分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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X線回折法による表面凹凸の解析方法の改良とその応用
中島 美香子小坂 雅夫門間 英毅
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2002 年 51 巻 9 号 p. 707-714

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抄録

X線回折計により物体の表面粗さを測定する方法では, 直接物体からの回折線を利用せず, 物体表面に金属薄膜を蒸着し, 表面粗さを複写した膜 (表面レプリカ膜) からの回折線を利用している. 得られた回折プロフィルを分離し, 各ピークの回折角2θ, 回折強度I, 積分強度S などを求め, 回折角のずれΔ2θから偏心量x, 強度比から面積比を演算すると統計結果が偏心量-面積の階段状のグラフとして数値化できる. 本報ではより最適な測定条件 (測定波長・金属膜・照射面積) の組み合わせを求めるため, 凹凸が既知の試料を作製し, 実験・検討したところ, 管球としてCu, 表面レプリカ膜としてAuが最適であり, スリットの幅で決まる有効照射面積は16.2×10mm2と確定できた. 更にこれらの条件を用いた実用例として, 電着水酸アパタイトの表面凹凸測定結果を求めた. その結果, 数種類の凸面の高さを持つ試料の凹凸面積比を統計的に得ることができた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2002
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