頚椎症性
神経根症
は保存療法抵抗性の症状を認める場合,手術加療も治療選択肢の一つに挙げられる.今回,頚椎後方すべりに伴う椎間孔狭窄により生じた保存療法抵抗性の
神経根症
に対し後方除圧矯正固定術を施行した1例を経験したので報告する.
47歳女性,右上肢痛,しびれを主訴に前医初診.診察,画像検査から頚椎症性
神経根症
の診断となり保存加療抵抗性であったため当科紹介受診.神経症状は右頚部から右上肢にかけてのしびれと疼痛を認めた.X線画像でC5椎体後方すべり,MRIでC5/C6間の右椎間孔狭窄,CTではC5/C6椎間板の菲薄化および鉤椎関節部に骨棘様の増殖性変化を認めた.通常の頚椎症性変化に加え,頚椎後方すべりにより椎間孔の狭窄が生じ,右C6
神経根症
を呈していると考えた.C5椎弓切除,C6椎弓頭側部分切除と右C5/C6の椎間孔拡大,すべりの矯正を意識したC5~6後方除圧矯正固定術を施行した.術後は上肢痛などの症状は早期より完全消失,術後2年が経過した現在も,症状の再燃なく,経過は良好である.
すべりを伴う椎間孔狭窄による
神経根症
に対する後方除圧矯正固定術は有効な術式であると考えた.
抄録全体を表示