ブドウ‘ピオーネ’を供試し,加温開始約2週間後に樹皮を高圧の水で剥いだ後,結果母枝と主枝・幹の部分に分けて15N-尿素10倍液を塗布処理し,新梢生長と15Nの吸収・利用との関係を検討した.主枝および幹に処理した幹処理区では発芽後の新梢生長が優れる傾向で,葉のクロロフィル含量が多かった.展葉2枚期の新梢中の全窒素含量は幹処理区が結果母枝のみに処理した枝処理区および無処理区よりも多かった.全窒素における15N-尿素の寄与率は,枝処理区が約1%であったのに対し,幹処理区は約7%と高かった.このことから,幹や主枝表面から吸収された窒素が発芽後の生育に有効に利用されていることが考えられた.