分析化学
Print ISSN : 0525-1931
51 巻, 9 号
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報文
  • 田尻 智計, 板橋 豊
    2002 年 51 巻 9 号 p. 667-674
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフィーと質量分析法を用いて, 生体膜の主要構成成分であるホスファチジルコリン (PC) の分子種の詳細を明らかにする高感度で簡便な方法を確立した. 植物油及び魚油から分離したPCを逆相HPLCとエレクトロスプレーイオン化質量分析法 (HPLC/ESI-MS) により分析した. HPLC分析では, 粒径4μmのODS充填剤を含むカラム (25cm×4mm i.d.) と少量の塩基を添加した移動相 {メタノール-アセトニトリル-トリエチルアミン (90 : 10 : 0.1, v/v/v)} を用いることによって, 高度不飽和酸を含む種々の分子種が明りょうに分離された. HPLC/ESI-MSでは, [M+H]+と[M+Na]+の強い分子量関連イオンと[M-RCO+2Na]+のフラグメントイオンが得られた. これらのイオンを利用して各分子種を同定した.
  • 堀口 亮, 糠塚 いそし, 清水 裕, 関川 慎也, 大関 邦夫
    2002 年 51 巻 9 号 p. 675-679
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    ニトロセルロース樹脂から調製した微粒子 (CNR) を用いて, タリウム (III) を抽出する固相抽出-樹脂懸濁液直接導入電熱原子吸光光度法について検討した. 陰イオン交換樹脂を懸濁液状にしたものとCNRを比較したところ, 後者で良好な結果が得られたため, CNRを固相抽出剤として用いることとした. タリウム (III) は塩酸酸性条件下でpH0.5~2の範囲において樹脂相によく抽出され, ピロリジンジチオカルバミン酸錯体とすることで捕集効率を上げることができた. タリウム (I) は樹脂相へは抽出されないが, 酸化剤として臭素水を加え, タリウム (III) へ酸化させることで測定することができた. 検量線は相関係数0.998の直線が得られ, 空試験の標準偏差の3倍から求めた検出限界は0.9ngであった. タリウム30ngでの相対標準偏差は2.5% (n=5) であった. また, 河川水50mlについて添加回収実験を行ったところ, 95±3%の回収率を得た.
  • 皆川 正和, 早下 隆士, 岱 青, Bartsch Richard A., 寺前 紀夫
    2002 年 51 巻 9 号 p. 681-687
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    鉛 (II) イオン選択的な認識を目的として, 結合部位に擬18-クラウン-6構造を持ち, 光情報変換部位に酸解離可能なダンシルアセトアミド基を有する新規ポダンド型蛍光プローブ (PD-18C6) を設計した. 70%1,4-ジオキサン-30%水 (v/v) の混合水溶液中で, 溶液pHを変化させた際の紫外・可視吸収, 蛍光及び励起スペクトルの解析から, アセトアミド基の酸解離は, 紫外・可視吸収及び蛍光スペクトルの短波長シフトを伴う発蛍光強度の増大を誘起することが分かった. PD-18C6の酸解離は, 鉛 (II) との結合によって促進されるため, pH4~5の条件において, 鉛 (II) に対する発蛍光型の応答を得ることができた. PD-18C6との鉛 (II) 錯体の1H-NMR及びIRによる解析から, 鉛 (II) イオンはPD-18C6の擬18-クラウン-6空孔に, ダンシルアセトアミド基のプロトンとイオン交換した構造で取り込まれていることが分かった. 金属イオンに対する選択性を明らかにするために, 70%1,4-ジオキサン-30%水 (v/v) 中, pH4.3の一定条件下において, 鉛 (II), 亜鉛 (II), カドミウム (II) 及びカリウム (I) 存在下におけるPD-18C6の蛍光応答を調べた. その結果, PD-18C6の選択的な発蛍光応答は, 鉛 (II) イオンにのみ見られることが分かった. これらの結果は, PD-18C6蛍光プローブが, 水系試料中の鉛 (II) イオン認識試薬として期待できることを示すものである.
  • 嶋田 武志, 清水 得夫, 上原 伸夫
    2002 年 51 巻 9 号 p. 689-695
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    ポリアミノ基とカルボキシル基を導入したポリ (N-イソプロピルアクリルアミド) (PNIPAAm) 共重合体を合成し, その凝集に及ぼすpHや重金属イオンの影響について検討した. また, PNIPAAm共重合体が相転移したときに形成する凝集相への重金属イオンや生体関連物質の分配についても検討した. 合成したPNIPAAm共重合体の下限臨界溶液温度 (LCST) はpH5から8の範囲でpHの上昇に伴い高温側へとシフトし, 重金属イオンの添加によっても高温側へとシフトした. 合成したPNIPAAm共重合体はCuIIイオンと錯形成反応して青色を呈したが, 相転移する際にCuIIイオンを放出し, 形成した凝集相にはCuIIイオンは取り込まれていなかった. 生体関連物質の捕集を検討した結果, 凝集相への分配には電荷選択性があることが分かった. すなわち, 陽イオン性化合物はほとんど分配せず, 陰イオン性化合物がよく分配した.
  • 三橋 和成, 吉崎 亮造, 小原 健司, 和田 仁
    2002 年 51 巻 9 号 p. 697-702
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    固定相の特性の制御に磁場を用いた磁気クロマトグラフィー (MC) を実証する目的で, MCカラムを試作し, システムを構築して実験した. 試作カラムは開管構造であり, 充填剤が不要である. このため, 二次廃棄物を生じない利点を有する. 固定相の作用力に磁気力を用いる目的で, 平らな開管の上下の壁面に強磁性細線をはり付け, 外部磁場を印加した. 強磁性細線の流体の流れに対する向きは平行と垂直の2種類とした. 試料には, 磁性イオンであるCoII, NiII, CrIII, CuIIと理論上弱い反磁性のI-イオンを用い, 0~3Tの磁場印加においてそれぞれのMC実験を行った. I-イオンの実験では保持が全く認められなかったので, 送液ポンプや検出器などの測定機器が漏れ磁場の影響を受けていないことが明らかであった. このことからMC実験及び検出装置の健全性が保証された. その他の試料の磁性イオンでは印加磁場強度を強くするほど溶出時間が遅れ, 最長約40分であった. 実験パラメーターの濃度や印加磁場, 各イオンのボーア磁子数などが異なっていると, 各イオンの保持係数の比較が困難なので, 著者らは便宜的にこれら三つのパラメーターの積をMCパラメーターと定義し, 整理した. その結果, 両カラムとも保持係数はMCパラメーターの約3/2乗に比例することが分かり, 磁気クロマト現象の基礎特性を把握できた.
  • 宮口 裕二, 小谷 明, 楠 文代
    2002 年 51 巻 9 号 p. 703-706
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    キノンの還元反応に基づいた酸の電気化学検出HPLCを用い, 血しょう中乳酸値の定量を行った. 乳酸量0.1~40nmol範囲で良い直線性 (r>0.999) を示し, RSDは1.18% (10nmol・乳酸, n=10) であった. 14時間絶食後と食後1時間の血しょう中乳酸を定量したところ, それぞれ1.26, 2.32mMであった. RSDは3.6%以下 (n=5), 添加回収率は94%以上と良好な結果が得られた. 市販の乳酸測定キット (F-キット) での測定結果と比較したところ, よく一致した. また, 測定に必要な血しょうの量はF-キットに比べ10分の1以下であった. 本法は, 複雑な抽出操作を必要とせず, 少量の血液と非常に簡単な前処理のみで測定が可能であり, 循環系及び代謝系における異常や疾患を探るための乳酸のモニタリングに有用と考えられる.
  • 中島 美香子, 小坂 雅夫, 門間 英毅
    2002 年 51 巻 9 号 p. 707-714
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    X線回折計により物体の表面粗さを測定する方法では, 直接物体からの回折線を利用せず, 物体表面に金属薄膜を蒸着し, 表面粗さを複写した膜 (表面レプリカ膜) からの回折線を利用している. 得られた回折プロフィルを分離し, 各ピークの回折角2θ, 回折強度I, 積分強度S などを求め, 回折角のずれΔ2θから偏心量x, 強度比から面積比を演算すると統計結果が偏心量-面積の階段状のグラフとして数値化できる. 本報ではより最適な測定条件 (測定波長・金属膜・照射面積) の組み合わせを求めるため, 凹凸が既知の試料を作製し, 実験・検討したところ, 管球としてCu, 表面レプリカ膜としてAuが最適であり, スリットの幅で決まる有効照射面積は16.2×10mm2と確定できた. 更にこれらの条件を用いた実用例として, 電着水酸アパタイトの表面凹凸測定結果を求めた. その結果, 数種類の凸面の高さを持つ試料の凹凸面積比を統計的に得ることができた.
  • 津嶋 信平, 松林 出, 長谷川 佑子
    2002 年 51 巻 9 号 p. 715-720
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    抽出効率に与える溶媒のルイス酸性度の影響を詳細に調べる目的で, ピバロイルトリフルオロアセトン (PTA, HA) によるジクロロメタン, クロロホルム及びペンタクロロエタンへのユウロピウム (III) の抽出を1,10-フェナントロリン (phen, B) の共存下及び非共存下で調べ, 更に抽出種の水和数をカールフィッシャー法, phenと溶媒の相互作用を赤外分光法を用いて調べた. 有機溶媒中でphenはPTAキレートに配位した水分子と置換し, phen錯体を生成する: EuA3n0H2O(o)+B(o)EuA3・B(o)+n0H2O(o). その平衡定数 (K) は, 溶媒-溶質相互作用が付加錯体生成に影響しない限り一定値を示すが, 上記の溶媒ではKの値は, CH2Cl2>CHCl3>C2HCl5の順に小さくなった. これらの溶媒の赤外吸収スペクトルは, CCl4中で, C2HCl5は2987cm-1に, CHCl3は3019cm-1に, CH2Cl2は3049cm-1と2984cm-1にC-H伸縮によるピークを示したが, phenが共存すると, ピークはC2HCl5では2919cm-1に, CHCl3では2967cm-1にシフトし, CH2Cl2では変化しなかった. このピークの低波数シフトの大きさの順, CH2Cl2<CHCl3<C2HCl5に強いルイス酸として作用すると考えると, Kの値の違いをよく説明できる.
  • 岩田 純一, 板垣 昌幸, 渡辺 邦洋
    2002 年 51 巻 9 号 p. 721-727
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    蛍光分析法は強い蛍光を発する化学種が超微量成分分析に適していると考えられている. これに反し, 本研究は, 利用する蛍光定量試薬自身の発蛍光性が低いものほど適しているとの観点から, 低い発蛍光性を示す2,2'-ビピリジン (bpy) を用いるインジウムの蛍光定量法を検討した. インジウムは重原子効果により, アルミニウムやガリウムに比較すると発蛍光性は低く, 蛍光分析は不利と考えられたが, pH6.0, bpy濃度6.4×10-5Mで測定波長は, 励起波長: 303nm, 蛍光波長: 330nmで検量線を作成した結果, 検出限界5.0ng ml-1, 定量下限15ng ml-1の結果を得た. 分析に利用した錯体の組成は1 : 1であり, インジウムとbpyの混合直後に錯体を生成し, その後分解することが分かった. それゆえ, フローインジェクション法 (FIA) を適用し分解前の錯体を利用することにより, 検出限界は2.6ng ml-1に改善することができた. In-bpy錯体の蛍光量子収率は0.17であった. FIAによる1時間当たりの処理数は120であった.
  • 五来 裕子, 小熊 幸一, 小松 優
    2002 年 51 巻 9 号 p. 729-734
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    ヒ素捕集用樹脂Eporous AS-4 (ミヨシ油脂) はポリスチレン樹脂母体のイミノ二酢酸型キレート樹脂に鉄 (III) を吸着させた後, 水酸化ナトリウム溶液で処理したものである. 本研究では, 本樹脂に含まれる鉄 (III) を塩酸により除去した後, CaII, CdII, CoII, CuII, FeIII, MgII, NiII, ZnIIの塩酸系における分配係数をバッチ法により測定した. その結果, CuIIは同一塩酸溶液における他のイミノ二酢酸型キレート樹脂Diaion CR11 (三菱化学) 及びChelex 100 (Bio-Rad) の分配係数よりも約100倍大きな分配係数を与えることを見いだした. この特徴を裏付ける分光学的な証拠は得られていない. 本樹脂の選択的吸着特性に基づき, 高純度亜鉛中の銅及び鉄を分離し, 原子吸光法を用いて測定する分析法を確立した.
  • 杉山 和久, 武井 尊也, 立花 佳代, 杉谷 嘉則
    2002 年 51 巻 9 号 p. 735-739
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    糖はその分子内に多数のOH基を有する有機物であり, 水溶液中で変旋光を示す. D-グルコースでは, 水溶液中で1位のOH基の立体配置に基づくα,β異性化が起こるため, 糖分子周囲の水和構造にも変化が生じると考えられる. 高周波分光法は, 溶液構造変化あるいは分子どうしの会合状態変化を鋭敏に検出することが可能である. 今回, D-グルコースのα,β異性化反応過程を高周波分光法により追跡し, 1800MHz付近の共振ピークが反応時間によってその吸収強度に変化が生じることを見いだした. 吸収強度変化は, 異性化反応時間との間に直線関係が成立し, 比旋光度変化との間にもよい相関が得られた.
  • 景山 知洋, 平出 正孝
    2002 年 51 巻 9 号 p. 741-744
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    w/oエマルションの持つ存在形態識別能を活用し, 多量の鉄 (III) が共存する溶液中の微量銅 (II) の選択的分離を試みた. 8-キノリノール50mgと非イオン界面活性剤 (スパン80) 0.15mlをトルエン5mlに溶解後, 1mol/l塩酸1.5mlを添加して超音波 (20kHz) を15秒間照射し, 8-キノリノール含有w/oエマルションを調製した. これを試料水溶液に添加し, かき混ぜることにより, pH3~7において微量銅 (II) がほぼ完全にエマルションに捕集できた. 鉄 (III) が共存する場合は, pHを3~3.5に調節し, 鉄を水酸化鉄 (III) コロイドとすることにより, 銅 (II) のみを選択的にエマルションに回収することができた. 銅 (II) の回収率は95%以上であり, 鉄 (III) についての分離係数は10-2であった. 本法を黒鉛炉原子吸光法と組み合わせることにより, 高純度鉄中の低μg/gレベルの銅を迅速に定量することができた.
  • 樋口 和義, 齋藤 徹, 平出 正孝
    2002 年 51 巻 9 号 p. 745-749
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    ホスファチジルコリン, ホスファチジルグリセロール, コレステロール及びキレート試薬からなる単層膜ベシクル (リポソーム) を銅 (II) イオンの選択的捕集媒体として用いた. キレート試薬として8-ヒドロキシキノリン (HQ) を用いた場合, 銅 (II) の捕集はHQ濃度及びpHが増加するにつれて増大した. フミン酸を含む水溶液からは, 遊離の銅 (II) イオンが選択的にリポソームに捕集された. しかし, HQ以外のキレート試薬を含有したリポソームへは銅-フミン錯体の銅も同時に捕集され, 選択的な遊離銅 (II) の捕集は不可能であった. HQ含有リポソームの内水相に (N-ジチオカルボキシ) サルコシンを含ませることにより, 選択性を保ちつつ, 銅 (II) イオンの取り込み能を向上させることができた.
  • 長谷川 雅一, 古川 徳昭, 内藤 哲義, 山田 碩道
    2002 年 51 巻 9 号 p. 751-758
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    クロロホルムに代表される塩素化炭化水素やベンゼン, トルエンなどの芳香族性溶媒は環境問題や発がん性からその使用を自粛しなければならない状況にある. この現状を考慮して, これらの溶媒に代わり得る低有害性溶媒の開発を目指して, 溶媒和性溶媒としてアルコール, 非溶媒和性溶媒としてアルカンに着目し, これらの溶媒から成る混合溶媒がイオン対抽出にも有用であることを示すために, 1-ノナノールとオクタンから成る混合溶媒を用いて, オキシンの誘導体である8-キノリノール-5-スルホン酸のテトラブチルアンモニウムイオンによる抽出を行った. 1-ノナノールとオクタンの混合比を変えることにより, 抽出率を任意に変化させることができる混合溶媒を調製し, スロープアナリシスと規格化曲線法により, このイオン対抽出系の抽出平衡の解析を行い, イオン対生成定数とイオン対分配定数を求めることに成功した. その結果, 水相中の反応であるイオン対生成が有機相の組成に依存することを明らかにし, この現象が水相に分配された1-ノナノール分子が8-キノリノール-5-スルホン酸イオンに溶媒和することに起因することを示唆する結果を得た. アルコールとアルカンから成る混合溶媒がイオン対抽出にも有用であるばかりでなく, イオン対抽出のメカニズムを解明するのにも有用であることを示すことができた.
  • 松岡 育弘, 内藤 哲義, 山田 碩道
    2002 年 51 巻 9 号 p. 759-765
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    数多くの溶媒について水を飽和した状態で, 溶媒のアクセプタ性を示すET値と水の溶解度を測定した. 水の溶解度は, カールフィッシャー法により電量滴定で測定した. 用いた溶媒は, 7種類のアルカン, 3種類の芳香族溶媒, 3種類の塩素化炭化水素, 4種類のエステル, 6種類のケトンと5種類のアルコールである. 各溶媒のET値は1,2-ジクロロエタンを除いて対応する水の溶解度とかなりよい直線関係が成立することが分かった. これらの溶媒の中でデカン酸による銅 (II) イオンの抽出に関して研究してきた溶媒に対して, 水の溶解度とこれらの抽出系に含まれる種々の平衡定数との間にかなりよい直線関係があることを示した. このことは, これらの抽出平衡が水和の影響を受けていることを示唆している. 本研究で用いた溶媒への水の溶解度は2.36×10-3から4.74mol dm-3であり, ET値と比べて広い範囲にわたっている. このことは, 有機溶媒への水の溶解度は, 溶媒抽出における溶媒効果を研究する際, 有機溶媒の性質を示す高感度な尺度として有用となることを期待させる.
  • 池田 育浩, 塚原 聡, 文珠四郎 秀昭, 渡會 仁
    2002 年 51 巻 9 号 p. 767-773
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    ガラスへの金の真空蒸着とレーザーアブレーション法により, 誘電泳動用の平面マイクロ四重極電極及びこれまでに研究例のない平面八重極電極を作製した. 両電極共に電極頂点に接する円の半径が50μmである. それぞれの電極内でポリスチレン粒子 (半径0.53μm) の水中における誘電泳動挙動を観測した結果, 理論から予測されたように, 八重極電極近傍の電場勾配∇|Erms|2のほうが四重極電極近傍のそれよりも大きいことが分かった. また, 粒子が受ける誘電泳動力と水中の粘性抵抗力が等しいとおいて導出した粒子の誘電泳動の理論式と実験結果が一致した. 以上から, 誘電泳動用の平面マイクロ四重極電極及び八重極電極が本手法により効果的にかつ簡便に作製できることが確かめられた.
  • 玉川 美典, 文珠四郎 秀昭, 渡會 仁
    2002 年 51 巻 9 号 p. 775-778
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    レーザー光泳動法は光の輻射圧による散乱力を駆動力とした泳動分析法で, 溶液中の微粒子の分離やキャラクタリゼーションに有効である. 本研究では, 円筒形キャピラリー (内径500μm) を泳動セルとし, 波長532nmの連続波Nd : YAGレーザーを光源とする落下型無重力実験施設においても使用できるレーザー光泳動速度の測定装置を製作した. 水中に炭素微粒子を分散させた溶液を, 円筒形キャピラリーに導入し, 微粒子にレーザーを下方から照射することで, 微小重力下における粒子の上方への光泳動挙動を観測することができた. この装置を用いることにより, 微小重力下における光泳動速度の測定が可能となり, 重力や対流の影響のない光泳動挙動を初めて観測することができた.
  • 植田 正人, 駒井 章代, 藤森 啓一, 森内(川上) 隆代, 澁谷 康彦
    2002 年 51 巻 9 号 p. 779-784
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    N,N'-ビス(2'-ヒドロキシイミノ-1'-フェニルプロピリデン)-1,3-プロパンジアミン (PHO3) を用いた電極は, 既報のように, 銀イオンセンサーとして優れた性能を発揮するが, その電極寿命は約20日間と短い. そこで, 本研究では, PHO3の優れた銀イオン選択性を維持しつつ, 電極寿命を向上させる試みとして, PHO3のメチル基をエチル基, n-プロピル基, あるいはn-ブチル基とした3種の誘導体を合成し, その各々について銀イオン選択性, 寿命を比較検討した. その結果, これらシッフ塩基, N,N'-ビス(2'-ヒドロキシイミノ-1'-フェニルブチリデン)-1,3-プロパンジアミン (PHEtO3) 及びN,N'-ビス(2'-ヒドロキシイミノ-1'-フェニルペンチリデン)-1,3-プロパンジアミン (PHPrO3) を用いた電極は, 良好な結果を示した. すなわち銀イオン濃度が5.0×10-7~7.9×10-2Mにおいて傾き45~51mV decade-1で直線的に電位応答し, カリウムイオンに対する銀イオンの選択係数の対数値-log K potAg,Kは, 各々, 4.35, 4.30を示した. また, PHEtO3を用いて作製したo-ニトロフェニルオクチルエーテル (NPOE) -テトラキス (4-クロロフェニル) ホウ酸カリウム (KTpClPB) 系の電極の場合, シッフ塩基の加水分解によって-log K potAg,Kが4.35から2.95へと低下するものの, 2か月間以上にわたり使用可能であることが分かった.
  • 野村 一央, 大島 光子, 高柳 俊夫, 本水 昌二
    2002 年 51 巻 9 号 p. 785-789
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    水溶性蛍光試薬として1,8-ジヒドロキシナフタレン-3,6-ジスルホン酸 (クロモトロープ酸) に類似した1,8-ジアミノナフタレン-3,6-ジスルホン酸骨格を持つ1,8-ジ-(トルエン-4-スルホニルアミノ)-ナフタレン-3,6-ジスルホン酸 (BTND) 及び1,8-ジ-(トリフルオロメタンスルホニルアミノ)-ナフタレン-3,6-ジスルホン酸 (BTFND) を合成し, 金属イオンとの反応性を検討した. BTFNDは検討した8種類の金属イオンと反応し消蛍光を示した. またBTNDは銅 (II) イオンと選択的に反応することが分かった. BTNDは水溶液中pH7で銅 (II) イオンと定量的に反応し, 消蛍光を示したので, 検量線を作成したところ, 銅濃度0~10-6Mの範囲で直線関係を示した (λex=360nm, λem=405nm). 本法の銅 (II) イオンの検出下限は2.0×10-7Mであった. BTNDは水溶液中で反応し, 定量操作が簡便で, 銅 (II) イオンに対する高感度・高選択的な蛍光試薬であることが分かった.
  • 香川 拓司, 高柳 俊夫, 大島 光子, 本水 昌二
    2002 年 51 巻 9 号 p. 791-795
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    市販金属塩中の極微量金属不純物の定量法として, 2-(5-ニトロ-2-ピリジルアゾ)-5-(N-プロピル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール (Nitro-PAPS) とのキレートを分離, 検出するキャピラリー電気泳動法について検討した. 各種金属イオンと定量的に反応するpH7の条件では, 高感度検出が可能であるが, 多くの金属錯体の分離は十分でない. そこで, 電気浸透流やキレートの電気泳動移動度を変化させる効果のある第四級アンモニウム塩等の添加を検討し, 種々な相互作用試薬を用いて分離の改善を図った. その結果, 臭化セチルトリメチルアンモニウムの添加で電気浸透流が抑制され, 硫酸ナトリウムの添加によるスタッキング効果の活用によりシグナルが鋭敏化され, 尿素の添加でニトロ基周りの水和を抑制したところ, 金属キレートの分離性能が向上した. 本法により10-7MレベルのFe, Co, Ni, Cuの分離定量が可能になり, 市販特級金属塩中の極微量金属の分析に適用したところ, ppm (=10-6g/g) レベルの金属不純物を定量することができた.
  • 高橋 宏信, 新留 康郎, 山田 淳
    2002 年 51 巻 9 号 p. 797-801
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    ドデカンチオール (DT) で表面修飾した金ナノ粒子 (DTAu) と, DTAuの表面DTの一部を1,6-ヘキサンジチオール (HD) で置換した金ナノ粒子 (HDAu) を調製し, ガラス基板へのレーザー誘起固定化現象を比較検討した. 金コロイドのシクロヘキサン溶液にカバーガラスを浸漬し, パルスNd : YAGレーザーの2倍波を照射することでガラス表面に金ナノ粒子を固定した. 固定領域の吸収スペクトル測定と, 固定された粒子を王水で溶解してICP-MS法で濃度を測定することにより, 固定化を追跡した. DTAuの固定化には2分以上のレーザー光照射が必要であるのに対し, HDAuの場合は1分のレーザー光照射で約3μgの固定化が起こり, HDによる部分置換が固定化を促進することが明らかになった. 更にHDAuを用いた場合に固定される粒子の平均粒径は, DTAuの場合と比較して著しく増大していることが分かった.
  • 小柳 健治, 田端 正明
    2002 年 51 巻 9 号 p. 803-807
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    テトラフェニルポルフィリンの炭素に結合している水素を全部フッ素に置き換えた, 28個のフッ素を含むポルフィリンを3,4-ジフルオロピロールとペンタフルオロベンズアルデヒドとの縮合反応により合成した. 3,4-ジフルオロピロールは2,2,3,3-テトラフルオロコハク酸を出発原料としてそのジエステル, アミド, イミド, ピロリジニウム塩酸塩を経て5段階の反応で合成した. 合成したポルフィリンの酸解離反応とリチウムイオンとの反応を, UV/Visスペクトルにより調べた. その結果, 28個のフッ素原子の強い電子吸引性のため, ポルフィリン (H2P) の塩基性が減少し, pH4と8でピロールの窒素に結合したプロトンの解離が観測された {(H2P)o+Na+[(HP-)(Na+)]o, pKa3 4.2; [(HP-)(Na+)]o+Na+[(P2-)(Na+)2]o, pKa4 8.0}. 更に合成したフッ素ポルフィリンはpH5以上でリチウムイオンと反応し, クロロホルムへの抽出分離が可能となった.
技術論文
  • 坂元 博章, 中村 洋
    2002 年 51 巻 9 号 p. 809-814
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    米国モンサント社が開発した除草剤に耐性の大豆 (ラウンドアップレディ®) には, 非組換え大豆中で発現している5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸合成酵素 (EPSPS) と構造の異なる, CP4EPSPS (土壌微生物のスクリーニングから得られたアグロバクテリウムのCP4株由来のグリホサート抵抗性EPSPS) が発現する遺伝子が組み込まれている. 本研究は, 遺伝子組換え大豆の簡便な検出法の開発を目的として, PCR法を用いてCP4EPSPS遺伝子の検出を試みた. その結果, 大豆DNA抽出物のPCR産物をアガロースゲル電気泳動で分離することにより, 組換え体の混入率に応じて組換え遺伝子を検出できる方法を確立できた. また, 大豆加工食品への応用を行った結果, 加工時の加熱温度や加熱時間によっては, DNAが短く切断されることにより目的のDNAが検出できないことがあることが示唆された.
  • 小山 幹雄, 田中 龍彦
    2002 年 51 巻 9 号 p. 815-820
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    高純度アルミニウム試料溶液中の微量亜鉛, 銅, 鉛及びビスマスを電着分離した後, 析出元素を再溶解して誘導結合プラズマ質量分析で定量する簡便な方法を開発した. 塩酸-過酸化水素水で分解したアルミニウムの試料溶液 (pH約2.3) 1mlを-1.30V vs. SCEで90分間電解し, 水銀薄膜陰極に亜鉛, 銅, 鉛及びビスマスを電着分離した. 電極水洗後, 電解液を0.1M硝酸1mlに交換して0.10V vs. SCEで1分間電解して析出元素を溶出した. 分析対象元素の電着効率は97%以上, その際のアルミニウムマトリックス許容共存量は2.0mg ml-1であった. 各元素2ng ml-1での相対標準偏差 (n=5) は5.7%以下であった. 本法は亜鉛, 銅, 鉛及びビスマスをそれぞれ0.35, 0.18, 0.05, 0.03μg g-1以上含有するアルミニウム試料の分析に適用可能であった. 2種類の高純度アルミニウムを分析した結果は精度, 正確さ共に良好であり, 1試料当たりの分析所要時間は約3時間であった.
  • 黒河内 博幸, 林 英男, 田中 智一, 平出 正孝
    2002 年 51 巻 9 号 p. 821-824
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    電熱気化 (ETV)/ICP-MSにより, 頭髪試料1本相当 (0.5mg) を用いてAs及びSeの定量を試みた. 頭髪試料に14mol l-1硝酸10μl及び30%過酸化水素水2μlを添加して分解後, 1μmol l-1過マンガン酸カリウム溶液25μlを添加して蒸発乾固し, 残留物を1mol l-1硝酸500μlに溶解した. この溶液の5μlを分取し, ETV用のタングステンフィラメントに載せ, プラズマトーチ内にセットした. タングステンフィラメントに電流を流して試料溶液を乾燥させた後, コンデンサーの放電を利用してフィラメントを約2500℃に加熱し, 残留物を気化させた. 試料蒸気をキャリヤーガスによりICPに導入し, 75As+及び82Se+の信号強度を測定した. 試料の前処理においては, 過マンガン酸カリウムを添加することにより, 蒸発乾固の際の目的元素の損失 (30~50%) を防ぐことができた. これは, 過マンガン酸カリウムの酸化作用とともに蒸発乾固後の残留物の器壁への強い吸着が抑制されたためと考えられる. 本法により頭髪標準試料中のAs (0.31±0.02μg g-1) 及びSe (2.0±0.08μg g-1) を定量したところ, 分析結果 (n=4) はAs0.30±0.01μg g-1及びSe2.0±0.2μg g-1であり, 認証値とよく一致した.
  • 古賀 弘毅, 緒方 道子
    2002 年 51 巻 9 号 p. 825-831
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    「高周波燃焼-赤外線吸収法」における新たな検量線の作成方法として基準物質にショ糖を用い, 自作の石英製試料セル及び黒鉛封入発熱体による助燃剤フリーの検量線作成法 (セル法) を開発した. セル法は汚染の要素が極めて少ない検量線作成法であり, 検量線は原点を通る良好な直線性を示した. 一方, 実試料分析における汚染の除去を目的とした前処理操作を検討し, 汚染源となるルツボ及び助燃剤に適切な前処理を行うことで, 汚染を極めて低く抑えられることが分かった. 十分な前処理操作を行った鉄鋼標準物質による検量線はセル法の検量線とよく一致した. このことからセル法が鉄鋼材料中の微量炭素分析の検量線作成法として適用できることが明らかとなり, 鉄鋼試料中の微量炭素成分を高い精度で定量できることが明らかになった.
ノート
  • 倉澤 隆, 四ツ柳 隆夫, 金子 恵美子, 斎藤 伸吾, 星 座, 赤塚 邦彦
    2002 年 51 巻 9 号 p. 833-836
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    The retention behavior of cationic aluminium chelate with o,o'-dihydroxyazobenzene (DHAB or H2L), [AIL]+, in high-performance liquid chromatography (HPLC) was investigated using the C18-bonded silica stationary phase. In this study, it was found that when the pH of the mobile phase was 5.5, a significant tailing of the alminium chelate was observed, whereas when the pH was 2, a marked improvement of the elution was attained. These results were interpreted in terms of a silanol masking effect: when an acidic mobile phase is employed, protonation of the silanol groups on the surface is maintained, while eliminating the strong interaction between the cationic chelate and the stationary phase. The addition of sodium chloride in the eluent can also be used to eliminate peak tailing of the cationic chelate. Based on these results, the underlying immobilization mechanism of the aluminium chelate on the C18-bonded silica thin layer is explained by an electrostatic interaction between the cationic aluminium chelate and deprotonated silanol groups on the solid surface. The example in this study should provide valuable information to improve the separation quality of cationic solutes in HPLC.
  • 荒坂 真吾, 金子 恵美子, 斎藤 伸吾, 星 座, 赤塚 邦彦
    2002 年 51 巻 9 号 p. 837-839
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    The thin-layer chromatographic behavior of a lanthanum-alizarin complexone (ALC)-fluoride complex was investigated with particular interest being paid to the separation of the ternary complex from La-ALC. Although the spectral shift of the La-ALC chelate upon binding to the fluoride ion is widely used for the spectrophotometric determination of fluoride ion, there do not appear to be any reports on thin-layer chromatography (TLC) for the ternary complex (La-ALC-F). In this study, it was found that when developed with 60% ethanol on a C18-bonded silica thin-layer plate, the ternary complex was easily eluted, forming a sharp band. Conversely, the La-ALC chelate was immobilized at the spotting position as a fleck. Furthermore, when a bluish-purple band was separated from a reddish-purple fleck, the ternary complex faded in a few minutes, whereas, when the band remained inside the fleck, no fading took place. These results are interpreted in terms of the dissociation of the labile complex caused by separation from the excess reagent. Consequently, the concentration of the La-ALC-F band across the center of the fleck provides a sensitive visualization of the fluoride ion down to 0.1 ppm.
  • 山崎 綾子, 石橋 耀一, 楊利 民, 相羽 陽子, 角田 欣一
    2002 年 51 巻 9 号 p. 841-844
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    The Methylene Blue extractive spectrophotometric method is a simple analytical method for boron and has been adopted as a JIS method for the determination of boron in steel samples. However, 1,2-dichloroethane, which is used in the method as an extraction solvent, is now one of the items of Environmental Quality Standards for water pollutants in Japan, and its use is severely restricted. Thus, we developed a Rhodamine 6G extractive spectrophotometric method of boron in steel to replace the Methylene Blue method. We use Rhodamine 6G as an extractive reagent and 4-methyl-2-pentanone as an extraction solvent. This method is based on an ion pair extraction process, i.e., BF4- and 10 μM Rhodamine 6G form an ion-pair in the water phase and the ion-pair is extracted into 4-methyl-2-pentanone. The absorbance of the organic phase was measured with a spectrophotometer at 530 nm. The calibration curve was linear up to 7 μM of boron. The method could be applied to the determination of boron in the steel standard sample (JSS-174-7).
  • 関下 教仁, 長谷川 佑子
    2002 年 51 巻 9 号 p. 845-848
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    Europium (III) was extracted into chloroform with pivaloyltrifluoroacetone (1,1,1-trifluoro-5,5-dimethyl-2,4 hexanedion, PTA) and 2,2'-bipyridyl (2,2'-bpy) or with PTA and 4,4'-bipyridyl (4,4'-bpy). By combining the extractants, the extraction was improved, although the enhancement with PTA and 2,2'-bpy was much larger than that with PTA and 4,4'-bpy (the distribution ratio in the presence of 10-2 M 2,2'-bpy was enhanced by a factor of almost 104, while that in the presence of 10-2 M 4,4'-bpy was as high as 10 times, compared to the distribution ratio in the extraction with PTA, itself, reflecting the function of the bidentate (2,2'-bpy) and the monodentate (4,4'-bpy). In addition, the extracted species with PTA and 4,4'-bpy were accompanied by four PTA and one 4,4'-bpy, EuA3 · HA · B as well as EuA3, EuA3 · B and EuA3 · 2B. As the extracted species of lanthanoids (III) with β-diketone and a monodentate Lewis base, such as tributylphosphate, EuA3, EuA3 · B and EuA3 · 2B were reported before. The extraction as EuA3 · HA · B may reflect that the Lewis basicity of 4,4'-bpy is similar to that of PTA.
  • 鷹取 康史, 手嶋 紀雄, 酒井 忠雄
    2002 年 51 巻 9 号 p. 849-852
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    Nonionic surfactants, such as TritonX-100 and Brij-35, form cationic compounds in the presence of monovalent metal ions, which associate with an anionic tetrabromophenolphthalein ethyl ester dye (TBPE) to produce an extractable blue ion associate. When tetrakis (4-fluorophenyl) borate (BF4) is added to an aqueous phase, BF4 forms a colorless ion associate with cationic compounds, and the associate is rapidly extracted into 1,2-dichloroethane. At the end point, BF4 takes the cationic compound from the blue ion associate. As a result, a blue color in the organic phase turns out to be yellow because TBPEH is produced. In this work, the addition of 5 ml of 4 M KCl gave a clear end point and RSD with KCl was 0.2%. 1,2-Dichloroethane was suitable in the titration system. Since the ion association formation is stoichiometric, nonionic surfactants can be determined simply and conveniently.
  • 齋藤 尋輝, 蒲生 啓司
    2002 年 51 巻 9 号 p. 853-858
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    In chromatographic analysis, a suitable derivatization of the bifunctional groups has sometimes been used to enhance the sensitivity and selectivity for detection. Transforming 1,2-diol compounds to the corresponding cyclic boronate derivatives has been more extensively used as a suitable derivatization method for chromatographic and chromatography/mass spectrometric detection. Liquid chromatography/mass spectrometry (LC/MS) with electro spray ionization has been successfully applied to the analysis of diol compounds, pinacol, 2-methyl-2,4-pentanediol, 2,4-dimethyl-2,4-pentanediol, (+)-pinanediol, bicyclohexyl-1,1'-diol, ryanodine and rifampicin, as their m-aminophenylboronate derivatives. Of the range of analytical conditions that were tested, the optimum results were obtained by using reversed-phase LC with a mixture of acetonitrile and 5% acetic acid. The positive-ion spectra of m-aminophenylboronates of the diol compounds showed pseudo-molecular ions, [M+H]+. The [M+H]+ ion was the most abundant for most of the diol compounds, and the [M+H+C5H5N]+ ion was the most abundant for ryanodine. Full-scan mass spectra were readily obtained from 2.6 ng of 2,4-dimethyl-2,4-pentanediol boronate, while a detection limit of 66 fg (signal-to-noise ratio 4) was attained in the selected-ion monitoring mode. This shows that the boronate derivatization of low molecule diols, like pinacol, pinanediol, and so on, contribute to the enhancement of LC/MS detection compared with the direct detection of free diol. On the other hand, in the case of more polar diol compounds, like ryanodine and rifampicine, their boronate derivatization decreased the ionization efficiency upon electrospray ionization.
  • 江口 朋美, 冨安 卓滋
    2002 年 51 巻 9 号 p. 859-864
    発行日: 2002/09/05
    公開日: 2009/03/13
    ジャーナル フリー
    Two procedures were used for the speciation of mercury in marine sediment. One procedure had been proposed for the differential determination of organic mercury, mercury (II) oxide and mercury (II) sulfide in sediments, based on their successive extraction, followed by a cold-vapor atomic absorption spectrometric determination. In this method, organic mercury was first extracted by shaking a sediment sample with chloroform. Another procedure had been proposed for the differential determination of inorganic and organic mercury in environmental and biological materials. In the latter procedure, mercury was first extracted by shaking a sample with 1 M hydrochloric acid containing 3% sodium chloride in the presence of copper (I) chloride. In order to separate organic mercury from inorganic mercury, the extract was shaken with chloroform to extract only organic mercury. In the current investigation, they were suggested that not only methylmercury, but also mercury bound with organic matter in the sediment, could be determined as organic mercury by the former procedure, and that the organic mercury determined by the latter procedure corresponded to methylmercury. These procedures were applied to the speciation of mercury in sediments from Minamata Bay and Kagoshima Bay. In sediments taken in the vicinity of submarine fumaroles in Kagoshima Bay, 7∼37% of the total mercury existed as organic mercury, which was considerably higher than 1∼4% in the Minamata Bay sediment.
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