抄録
【背景】本邦でも強制オッシレーション法による呼吸抵抗検査が可能になりつつある.近年,国産機器であるMostGraph(Chest社)が開発された.小児では正常値の報告が散見されるが,個々の測定結果に幅がある.また,小児では周波数依存性もあることから,個々の患児での変化を観察することが重要と考える. 【目的】気管支喘息にて治療・管理を行う患児における,MostGraphの各パラメーターと呼吸機能検査の変化の関連を検討する. 【対象と方法】気管支喘息で通院中の6歳から17歳の患児で,MostGraphによる呼吸抵抗検査,呼吸機能検査を施行した63例を対象に,検査項目ごとの差,ならびに変化率の相関を後方視的に検討した. 【結果】実測値の差では,平均R5と⩒50(ρ=-0.501, p<0.001),FEF25-75(ρ=-0.472, p<0.001)との間に逆相関を認めた.吸気時R5は⩒50(ρ=-0.524, p<0.001)との間に最も強く逆相関していた.変化の割合では,吸気時R5は⩒50と逆相関していた(ρ=-0.515, p<0.001).しかし,呼気,吸気でのMostGraph測定値の変化と呼吸機能検査の変化の相関には大きな差を認めなかった. 【結語】MostGraphは呼吸機能検査ではとらえられない異なる変化を見出す可能性があり,気管支喘息患児での管理・治療への反映も期待される.しかし,これらパラメーターを具体的にどのように利用していくかについては,今後の検討を要する.