症例は84歳男性.77歳時から抗アセチルコリン受容体(acetylcholine receptor,以下AChRと略記)抗体陽性の眼筋型重症筋無力症(ocular myasthenia gravis,以下OMGと略記)として加療されていた.右上腕の筋肉に硬結と疼痛が出現し四肢に広がった.血清抗AChR抗体価とCK値が高値で,MRIで複数の筋肉に炎症を示唆する信号変化を認めた.胸腺腫を認めず抗titin抗体と抗Kv1.4抗体が陽性であり,筋生検により炎症性筋疾患(inflammatory myopathy,以下IMと略記)と診断した.OMGに合併したIMは相対的に軽症である.加齢に伴う免疫寛容の低下がOMGとIMの両方の病態に関与している可能性があり,血清抗AChR抗体価による疾患活動性の評価や抗横紋筋抗体による予後予測が有用である.
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