日本畜産学会報
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食肉のα-トコフェロール量とその脂質酸化抑制作用
山内 清知念 健次大橋 登美男
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1977 年 48 巻 12 号 p. 701-706

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抄録

鶏肉(深胸筋と後肢筋),豚肉(背最長筋と大腿二頭筋),羊肉(背最長筋と臀筋),牛肉(背最長筋と大腿四頭筋)および馬肉(背最長筋と臀筋)の白色筋と赤色筋を用いて,それぞれの加熱後冷蔵した肉の脂質酸化に対するα-トコフェロールの脂質酸化抑制作用をミオグロビン量やリン脂質量との関連で調べた,各肉種において,白色筋に比較すると,赤色筋のα-トコフェロール量(μg/100g筋組織,μg/g脂質,μg/gリン脂質)は高い傾向にあって,赤色筋の脂質酸化は,白色筋に比較して必らずしもすみやかでなかった.しかし,両筋肉のα-トコフェロ-ル量が同程度の場合,赤色筋において脂質酸化の進行がすみやかな傾向にあった.鶏肉,豚肉および牛肉の加熱後冷蔵した肉のTBA値と筋組織100g当たり,およびリン脂質g当たりのα-トコフェロール量との間に負の相関があった.鶏肉,豚肉,牛肉および馬肉の脂質g当たりのα-トコフェロール量は,それぞれの加熱後冷蔵した肉のTBA値との間に有意の負の相関を示した.以上の結果から,α-トコフェロールは加熱後冷蔵した肉の脂質酸化に対して脂質酸化抑制作用を示したが,その脂質酸化抑制作FAの程度は,ミオグロビン量やリン脂質量との関連で,肉種や筋肉によって異なっていることが明らかであった.また,今回の実験では,羊肉について,α-トコフェロールの脂質酸化抑制作用を認めることができなかった.

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