2007 年 27 巻 3 号 p. 3_75-3_83
本研究の目的は,緩和ケア病棟と一般病棟の看護師が抱く「よい最期」を記述すること,両病棟間の看護師が捉えるよい最期に違いがあるかどうかを検討することである.研究デザインは,質的帰納的研究デザインとした.研究協力者は,緩和ケア病棟に勤務する看護師10名,一般病棟に勤務する看護師12名である.インタビュー法と参加観察法を用いてデータ収集を行った.《家族に囲まれて亡くなっていく》《症状のコントロールができており苦しみがない》《残された時間を充実して過ごす》《静かな最期》《死を受け止める》という5カテゴリーが見出された.緩和ケア病棟と一般病棟の看護師が捉えるよい最期の像の特徴を比較すると,何を理想としているのかに大きな違いはみられなかったが,自分の捉えるよい最期が実現されていると考えているか,よい最期の実現に自分自身が関われていると考えているか,について違いがみられた.