日本畜産学会報
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最新号
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一般論文(原著)
  • 倉上 愛梨, 中堀 祐香, 髙野 直樹, 大江 史晃, 萩谷 功一
    2020 年 91 巻 3 号 p. 179-183
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    ばんえい競走馬の2歳年度獲得賞金記録に対し,未変換および分散補正したデータによる遺伝率推定値を比較し,分散補正の影響を調査した. データは,2005年から2014年の間に生まれ,競走馬登録された重種馬3,125頭のうち,2歳年度のレースに出走した2,302個体の性別,誕生年月,能力検査実施日,獲得賞金,および27,215個体を含む血縁個体である.獲得賞金の分散補正について,2歳年度における獲得賞金(未変換),対数変換および階層別獲得賞金クラス(3,5または7区分)のデータセットを作成した.遺伝分析には,性別,誕生年,月齢を母数効果として含むアニマルモデルを使用した.月齢は,能力検定合格回次の検定実施月と誕生月の記録から推定した.獲得賞金の遺伝率推定値は,未変換(0.16)と比較し,分散補正後の対数変換(0.29)および獲得賞金クラス(0.32から0.36)で高い遺伝率が推定された.

  • 河邊 弘太郎, 大澤 恵美, 大澤 勝幸, 小澤 剛, 大久津 昌治, 下桐 猛, 岡本 新, 橋口 勉
    2020 年 91 巻 3 号 p. 185-191
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
    ジャーナル 認証あり

    日本在来馬の一種である野間馬の毛色遺伝子の多様性を明らかにすることを目的に,拡張,アグチおよび芦毛の各遺伝子の頻度をMC1RASIPおよびSTX17遺伝子の多型解析によって分析した.また,個体の毛色をL*a*b*表色系(CIE1976)による色彩色差計測によって数値化し,毛色間の比較を行うとともに主成分分析によってその傾向を評価した.その結果,野間馬集団ではいずれの遺伝子座においても潜性遺伝子の頻度が高く,毛色について配慮した交配の影響があることが推察された.色彩色差計測の結果では,各毛色間において明瞭な差異は認められなかった.得られた値について主成分分析を行った結果,栗毛,鹿毛および青毛は連続した分布を示し,毛色について明確に区別することはできなかった.本研究の結果から,野間馬集団の毛色においては,既知の拡張,アグチならびに芦毛以外の新たな遺伝子による関与の可能性が示唆された.

  • 中西 良孝, 辻 美咲, 髙山 耕二, 大島 一郎, 澤村 篤, 佐藤 健次, 日高 明生
    2020 年 91 巻 3 号 p. 193-205
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    破砕飼料用米を肥育全期間に亘って肥育牛に与えた場合の発育,飼料利用性ならびに産肉性への影響を明らかにした.黒毛和種去勢牛12頭(11ヵ月齢)を6頭ずつの2群に分け,対照区には配合飼料,稲WCSやトウフ粕等を含む発酵TMRおよび稲わらを与え,試験区には配合飼料以外,対照区と同じ飼料を給与し,月齢に応じて配合飼料の代替割合を原物当たり5%から25%まで破砕飼料用米(破砕玄米と破砕籾米を乾物比で7:3に混合)により段階的に増加した.対照区と試験区との間で体重,日増体量および飼料要求率に有意差は認められなかった.肥育後期の試験区で第一胃内pH変動の標準範囲内で一時的な低下がみられた.血液性状に有意な区間差は認められず,枝肉成績および肉質にも差はなかった.以上より,黒毛和種去勢牛の月齢に応じて配合飼料の代替割合を5%から25%まで段階的に破砕飼料用米で増加しても,発育,飼料利用性および産肉性への影響はないことが示された.

  • 澤戸 利衣, 神谷 裕子, 田中 正仁
    2020 年 91 巻 3 号 p. 207-215
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
    ジャーナル 認証あり

    乳用育成雌牛において濃厚飼料に配合されているトウモロコシを破砕玄米に代替することによるルーメン内容液性状,血液性状,窒素利用性等に及ぼす影響を調査した.平均12.3ヵ月齢の乳用育成牛4頭を用い,圧ぺんトウモロコシもしくは破砕玄米を乾物で25%含む発酵混合飼料を作成し,2区(トウモロコシ区および玄米区)の反転試験法による飼養試験を行った.玄米区で非繊維性炭水化物(NFC)消化率が高く(P<0.05),中性デタージェント繊維(aNDFom)消化率が低い傾向(P<0.1)を示した.ルーメン内容液性状に顕著な差はなく,血液性状にも差はなかった.尿中への窒素排泄割合が玄米区で低かった(P<0.05).これらの結果から乳用育成牛に破砕玄米25%飼料を給与した場合,NFC消化率やaNDFom消化率に若干の差はあるものの ルーメン内容液性状および血液性状には顕著な影響はないことから,代替可能と考えられた.

  • 伴(德田) 智美, 山本 知里, 木本 清嗣, 松井 宏樹
    2020 年 91 巻 3 号 p. 217-225
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    ブタの飼料への発酵生成物(ビタコーゲン:(株)セイワ)の添加が,ブタの成長・肥育および腸内細菌叢へ及ぼす影響について調査した.供試動物として離乳後の雌ブタ10頭を用い,試験区として基礎飼料のみの対照区および基礎飼料にビタコーゲンを添加したVC区の2区を設け,16週間の育成・肥育試験を行った.体重,日増体量および飼料効率については両区に差が見られなった.飼料の成分消化率は育成期(8週)において,DMおよびNDF消化率は対照区の方が高くなったが,EEはVC区の方が有意に高くなり,肥育期(14週)において,DM,OM,NDFおよびEE消化率はVC区が有意に高くなった.直腸糞の菌叢の多様性について,多様性指数は12週目において対照区と比べてVC区で有意に高い値を示した.以上のことから,VC添加は腸内細菌叢を変化させ,ブタの肥育期の飼料成分消化率を向上させることが示唆された.

  • 野口 龍生, 相澤 拓朗, 岩田 尚孝
    2020 年 91 巻 3 号 p. 227-232
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    血液中には細胞外DNAが含まれる.ミトコンドリアに由来する細胞外DNAはその量が多く測定が容易である.本研究では血液中のミトコンドリア由来細胞外DNAがウシの生理状態によって変動するのかどうかを調べるため,ホルスタイン種の栄養状態が大きく変化する時期である分娩前後の血漿の成分値(遊離脂肪酸(NEFA),トリグリセリド(TG),乳酸脱水素酵素(LDH),およびグルコース)と細胞外DNA量との関係性について検討した.また,黒毛和種およびホルスタイン種を用いて人工授精後の妊娠の可否と授精時の細胞外DNA量との関係を検討した.血漿中のNEFA,TG ,LDH,グルコースおよび細胞外DNA量は,分娩前後で大きく変動した.細胞外DNA量とそれぞれの血漿成分の平均値間で相関を調べると,LDHと正の相関が,TGと負の相関があった.一方で合計14頭の人工授精時細胞外DNA量の結果では,受胎牛と不受胎牛間に有意な関係が認められなかった.

  • 黒崎 弘平, 汪 斐然, 山野 はるか, 吉田 詞温, 小泉 聖一, 小林 信一
    2020 年 91 巻 3 号 p. 233-239
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    野生シカ食肉処理施設の現状と課題を把握するために,2013年と2018年に郵送法による調査を実施した.経営状況の自己評価(1:とても悪い~5:とても良い)は,2.58±0.16(2013年),2.51±0.17(2018年)と低かった.経営の問題点は,「買い手がいない」58.5%(2013年),48.8%(2018年)が最も多く,「悪い」「良い」経営別では,シカの1日当たり処理頭数で,「良い」経営が12.3±3.5頭で,「悪い」の5.7±0.9頭に対して有意に多かった.背ロースとモモ肉の価格は,経営状況別に有意差はなかったが,設定価格の採算性評価では,「良い」経営は,「取れている」が72.7%で,「悪い」の4.0%との間に有意差が見られた.経営の問題点は,「悪い」経営では,「採算が取れない」,「買い手がいない」,「施設の維持費が高い」が多く,設備費等の経費の高さが問題であることを伺わせた.

  • 村元 隆行, 福田 智歩, 金谷 圭太, 横田 朋佳
    2020 年 91 巻 3 号 p. 241-245
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    日本短角種の去勢牛(14頭)と経産牛(10頭)との間における塩漬された半膜様筋および腓腹筋の理化学特性およびテクスチャー特性の比較を行った.塩漬は100gの筋肉サンプルに6gのNaClを添加して3日間行った.テクスチャーの測定は筋肉サンプルの表面から5mmで行った.a*値の測定は表面,表面から5mm(浅部),および表面から16.7mm(深部)で行った.また,粗脂肪含量,水分含量,およびドリップロスの測定を行った.塩漬前,塩漬後の浅部,および塩漬後の深部のa*値は,両筋肉において去勢牛に比較して経産牛が有意に低かった.半膜様筋の塩漬前の凝集性は,去勢牛が経産牛に比較して有意に高く,半膜様筋の塩漬後の付着性は,経産牛が去勢牛に比較して有意に高かった.腓腹筋のドリップロスは,経産牛が去勢牛に比較して有意に低かった.

  • 村元 隆行, 吉田 英生, 高田 偲帆
    2020 年 91 巻 3 号 p. 247-250
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    未熟および完熟のサルナシ(Actinidia arguta)の果汁の塗布が日本短角種(n=3)の棘上筋(M. supraspinatus)のテクスチャー特性および保水性に及ぼす影響について検討を行った.筋肉サンプルに未熟のサルナシ(未熟区)または完熟のサルナシ(完熟区)の果汁を塗布した.対照区の筋肉サンプルにはサルナシの果汁は塗布しなかった.各筋肉サンプルは40°Cで1時間の貯蔵を行い,ドリップロスを測定した.その後,筋肉サンプルを60°Cで3分間加熱し,クッキングロスを測定した.最大荷重およびガム性荷重は完熟区が未熟区に比較して有意に低かった.ドリップロスおよびクッキングロスには未熟区と完熟区との間での有意な差はみられなかった.本研究の結果から,完熟のサルナシの果汁は未熟のサルナシの果汁よりも牛肉を軟化させること,およびサルナシの熟成の程度は牛肉の保水性に影響を及ぼさないことが示された.

  • 志賀 保夫, 松浦 晶央, 畔柳 正, 小林 裕志
    2020 年 91 巻 3 号 p. 251-258
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    近年,アニマルウェルフェアに対応した肉用牛の飼養管理が求められているが,消費者はその簡単な概念も認知していないと推測される.そこで,25歳以上65歳未満の女性400名を対象としてインターネットアンケートをおこない,アニマルウェルフェアに関する情報提示による消費者の購買意向の変化をDAGMAR理論に基づき検証した.約7割の消費者はアニマルウェルフェアという言葉を見聞きしたことがなかった.しかし,簡単な概念の情報提示後,牛肉購入時に重視する項目のうち,特に「飼養のされ方」が有意に上昇した(P=0.000).また,アニマルウェルフェア水準の高い飼養方法で生産された牛肉に対する支払意志額の平均値は99.3円/100 gであった.これらの結果から,肉用牛の飼育環境におけるアニマルウェルフェアの重要性や実際の飼養方法について,定期的かつ積極的に消費者に向けて情報発信することが重要であると考えられた.

  • 岡戸 裕行, 二宮 茂
    2020 年 91 巻 3 号 p. 259-265
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
    ジャーナル 認証あり

    放牧地で出生した子ウシに対する人への馴致処理を実施し,その対人反応への影響を調べた.供試牛は黒毛和種子ウシ11頭とし,6頭を馴致群とした.初回の処理は生後48時間以内に実施し,1日5分間子ウシを撫でた.処理はその後6日間連続で行った.馴致中の試験者の行動を,撫でる,抑えつつ撫でる,抑えるに分類し,発現時間を計測した.次に子ウシの人に対する逃避反応を馴致終了後から生後90日まで定期的に5回計測した.最後に耳標装着の際の作業時間及び子ウシの行動を記録した.その結果,処理を重ねるにつれ,撫でるは増加し,抑えつつ撫でると抑えるは減少した(P<0.05).伏臥位時の逃避距離は生後12日~15日で対照群と比べ馴致群で短かった(P<0.05).耳標装着時のデータに群間で違いは見られなかった.以上より子ウシは馴致処理を次第に許容することが示唆され,馴致処理の効果は1週間程度持続することが分かった.

  • 清水 祐哉, 大石 風人, 園田 裕太, 木村 義彰, 荻野 暁史, 長田 隆, 広岡 博之
    2020 年 91 巻 3 号 p. 267-274
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
    ジャーナル 認証あり

    温室効果ガス(GHG)排出に対する削減方策の1つとして,家畜からのGHG排出を低減させる飼料(アミノ酸バランス改善飼料を想定しており,以下,「環境にやさしい飼料」とする)に対する関心が高まっている.このような特性をもつ飼料に対し農家がどのような選好を示すかを評価するため,酪農家29戸,養豚農家30戸を対象に計量経済学的手法である離散型選択実験を行った.「環境にやさしい飼料」に対し,「生産量」,「GHG削減量」,「生産物の質」,「食いつきの良さ」,「飼料価格」の5属性を設定した選択セットを作成し農家に提示した.その結果,両農家とも「生産量」や「生産物の質」など収入に直結する属性に対し大きな選好の値を示し,「GHG削減量」に対しても正の選好を示した.また酪農家は「生産物の質」より「生産量」に対し大きな選好を示したが,養豚農家は「生産量」と「生産物の質」の両方に対し同等に大きな選好の値を示した.

技術報告
  • 矢島 昂, 須藤 賢司, 多田 慎吾, 宮地 慎, 青木 康浩
    2020 年 91 巻 3 号 p. 275-280
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    北海道におけるオーチャードグラス(OG)とペレニアルライグラス(PR)の混播採草地から早刈り,短間隔刈り体系によって生産されるサイレージ材料草のWSC含量と,サイレージの飼料成分,発酵品質,栄養価について,北海道で慣行的に行われているチモシー(TY)1番草出穂期刈りによる年間2回刈り体系を対照として検討した.OG・PRは1番草をOGの出穂始めに,2番草および3番草をその後約6週間間隔で収穫・調製した.また,TYは1番草を出穂期に,2番草をその約9週間後に収穫・調製した.OG・PRは,特に1番草でサイレージ材料草のWSC含量が高く,調製されたサイレージの発酵品質が良好であった.また,OG・PRサイレージはCPおよびTDN含量が高く繊維含量が低かった.以上より,OG・PRの早刈り,短間隔刈り利用にはサイレージの発酵品質や栄養価の向上といった利点があることが明らかになった.

  • 荻野 暁史, 大森 英之, 井上 寛暁, 山下 恭広, 長田 隆
    2020 年 91 巻 3 号 p. 281-288
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    最新のデータを用いて,わが国の肥育豚における窒素,リン,カリウムの排せつ量原単位の推定を行った.飼料中の栄養素は,商用のサンプルを収集・分析して測定した他,粗タンパク質(CP)については配合飼料原料使用量と飼料成分値からの推定も行った.飼料として摂取した栄養素と豚体に蓄積した栄養素の差分を栄養素排せつ量とした.その結果,飼料サンプル分析値を用いて推定した肥育豚の窒素,リン,カリウムの排せつ量原単位はそれぞれ,42.7,9.7,12.9g/日/頭であった.窒素およびリンは現行値より大きく,一方カリウムは小さかったが,これは現行値と本研究で推定に用いた飼料中栄養素含量の違いが影響していると考えられた.窒素排せつ量原単位については,飼料中CPを配合飼料原料使用量と飼料成分値から推定した場合は,39.3g/日/頭であり,こちらの方が信頼性は高いと考えられた.

  • 神谷 裕子, 樋口 幹人, 小島 陽一郎, 阿部 佳之, 清家 伸康
    2020 年 91 巻 3 号 p. 289-293
    発行日: 2020/08/25
    公開日: 2020/10/03
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    肥育牛での糞尿へのクロピラリド排泄を明らかにするため,黒毛和種肥育牛4頭(平均14ヵ月齢,平均体重425kg)を供試して,馴致期16日間,本試験期5日間とする消化試験を行った.供試飼料はカラードギニアグラス乾草および市販配合飼料とし,粗濃比約2 : 8で日増体量0.2kgとなるよう給与した.配合飼料には濃度が1.0mg/kgとなるよう市販クロピラリド試薬を添加した.本試験期には糞尿分離機付きストールにおいて,全糞および全尿を分離採取した.また飼料摂取量を計測した.飼料,糞および尿中クロピラリド濃度と飼料摂取量,全糞量および全尿量により,摂取したクロピラリドの糞や尿中への分配率を算出した.その結果,糞尿中へ排泄されたクロピラリドのうち,糞への分配率は9%,尿への分配率は91%となり,乳用牛や反芻動物での既報と同様に,クロピラリドの多くは尿中へ排泄されることが明らかとなった.

解説記事
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