日本老年医学会雑誌
Print ISSN : 0300-9173
胃原発の成人T細胞性白血病リンパ腫の1例
馬場 麗東梅 友美太田 秀一三浦 洋子豊島 經康田中 淳司浅香 正博今村 雅寛
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2004 年 41 巻 2 号 p. 228-232

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抄録

症例は70歳女性. 平成14年3月より左上腹部痛が出現し, 微熱・体重減少も認められたため, 近医を受診. 白血球数・LDH及びCRPの上昇を認め前医紹介となり, 精査加療目的で当科入院となった. 上部消化管内視鏡検査にて, 胃体上部から胃角部にかけて全周性に潰瘍及び隆起性病変を認め, 病理組織学的にはT細胞性リンパ腫を呈し, 抗 human T-cell lymphotrophic virus type I (HTLV-I) 抗体陽性であり, 胃生検検体のPCR法による解析においてHTLV-IプロウイルスDNA (GAG) が検出されたことから成人T細胞性白血病リンパ腫 (Adult T-cell leukemia/lymphoma: ATLL) と診断した. 診断後化学療法を施行するも効果が認められず, 急速な経過で死亡した. 本疾患は高齢者に比較的多発する傾向があり, 胃を含む消化管病変もしばしば経験される. しかし, 胃原発のATLLは我々の検索した範囲内ではこれまで13例が報告されているのみであり, 極めて稀であることから, 今回文献的考察を加えて報告する.

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