分析化学
Print ISSN : 0525-1931
水酸化ベリリウム共沈分離/モリブドリン酸青吸光光度法による高純度クロム,ニッケル,銅及び鉄-クロム合金中の微量リンの定量
板垣 俊子石黒 三岐雄高田 九二雄
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1994 年 43 巻 7 号 p. 569-574

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抄録

水酸化ベリリウム共沈分離/モリブドリン酸青吸光光度法により,高純度クロム,ニッケル,銅及び鉄-クロム合金中の微量のリンを定量した.EDTA共存下でリンをリン酸ベリリウムアンモニウムとして水酸化ベリリウムと共沈分離する方法は,検討したすべての高純度金属に適用できた.但し,高純度クロムの場合,クロム-EDTA錯体生成時のpHを1.5から5.0の間で変化させ,pH9.7±0.2でリンを共沈させると,EDTA錯体生成時のpHの増大とともにリンの回収率は減少した.つまり,リンの回収はクロム-EDTA錯体生成時のpHに大きく依存することが分かった.この分離・濃縮法によって,溶解した試料中のリンの全量が分析に使われるため,鉄鋼のJIS法(溶解した試料の10分の1を分析に使用)の約10倍の感度で定量することができた.本法での定量下限は試料中のリン濃度に換算して0.46μg g-1であった.又,本法は発色時の液量がJIS法の約2倍になるため,発色におけるヒ素の影響は,モリブドリン酸青を生成させるときの試薬の濃度をJIS法の2倍にすることで取り除いた.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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