分析化学
Print ISSN : 0525-1931
ガス分離/フローインジェクション試料導入法を用いる光導波-長光路吸収管吸光光度法による鋼中微量窒素の定量
相本 道宏薦田 光徳千葉 光一
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1996 年 45 巻 2 号 p. 193-199

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抄録

フローインジェクション法(FIA)と光導波-長光路吸収管(WCC)吸光光度法を組み合わせることにより,簡便かつ高感度な鉄鋼中窒素の定量分析法を開発した.試料前処理/導入にはガス分離/FIA法を用いた.まず,1gの鉄鋼試料を塩酸分解し試料溶液とした.鉄鋼中の窒素は,溶液中でアンモニウムイオンとして溶存しているが,溶液を強アルカリ環境にするとアンモニアに変化する.このアンモニアを多孔質膜によりマトリックスから膜分離し,発色試薬と反応させ,インドフェノール型色素を形成させて吸光光度検出を行う.検出器には,50cmのWCCを用いることにより,セル長1cmの分光光度計と比較して約50倍の高感度検出が可能な吸光光度検出システムを用いた.本法により,4種の認証標準物質を分析した結果は認証値とよく一致した.又,含有率2μgN/gの試料の定量結果の分析精度は室内精度約3%程度であった.更に2種の鉄鋼試料の分析結果と,JIS法(アンモニア蒸留分離アミド硫酸滴定法)による結果と比較検討したところ,定量値はよく一致した.

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© The Japan Society for Analytical Chemistry
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