本稿の目的は,都市型消費活動を導く雑誌メディアの役割に着目し,特定都市の消費空間にいかなる意味が付与され,場所イメージがどのようなやり方で創出されてきたのかを探求することである.本稿では,1984 ~ 2002年までに名古屋大都市圏で発行された「都市情報誌」のなかから5誌を選定し,名古屋市の消費空間をめぐる意味変容を①1980年代,②1990年代,③2000年代にわたって時系列的に考察した.その結果,名古屋の場合には,年代ごとに①首都圏との対比,②都市内部の空間的差異,③郊外へのまなざしと,消費空間の意味付与のあり方が変容する様子が明らかとなった.これらの要素は,ときに並存しつつ名古屋の都市表象を構成してきたのである.本稿は,特定都市の消費活動と空間への文化的な意味づけに焦点を当てることで,経済文化地理学的研究の一端に貢献できるものと考える.
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