日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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37 巻, 4 号
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  • 遠藤 龍人, 猪股 正秋, 清川 哲丸, 後藤 芳則, 永岡 哲郎, 小野寺 誠, 藤原 隆雄, 田澤 秀樹, 中塚 明彦, 中野 修, 佐 ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 711-719
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    1992年10月より1993年7月までに食道静脈瘤症例に対して内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)を12例に施行し,本法の問題点について検討した. EVL単独治療症例10例中8例は食道胃接合部の直上に静脈瘤が残存し,EVL単独での完全消失は困難であった.経過観察が可能であった8例中3例に再発を認めたことから長期予後には問題があると考えられた.また,Lgが出現した症例を1例経験した.EVLの適応症例として,1)高度の合併疾患を有するためEISが不可能な症例,2)食道壁外シャントを有する症例,3)Child Cの非代償性肝硬変および末期肝癌症例,4)ヨード過敏症を有する症例などが考えられた. 本法は手技が容易で安全且つ有効な治療法ではあるが,静脈瘤の完全消失を目指すためには以上の問題点や適応を十分考慮して治療にあたることが必要であり,内視鏡的硬化療法併用の必要性が示唆される.
  • 北野 善郎, 卜部 健, 小浦 隆義, 荻野 英朗, 寺崎 修一, 河合 博志, 柳 昌幸, 稲垣 豊, 金子 周一, 鵜浦 雅志, 小林 ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 720-726_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    portal hypertensive gastropathy(PHG)の成因を考察するために,経頚静脈的肝内門脈大循環短絡術(TIPS)を施行した門脈圧亢進症9例においてTIPS前後の門脈圧,食道・胃静脈瘤および胃粘膜病変の変化を比較検討した.9例中8例は食道・胃静脈瘤破裂例で,うち2例にはPHGからの出血歴も認めていた.TIPSにより門脈圧は27.7±7.6mmHgから19.3±5.1mmHg(rnean±S.D)と有意(p< 0.01)に低下した.食道・胃静脈瘤は全例で改善し,7例ではRCサインの消失が得られた.胃粘膜病変も全例で改善し,特にsevere PHGの5例中4例はmild PHGの所見にまで改善した. 以上より,PHGの成因には門脈圧の上昇がより直接的に関与しており,またTIPSはPHGからの出血に対して有効な治療法となりうることが示唆された.
  • 小川 滋彦, 小市 勝之, 中野 由美子, 池田 直樹, 若林 時夫, 川上 和之, 川浦 幸光
    1995 年 37 巻 4 号 p. 727-732
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostorny,以下PEG)の胃食道逆流における有用性を明らかにするため,核医学的方法を用いて,経鼻胃管患者6例に対し,経鼻胃管を留置した状態と抜去した状態とで胃食道逆流を比較検討し,さらにPEG施行後の胃食道逆流を定量的に評価した.また,PEG施行前後め呼吸器感染症の発生頻度についても検討した.経鼻胃管を抜去した状態では,留置した状態に比して,1例を除き胃食道逆流率は改善した.PEG施行後では,経鼻胃管を留置した状態に比して胃食道逆流率は改善する傾向にあり,その値は経鼻胃管を抜去した状態における胃食道逆流率に近似した値であった.また,PEG施行後,全例において呼吸器感染症の程度は改善した.以上より,PEGは経鼻胃管によりもたらされた胃食道逆流を改善し,さらにそれに伴う呼吸器感染症の発生頻度を減少せしめることが示唆された.また,術前に核医学的胃食道逆流.率を測定することにより,PEG施行後の胃食道逆流の予測が可能であり,PEGの適応を決定する上で有用と考えられた.
  • 小川 滋彦, 小市 勝之, 中野 由美子, 池田 直樹, 若林 時夫, 川上 和之, 川浦 幸光
    1995 年 37 巻 4 号 p. 733-738
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    経皮内視鏡的胃瘻造設術(percutaneous endoscopic gastrostomy,以下PEG)を施行するような長期臥床患者では,褥瘡を予防するために定時的な体位交換が必要であるが,胃排出機能の低下した症例では胃食道逆流を誘発する場合があり,管理上の困難をもたらしている.そこで,PEGを施行した7例に対し,モチリン様作用を有するとされるエリスロマイシン(以下EM)を静注および経口にて投与し,核医学的方法を用いて胃排出時間に対する効果を検討した.EM静注200mgでは,PEG施行後の胃排出時間は有意(p< 0.05)に短縮し,しかもPEG施行後に胃排出時間の延長した症例ほど短縮した.また,EM経口200mg×3回/日×4週間投与でも,PEG施行後の胃排出時間は短縮する傾向を認め,特に胃排出時間の延長した症例では著明に短縮した.以上より,PEG患者において,EMの投与は胃排出時間を短縮することにより胃食道逆流を減少させ,またPEGにより胃排出機能が低下した場合でも,その改善を期待しうるものと考えられた.
  • 太田 智之, 折居 裕, 渡 二郎, 村上 雅則, 千葉 篤, 村中 茂人, 高橋 邦幸, 山野 三紀, 峯本 博正, 斉藤 裕輔, 並木 ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 739-744_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    結節集簇様大腸病変39症例41病変について結節の大きさと, そのばらつきから, I型:結節均等型, II型:結節不均等型, III型:粗大結節型の3型に分類し, 病理組織所見と内視鏡所見につき検討した. I型は21病変, II型は8病変, III型は12病変であり, 腫瘍径はII型, III型が有意に1型より大きく, 担癌率はIII型91.7%, II型50.0%, 1型19.0%であった. また, 発赤や陥凹所見をみる病変も有意に担癌率が高かった. 浸潤癌は7病変(sm癌5病変,mp癌2病変)にみられたが,粗大結節部分で浸潤していたもの3病変,陥凹部分が3病変, 結節不均等部分が1病変であり, 特に陥凹所見をみた3病変はすべて浸潤癌であった. 結節集簇様大腸病変の治療は, I型・II型では内視鏡的粘膜切除の適応となるが, III型や病変内に陥凹所見をともなうものは,浸潤癌を考慮した適切な治療法の選択が必要である.
  • 田上 洋一, 多田 修治, 神尾 多喜浩, 藤本 貴久, 池田 和隆, 市原 明比古, 大野 靖一, 広田 和彦, 郷 佳克, 中村 太造, ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 745-753_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    内視鏡あるいは外科的に切除された結節集簇様病変25例に対して,内視鏡所見,実体顕微鏡所見,および病理組織所見を対比し,その治療方針について検討した.25例の組織学的診断は,腺腫11例,腺腫内癌14例(m癌10例,sm1癌3例,sm2癌1例)であった.病変の大きさは,癌巣を有する群と腺腫のみの群に有意差を認めなかったが,3cmを越えた6例中5例に癌巣が認められた.内視鏡所見では,均一な結節の集合に加えて,粗大結節状隆起と皺壁肥厚様隆起を認める病変に癌巣を有する頻度が高かった.実体顕微鏡所見では,表面構造の主体は樹枝状・脳回状からなり,癌巣(m癌,sm1癌)の部位で脳回状pitの大型化と鋭角化を認めた.さらに,sm2癌の1例では脳回状pitの荒廃化がみられた.結節集簇様病変の治療法の選択には,切除前の詳細な内視鏡観察が重要で,腫瘍の微細構造の情報を加えることにより,さらに癌巣の発見と深達度診断が向上すると考えられた.
  • 渡辺 憲治, 大川 清孝, 石黒 信吾, 大庭 宏子, 森吉 靖子, 根引 浩子, 山田 英明, 針原 重義, 平田 早苗, 奥野 匡宥, ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 754-759_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    大腸結節集簇様病変18症例18病変について検討した.10病変が腺腫内癌,3病変が病変全体が癌であり,18病変中13病変(72.2%)が癌,あるいは癌含有病変であった.われわれの対象とした病変が,2cm以上の大きさのものが67%を占めたために,癌が高率になったと考えられた.また,同時性及び異時性を含め7例(38.9%)が大腸癌を,11例(61.1%)が大腸に腺腫を合併しており,これらの割合はいつれも既存の報告に比べ高率であった.以上より,結節集簇様病変は病変の大きさや表面性状などから治療法を検討し,完全に切除する必要がある.患者に対しては,全大腸の内視鏡観察が不可欠であり,また,大腸癌のhigh risk群として,治療後も定期的な大腸内視鏡による経過観察が必要であると考えられた.
  • 尾田 恭, 藤井 隆広, 木庭 郁朗, 大中 治, 室 圭, 朴 成和, 大津 敦, 吉田 茂昭
    1995 年 37 巻 4 号 p. 760-766_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    Is型大腸腫瘍76病変を対象とし,その組織異型度(低および高異型性腫瘍)と内視鏡所見,病変の局在,性,年齢等との関連性を統計手法によって検討し,組織異型度をより正確に反映する診断指標を検討した.まず,設定した諸因子と組織異型度との独立性をX2乗検定によって検討し,この検定によって5%以下の危険率で有意と判定された7つの内視鏡所見(大きさ,陥凹,緊満感,びらん,分葉溝の消失,白斑,ダルマ型)について数値を振り分け,組織異型度と内視鏡所見,および内視鏡所見同士の相関係数をPearson法によって求めたところ,組織異型度との相関係数は分葉溝の消失,緊満感が0,58と高く,陥凹は0.4と低かった.更に,数値化した内視鏡所見を説明変数,組織異型度を応答変数としてロジスティック回帰による多変量解析を試みたところ,組織異型度が低異型性から高異型性へと診断されるオッズ比は陥凹が27倍・緊満感が5.3倍,びらん3.7倍,大きさが3.6倍と計算された. 以上の結果から,Isポリープにおいては局在,色調は異型度の診断には重要でなく,陥凹があればかなり強く高異型性腫瘍を疑うべきであり,緊満感の高い病変においても同様と考えられた.また,緊満感と分葉溝の消失とは相互の相関性が高いが,分葉溝の消失を認めても緊満感を示さない場合には高異型性腫瘍の可能性は低いと考えられた.また,びらんを有する病変や大型の病変についても高異型性腫瘍の可能性を考慮して臨床的取り扱いを決定すべきである.
  • 松岡 正記, 吉田 行哉, 早川 和雄, 福地 創太郎, 星原 芳雄
    1995 年 37 巻 4 号 p. 767-772_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は39歳女性.検診の上部消化管造影検査で胃ポリープを指摘され,当院紹介受診す.内視鏡検査では穹隆部前壁に径約2cmの有茎性粘膜下腫瘍様病変を認めた.超音波内視鏡検査では,内部に大小様々な無エコー域が充満していた.内視鏡的に切除したところ,粘膜下層に嚢胞状拡張を示す異所性腺管の増生を認め,胃過誤腫様ポリープと診断した.超音波内視鏡画像における無エコー域は,嚢胞状拡張部に相当し,診断上重要な所見であると考えられた.
  • 小嶌 秀之, 吉治 仁志, 福井 博, 辻井 正, 西村 公男, 鶴薗 卓也, 木村 隆昭, 岩澤 秀, 渡辺 巌, 斉藤 守重
    1995 年 37 巻 4 号 p. 775-781_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    67歳,女性.嘔吐,体重減少のため精査を行った.小腸二重造影および小腸内視鏡で十二指腸空腸曲から約11cm肛門側に輪状狭窄型の腫瘍を認め,粘膜は粗造で易出血性であった.生検にて低分化型腺癌と診断し手術を行った.腫瘍は4×2cm大で漿膜側まで浸潤しておりリンパ節転移を認めた.本例は,小腸癌では比較的少ない低分化型腺癌であり,さらに低分化型には稀な輪状狭窄型を呈している点で貴重な症例と考えられた.
  • 関 英幸, 鈴木 潤一, 竹薮 公洋, 北浜 秀一, 浜本 浩英, 金井 哲伸, 三浦 淳彦, 足立 智昭, 川上 義和
    1995 年 37 巻 4 号 p. 782-786_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    転移性十二指腸腫瘍は,比較的稀である.今回われわれは,原発性肺癌において生前に十二指腸転移を発見した2症例を経験した. 症例1:49歳男性,主訴は頸部腫瘤.胸部X線写真上右肺に1.5cmの辺縁不整な淡い浸潤影を認め,同部よりの擦過細胞診にて腺癌が証明された.下血のため上部消化管内視鏡検査を行い,十二指腸下行脚入口部に中心陥凹を伴う隆起性病変の多発が発見された.同部の生検より未分化腺癌が証明されたため,原発性肺癌の十二指腸転移と診断した.症例2:72歳男性,主訴は胸部X線写真の異常陰影の精査.胸部X線写真上左肺門部に4×5cmの腫瘤影を認め,同部よりの生検にて中分化扁平上皮癌が証明された.便潜血反応陽性のため上部消化管内視鏡検査を施行したところ,十二指腸球部から下行脚の移行部に中心陥凹を伴う隆起性病変が多発していた.同部の生検より扁平上皮癌が証明され,原発性肺癌の十二指腸転移と診断した.
  • 宮崎 道彦, 福田 一郎, 国府 育央
    1995 年 37 巻 4 号 p. 789-791_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,男性.粘血便を主訴に来院したS状結腸の腸管嚢腫状気腫症の一例を経験した.腹部単純X線検査(立位)で蜂窩状のガス像を,また注腸検査ではS状結腸に多発ポリープ像を,下部消化管内視鏡検査では同部位に発赤を伴う大小様々な大きさの粘膜下の隆起性病変の集族を認めた.
  • 加藤 慎一, 鳥居 明, 美田 敏宏, 中林 知子, 小井戸 薫雄, 桜井 隆弘, 稲玉 英輔, 根岸 道子, 日野 いづみ, 有泉 雅博, ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 792-796_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は62歳,男性.便潜血反応陽性を指摘され注腸造影,大腸内視鏡検査施行.上行結腸に2.5cm×8.5cmの黄色調で軟らかい隆起性病変が認められ大腸脂肪腫と診断した.さらに,頂部に顆粒集簇部がみられ,生検で高分化型腺癌の診断がなされた.巨大な腫瘤であり,開腹下に腫瘍部の腸切除術が施行された.大腸癌併存大腸脂肪腫は本邦では現在まで20例の報告をみるが,本症例のように脂肪腫と粘膜内癌の併存は過去に1例の報告をみるにすぎず,きわめてまれな症例と考え報告した.
  • 藤田 欣也, 吉田 訓子, 北村 千都, 伊藤 義幸, 柴峠 光成, 菅田 信之, 清水 誠治, 多田 正大
    1995 年 37 巻 4 号 p. 799-804_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2012/02/13
    ジャーナル フリー
    Inflammatory fibroid polypを合併したCowden病の1例を経験した.症例は55歳,女性,特徴的な皮膚所見からCowden病と診断し,また全消化管に多発性ポリープを認めた. 上行結腸の巨大な有茎性ポリープは病理組織学的にinflammatory fibroid polypと診断されたが,Cowden病の消化管ポリープの病理組織学的所見の特徴は過誤腫性と過形成性との混在とされており,inflammatory fibroid polypとの合併の報告は本例が最初である.
  • 藤田 欣也, 吉田 訓子, 北村 千都, 伊藤 義幸, 柴峠 光成, 菅田 信之, 清水 誠治, 多田 正大
    1995 年 37 巻 4 号 p. 800-804_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/19
    ジャーナル フリー
    Inflammatory fibroid polypを合併したCowden病の1例を経験した.症例は55歳,女性,特徴的な皮膚所見からCowden病と診断し,また全消化管に多発性ポリープを認めた. 上行結腸の巨大な有茎性ポリープは病理組織学的にinflammatory fibroid polypと診断されたが,Cowden病の消化管ポリープの病理組織学的所見の特徴は過誤腫性と過形成性との混在とされており,inflammatory fibroid polypとの合併の報告は本例が最初である.
  • 木下 隆弘, 里見 匡迪, 松村 徹也, 福井 信, 小坂 正, 山村 誠, 川浦 昭彦, 福田 能啓, 田村 和民, 大野 忠嗣, 下山 ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 805-811_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は53歳,男性.Cronkhite-Canada症候群の診断で3年間治療を続けた後,回盲部の巨大ポリープによる腸重積のため右半結腸切除術を行った症例を経験した.切除標本の組織学的検討で,巨大ポリープは若年性ポリープ様組織像のみで癌・腺腫は認めなかった.しかし近傍のポリープには腺腫成分の併存を認めた.
  • 安田 一朗, 冨田 栄一, 山田 俊樹, 井野 順子, 清水 洋孝, 河村 英博, 黒田 剛仁, 西垣 洋一, 高橋 健, 名倉 一夫, 辻 ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 812-819
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は71歳の男性,黄疸の出現にて当科入院となった.腹部超音波検査,超音波内視鏡検査,CT検査にて膵頭部に腫瘤像を認め,総胆管下部はこの部位で閉塞していた.さらにERCP,腹部血管造影を施行したが,画像所見上は腫瘤形成性膵炎を強く疑った.また,入院時において血清アミラーゼ値が高値を示していたが,入院後は徐々に低下し,黄疸もこれに並行して改善傾向を示した.臨床経過からも腫瘤形成性膵炎を疑ったが,念のため経乳頭的に狭窄部の生検を施行したところ,結果は低分化型腺癌との診断であり,このため外科的手術(膵頭十二指腸切除)がなされた.切除標本における病理組織学的検索によって,最終的には,膵実質への浸潤を伴う胆管癌と診断された.
  • 水腰 英四郎, 北村 康, 根本 朋幸, 大場 栄, 坂本 徹, 北野 善郎, 河合 博志, 寺崎 修一, 柳 昌幸, 卜部 健, 稲垣 豊 ...
    1995 年 37 巻 4 号 p. 820-826_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性のアルコール性肝硬変.大量下血にて入院.Portal hypertensive colopathyによる出血を疑い,緊急で経頸静脈的肝内門脈大循環短絡術を施行し止血した.施行直後の大腸内視鏡所見では,多発性のびらん,くも状血管腫様病変,樹枝状血管拡張,直腸静脈瘤の所見を認めたが,1カ月後の内視鏡所見では,これらの病変はほぼ消失していた.本例はその成因と治療を考察するうえで興味深い症例と考えられた.
  • 青木 貴徳, 齋藤 博哉, 高邑 明夫, 桜井 康雄, 大西 浩平, 村上 雅則, 花輪 真, 長谷川 貴
    1995 年 37 巻 4 号 p. 827-832_1
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    食道癌,肺癌に伴う食道気管支瘻7例(肺癌1例,食道癌6例)に,Gare-tex(R)で被覆したEMSを用い瘻,孔閉鎖を試みた.反回神経麻痺を伴っていた1例を除く6例(85.7%)で経口摂取可能となった.4例(57.1%)で中心静脈栄養より離脱し,うち2例(28.6%)では退院し自宅療養を行なうこともできた. 合併症は2例(28.6%)に認められ,いずれも留置位置よりのcoveredEMSの逸脱であった.しかし,逸脱に伴う臨床症状は認められず,穿孔や圧迫壊死といった留置自体に伴う致命的な合併症は認めなかった. covered EMSは,悪性腫瘍に伴う食道気管支瘻の閉鎖を安全かつ低侵襲下に施行できQOL向上に寄与する方法と考えられた.
  • 斎藤 清二, 龍門 育子, 樋口 清博, 田中 三千雄, 渡辺 明治, 坂本 隆, 藤巻 雅夫
    1995 年 37 巻 4 号 p. 835-840
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
    ブラジル国カンピーナス大学消化器病診断・研究センターにおいて,血液伝染性感染症の消化器内視鏡検査前感染症スクリーニングを984名の患者を対象に行った.この研究は,国際医療協力事業の一プロジェクトにおける感染危険者の頻度を知り,さらに内視鏡検査を介しての感染を防ぐための方策を検討するために計画されたものである. HBs抗原,HIV抗体,TPHA抗体の陽性率は,それぞれ1.2%,2.3%,8.4%であった.性別,年齢別検討では,HIV抗体陽性者において,若年男性に有意に陽性率が高い結果が得られた.重複感染例については,HIVとTPHAの両者陽性の症例が9例みられた.検査指示医からの臨床情報で,感染症の有無が検査前に知られたのは,陽性者中の約15%に過ぎなかった.以上の結果より,国際協力の医療現場において,内視鏡検査前の感染症スクリーニング検査を行うことは,内視鏡検査を通じての感染を予防するために有用であると思われた.
  • 1995 年 37 巻 4 号 p. 841-892
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
  • 1995 年 37 巻 4 号 p. 893-908
    発行日: 1995/04/20
    公開日: 2011/05/09
    ジャーナル フリー
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