日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸内視鏡検査後に発生した後腹膜および皮下気腫に高圧酸素療法が有効であった1例
饗場 正明大和田 進佐藤 啓宏小林 功中村 正治川島 吉之横江 隆夫森下 靖雄
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1995 年 37 巻 7 号 p. 1460-1466

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抄録

大腸内視鏡(以下,CFと省略)検査による穿孔で,腹腔内遊離ガスおよび後腹膜,陰嚢内から頸部皮下に気腫を呈した症例に対し,高圧酸素療法を行い良好な結果を得た.症例は65歳の男性で,便潜血反応陽性のため近医でCF検査が施行された.検査5時間後に下腹部痛が出現し,2日後の腹部単純X線写真で腹腔内遊離ガスと広範な皮下気腫を認め,当科に入院した.体温は38.5度,左下腹部に限局した圧痛と軽度の筋性防御と頸部から両鼠径部にかけての広範な皮下気腫を認めた.白血球数の増加とCRP値の上昇がみられた. CT検査でも腹腔内,後腹膜,陰嚢内および胸腹部の皮下にガス像が認められた.抗生剤,直腸内減圧および高圧酸素療法の保存的治療で治癒せしめた.CF検査による穿孔で,後腹膜や皮下などに気腫を呈する例は稀で,腹腔内遊離ガスと同時に後腹膜や皮下に気腫を認める症例の報告はみられない.また,高圧酸素療法は後腹膜および皮下気腫のガスを減少させるなど有効と思われた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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