分析化学
Print ISSN : 0525-1931
火点での発光スペクトル測定による溶鋼中マンガンの直接分析
千葉 光一小野 昭紘佐伯 正夫大野 剛正
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1988 年 37 巻 7 号 p. 365-370

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抄録

溶鋼直接分析の発光分光分析用光源として転炉において形成される火点に着目し,火点からの発光スペクトルを測定することにより溶鋼中Mnを直接分析する方法を開発した.火点における原子の発光の可能性について考察を行い,火点発光スペクトルを測定してFe及びMnの発光を確認した.Mnの発光強度と溶鋼中の濃度の間には良好な相関関係が認められた.火点発光スペクトルに対し溶鋼温度,溶鋼中C含有率は影響を及ぼさないことを確認し,火点温度の影響については,その補正法を明らかにした.又,元素の蒸発に対する火点温度の影響は層別の検量線を採用することで補正できることも明らかにした.これらの検討の結果,火点発光スペクトル測定による溶鋼中Mnの直接発光分光分析法が新たな溶鋼の直接分析法として十分適用できることを明らかにした.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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