日本呼吸器外科学会雑誌
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症例
左肺摘除術を施行した先天性第VII因子欠乏症の1例
城台 環上田 純二加藤 雅人
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2009 年 23 巻 1 号 p. 101-104

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抄録

先天性第VII因子欠乏症は第VII因子の量的・質的異常による出血性素因を示す稀な疾患である.先天性第VII因子欠乏症を伴った肺癌に対して,左肺摘除術を施行した症例を経験した.症例は65歳男性.左肺扁平上皮癌(T4N1M0,Stage III B)に対し,左肺摘除術を予定した.しかし,術前の凝固機能検査でプロトロンビン時間の延長(16.9秒),トロンボテストの低下(37.4%),第VII因子活性の低下(47%)を認め,先天性第VII因子欠乏症を伴う左肺癌と診断した.出血に留意した丁寧な手術操作を心がけるとともに,術中に遺伝子組換え活性型第VII因子製剤(rFVIIa,注射用ノボセブン®)の投与を行い,安全に左肺摘除術を施行しえた.

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