日本消化器内視鏡学会雑誌
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膵管内迷入ステントを内視鏡的に回収した1例
小林 剛藤田 直孝野田 裕木村 克巳八子 章生菊地 達也菅田 英明内海 潔
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1998 年 40 巻 6 号 p. 943-947

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抄録

症例は再燃を繰り返す慢性膵炎例で,膵頭部の主膵管狭窄に対し膵管内にステントを留置した(以下,膵管ステント).後日,ステントのピッグテイル部が拡張膵管内で丸まり,その収縮力によってステントの膵管内迷入が生じた.内視鏡的な回収に難渋したが,Soehendraらによって胆道用として開発されたstent retrieverを,膵管ステントに応用し回収可能となった.このretrieverの特徴はネジ釘状の先端部が,ガイドワイヤーの使用によりステントと同軸化できる構造になっている点である.そのためretriever先端が容易にステント内腔に先進可能で,把持力も強力であった.さらに内視鏡を抜去することなく鉗子口からステントを回収することも可能である.この方法は膵管ステントの偶発症として頻度の高い,ステントの膵管内迷入例に効果的な回収法と考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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