日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
直接的レニン阻害薬アリスキレン(ラジレス®)の薬理学的特長および臨床試験成績
田中 基晴赤堀 壬紀後藤 展見
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2010 年 135 巻 4 号 p. 159-168

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抄録
ラジレス®はCiba-Geigy社(現ノバルティス ファーマ社)で創製されたアリスキレンフマル酸塩(アリスキレン)を有効成分とする経口降圧薬であり,レニン‐アンジオテンシン‐アルドステロン系の起点に位置する酵素のレニンを直接的に阻害する新規の作用機序を有する.アリスキレンは,ヒトレニンに対して高い種特異性(IC50 : 0.6 nM)を有し,また酵素選択性も高い.動物実験においてもアリスキレンは高血圧モデルにおいて降圧作用を示すのみならず,さまざまな病態における心,腎の臓器障害を保護する作用を示すことが明らかにされている.国内,海外における臨床試験において,さまざまな重症度の高血圧患者に対し,アリスキレンは,150 mgおよび300 mgの1日1回投与で持続的な降圧効果を示し,忍容性も優れていることが示された.また,最近報告された探索的な臨床試験において,アリスキレンの腎臓および心臓に対する臓器保護作用が示唆されているおり,現在,アリスキレンの臓器保護効果を検討するための複数の大規模臨床試験が日本を含む世界各国で実施中である.
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© 2010 公益社団法人 日本薬理学会
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