日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
経過の異なる肺リンパ脈管筋腫症の2例
平安 恒男上原 忠大知念 徹治國吉 幸男
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2008 年 22 巻 1 号 p. 24-30

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抄録
肺リンパ脈管筋腫症(LAM)は,主に妊娠可能年齢の女性に発症する希な疾患で,女性自然気胸の重要な基礎疾患の一つである.我々は経過が異なる肺リンパ脈管筋腫症の2例を経験したので報告する.症例1;26歳女性.右腎腫瘍精査中に自然気胸を発症,胸部CTで両側肺に多発性薄壁小嚢胞を指摘された.胸腔鏡下肺部分切除術が施行されLAMの診断となった.その後,右腎および肝臓腫瘍に対し,右腎全摘術と肝部分切除術が施行され,血管筋脂肪腫の診断であった.症例2;45歳女性.急な呼吸困難と胸痛を主訴に入院.胸部CTにて左側の自然気胸と両側肺の多発性小嚢胞陰影を指摘された.胸腔鏡下ブラ切除と胸膜癒着術を施行しLAMの診断となった.症例1は肝腫瘍切除後1年,残存肝内と肺内に腫瘤再発を認める.症例2は肺部分切除後1年現在,再発所見はない.LAMの臨床経過は多様で,症例ごとの適切な治療方法の選択と厳重な経過観察が必要である.
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