2005 年 47 巻 6 号 p. 1227-1235
Lewin,Herrmanらの定義に合致する食道原発T細胞性悪性リンパ腫の2例を報告する.第1例目は76歳の男性で食道に潰瘍を伴う隆起性病変を認め,諸検査にて成人T細胞性白血病によるものと診断した.これは本邦報告第1例目である.第2例目は78歳の女性で食道の多発性潰瘍の他に肉眼では病変がないと思われた部位にルゴール不染帯が出現した.同部の生検にてT細胞性悪性リンパ腫と判明した.過去の本邦報告例では平坦型を呈した報告はない.また,食道原発悪性リンパ腫はB細胞性が多く,T細胞性によるものは本報告を含め8例のみである.