電子内視鏡において,画像間の処理を行うRGBサブトラクション画像処理装置を開発した.この装置を従来の電子内視鏡に組み込み,各種の胃病変に対し,メチレンブルー散布前後において,RGBサブトラクション処理をおこなった.基礎検討として,メチレンブルーを散布した正常胃粘膜の反射率特性を測定し,その平均ピーク波長を求めた.さらにRGBサブトラクション処理で得られた画像の検討を行うとともに,装置の設定パラメータであるサブトラクションレート,ゲインナンバーの値についても検討を行った.基礎検討よりメチレンブルー散布を行った場合,反射率特性の平均ピークでの波長は452nmであり,ブルー帯域に入っていた.オリジナル画像に対するRGBサブトラクション処理では,R-GとR-B,G-BとB-G,G-RとB-Rの像が類似しており,メチレンブルー散布を行った上でのRGBサブトラクション像により病変部と正常部の境界および表面の変化や構造も明瞭化された.さらにメチレンブルーRGBサブトラクション像より得られた内視鏡像上の正常病変境界は,病理組織上の境界とほぼ一致していた.以上より,本法は種々の胃病変をより明瞭化し,粘膜上での広がりをより正確に評価でき,今後早期胃癌の内視鏡的治療を行う際に応用し得ると考えられる.
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