日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸結節集簇様病変の内視鏡診断と治療
田上 洋一多田 修治神尾 多喜浩藤本 貴久池田 和隆市原 明比古大野 靖一広田 和彦郷 佳克中村 太造瀬上 一誠原口 修大門 秀光川原 文次須古 修二須古 博信
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1995 年 37 巻 4 号 p. 745-753_1

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抄録

内視鏡あるいは外科的に切除された結節集簇様病変25例に対して,内視鏡所見,実体顕微鏡所見,および病理組織所見を対比し,その治療方針について検討した.25例の組織学的診断は,腺腫11例,腺腫内癌14例(m癌10例,sm1癌3例,sm2癌1例)であった.病変の大きさは,癌巣を有する群と腺腫のみの群に有意差を認めなかったが,3cmを越えた6例中5例に癌巣が認められた.内視鏡所見では,均一な結節の集合に加えて,粗大結節状隆起と皺壁肥厚様隆起を認める病変に癌巣を有する頻度が高かった.実体顕微鏡所見では,表面構造の主体は樹枝状・脳回状からなり,癌巣(m癌,sm1癌)の部位で脳回状pitの大型化と鋭角化を認めた.さらに,sm2癌の1例では脳回状pitの荒廃化がみられた.結節集簇様病変の治療法の選択には,切除前の詳細な内視鏡観察が重要で,腫瘍の微細構造の情報を加えることにより,さらに癌巣の発見と深達度診断が向上すると考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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