臨床神経学
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症例報告
転移性髄膜癌腫症との鑑別が困難であったprimary diffuse leptomeningeal gliomatosisの1例
中野 史人矢部 一郎秋本 幸子石津 明洋田中 伸哉笠原 正典佐々木 秀直
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2011 年 51 巻 3 号 p. 197-202

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抄録

症例は65歳女性である.進行する歩行障害のため当科受診.認知機能低下,左上肢と両下肢に深部覚障害,開脚不安定歩行をみとめ,MRIにて左中頭蓋窩に腫瘤性病変と脳幹表面の造影像,脊髄表面の造影像と腫瘤性病変をみとめたため転移性髄膜癌腫症がうたがわれた.髄液細胞診をふくめて全身検索をおこなったが,生前には確定診断にいたらず,剖検にてprimary diffuse leptomeningeal gliomatosis(PDLG)と病理診断された.PDLGはまれな疾患で生前診断は困難であるが,転移性髄膜癌腫症類似の画像所見を呈し,全身検査で原発巣をみとめない症例で,PDLGを鑑別するには髄膜生検も検討する必要がある.

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© 2011 日本神経学会
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