分析化学
Print ISSN : 0525-1931
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波長可変レーザー光源を用いる高吸光度域の原子吸光分析
石田 智治秋吉 孝則
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2010 年 59 巻 10 号 p. 911-915

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抄録

製造現場における,高密度な原子蒸気量のモニタリングを通じた品質管理の潜在ニーズを満足するため,波長可変レーザーを光源とした原子吸光分析法(AAS)の検討を行った.AASは汎用性が高く,装置構成が単純であるという利点がありながら,光源であるホローカソードランプ(HCL)の光強度が弱いことによるダイナミックレンジの狭さのために用途が限られている.そこで,波長可変レーザーをAAS光源として適用する検討を行った.レーザーの中心波長をMnの吸光極大と一致させた場合,通常のAASと比較して100倍以上の高い吸光度を測定可能であった.実験結果は,高吸光度領域においては濃度ではなく,濃度の対数と吸光度が直線関係となることを示した.シミュレーションの結果もこれを支持したことから,新たなAASの可能性が示された.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry 2010
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