, 山川 啄司, 宮沢 篤生, 中村 俊紀, 石川 良子, 北條 菜穂, 板橋 家頭夫
アレルギー
2012年
61 巻
11 号
1665-1674
発行日: 2012/11/30
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
【背景・目的】小児気管支喘息の長期管理のための客観的評価法として呼吸機能検査が有用である.近年,国産の強制オシレーション法による呼吸機能測定機としてモストグラフ(チェスト社,東京)が開発され,臨床応用が進みつつある.今回は臨床的に安定した小児気管支喘息患者におけるモストグラフの測定値の意義と有用性を検証した.【方法】臨床的に安定した小児気管支喘息患者66名(11.5±3.0歳)にモストグラフ,スパイロメトリーを同時に測定し関係を評価した.【結果】モストグラフ測定値は体格因子と強く相関した.体格因子を除外したモストグラフとスパイロメトリーの間には,R5がFEV_1%の間に,R5-R20とFresがFEV_1%とMMFの間に強い相関関係を認めた.またモストグラフ測定値の,スパイロメトリー測定値や体格因子との重回帰分析でも,R5-R20とFresはMMFが強く影響していた.また%V^^._<25>の70%をカットオフ値とした解析では%V^^._<25>低値群でR5-R20, Fres, ALXが有意に高かった.【結語】モストグラフは小児気管支喘息の呼吸機能検査として有用であり,R5-R20, Fresは末梢気道の指標となる可能性が示唆された.
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西 健太, 松本 久子, 寺田 悟, 小熊 毅, 岸本 曜, 平井 豊博
日本呼吸器学会誌
2020年
9 巻
6 号
463-467
発行日: 2020/11/10
公開日: 2025/07/29
ジャーナル
フリー
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木村 絢子, 赤司 賢一, 熊澤 健介, 渡辺 雅子, 立元 千帆, 井田 博幸, 勝沼 俊雄
アレルギー
2011年
60 巻
9-10 号
1394-
発行日: 2011/10/10
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー
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磯崎 淳, 田中 晶, 菅井 和子, 河野 徹也, 遠藤 順治, 中村 陽一
アレルギー
2011年
60 巻
9-10 号
1394-
発行日: 2011/10/10
公開日: 2017/02/10
ジャーナル
フリー