日本看護科学会誌
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最新号
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総説
  • 大平 幸子, 松田 光信, 河野 あゆみ
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 100-105
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/08/25
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    目的:精神障害者のレジリエンスの概念を分析し,その構造を明らかにすることにより,看護実践や研究における有用性を検討することである.

    方法:43文献を対象として,Rodgersの概念分析アプローチを用いて分析した.

    結果:属性には3カテゴリー【回復を支える個人的要素】【多側面からのエンパワー】【個人に内在する力の発動】を抽出した.先行要件には2カテゴリー,帰結には3カテゴリーを抽出した.

    結論:レジリエンスの概念は,回復力を重視することによって精神障害者がその人らしく生きること,そして【人間的な成長】を実現する過程を表す概念である.結果より【回復を支える個人的要素】と【多側面からのエンパワー】の要素が,精神障害者の【個人の内在する力の発動】を可能にすることが明らかとなった.これらの要素の強化により,精神障害者のレジリエンスを高めることができ,精神障害者への支援を検討するうえで有用である.

  • ―Camberwell Assessment of Needとの比較検討―
    大竹 文, 永嶺 仁美, 丸山 佳代, 角田 紘子, 森田 久美子
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 298-304
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
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    目的:文献レビューにより精神障害をもつ人のニーズアセスメント尺度を比較し,実用性を検討する.

    方法:PubMed,CINAHL,医学中央雑誌を用い,“mental disorders”“needs assessment”“tool”「精神障害」「ニーズアセスメント」をキーワードとして2018年11月までに発表された文献を検索した.

    結果:海外文献からニーズアセスメント尺度が9種得られた.その中でCamberwell Assessment of Need(CAN)が広く使用されている信頼性の高い尺度であった.CANのアセスメント項目や評価段階を増加する試みも見られたが,新たな尺度で臨床における実用性が改善したものは見られなかった.国内文献からはニーズアセスメント尺度は見当たらなかった.

    考察:今後CANの和訳と改良を検討し,精神障害をもつ人の支援に活用できるよう検討することが必要である.

  • 平岩 千明
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 305-311
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
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    目的:精神状態の急性増悪に直面した家族の体験について,文献から明らかにし,看護実践と研究への示唆を得る.

    方法:医学中央雑誌,PubMed,CINAHLを用いて,精神状態の急性増悪に直面した家族の体験について論じられている原著論文を抽出した.メタエスノグラフィーを参考に各論文を比較検討し,家族の体験を明らかにした.

    結果:7論文を比較検討した結果,家族の体験には,「対応を要する事態であると気づく」「あらゆる手を尽くす」「必要なケアを受けられず苦悩する」「高い(低い)専門家たちの対応の質に触れる」「ケアから排除される」「医療従事者の対応によって苦悩する」があった.

    結論:精神的・身体的打撃に晒されながら必要な支援を受けられずにいる家族に対して,国内でも早期介入サービスの構築が望まれる.また,看護師は,家族が自信を持って精神状態が悪化した人に関われるよう,必要な情報を互いに共有し合う姿勢を持つ必要がある.国内でも同様の研究をしていく必要がある.

  • 阿部 オリエ
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 465-473
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/18
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    目的:臨地実習における「学生の看護上の判断」の概念を明らかにすることを目的とした.

    方法:Walker & Avantの概念分析の方法を参考に,入手可能な全ての文献を対象として分析を行い概念分析を実施した.

    結果:先行要件は,【臨地実習における状況下】【受け持ち対象者との関わりの場面】【学生自身が実践するケア場面】【学生自身が判断に困った場面】【学生自身の思考が始まる場面】に分類された.次に,属性は,【患者を理解した上での決定】【ケア実施に伴う決定】【看護過程の各段階における決定】【一時点における決定】【プロセスを伴う決定】【学習の土台となる基本的な学生自身の能力】【高度な学生自身の思考能力】【未熟な学生自身の能力】に分類された.また,帰結は,【クリティカルシンキング・看護過程の思考法の定着】【アセスメントの向上】【正確な対象理解】【適切なケアの実践】【状況における判断】に分類された.

    考察:臨地実習における「学生の看護上の判断」には,決定の範囲があるということ,一時点における決定とプロセスを伴う決定があるということ,影響を与える学生自身の能力が存在するという3つの特徴があると考えられた.また,【患者を理解した上での決定】と【ケア実施に伴う決定】は,患者の存在無くしては学ぶことのできない看護上の判断と考える.

    結論:臨地実習における「学生の看護上の判断」には,学生自身で獲得することが困難な看護上の判断もあるため,教育による支援が不可欠であるといえる.中でも,【患者を理解した上での決定】や【ケア実施に伴う決定】といった看護上の判断を育成するには,患者へのケアを共有することが重要であることが示唆された.

  • 手塚(小滝) 桃子, 坪井 桂子
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 495-501
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/27
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    目的:ケア提供者からみたエンド・オブ・ライフに対する高齢者の価値観の概念分析を行い,定義を明らかにすることを目的とする.

    方法:日本国内の50文献を対象に,Rodgersの概念分析の手法を用い分析した.

    結果:【他者から尊重される】【多様で個別性のある長い人生経験により物事の考え方が形成される】【その人なりの暮らし方に現れる】【残された時間を意識し揺れ動き変化する】【その人が望む最期を選択する決定要因となる】の5属性,5先行要件,4帰結が抽出された.

    結論:本概念は「他者から尊重される多様で個別性のある長い人生経験により形成された物事の考え方であり,その人なりの暮らし方に現れ,残された時間を意識し揺れ動き変化しながら,その人が望む最期を選択する決定要因」と定義された.

  • 山本 美保, 吉岡 さおり
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 537-543
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/27
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    目的:心不全患者のアドバンス・ケア・プランニングの概念を明らかにすることである.

    方法:Rodgers(2000)の概念分析の手法を用いた.

    結果:分析の結果,7つの属性【希望を持ちながら最悪の事態への備え】【その人の価値の探求】【疾患管理を見据えた生活の編み直し】【病みの軌跡に関する認識を合わせること】【納得したケアゴールに向けた対話】【段階的で継続的な取り組み】【患者の意思をつむいでいくこと】,4つの先行要件,4つの帰結が明らかになった.

    結論:本概念は「患者が家族・医療者とともに価値を探求し,疾患管理のための生活の編み直しをしながら,最悪の事態への備えとして,病みの軌跡に関する認識を合わせることや,納得したケアゴールに向けた対話を繰り返し,患者の意思をつむいでいくプロセス」と定義した.本概念は心不全の臨床経過の特徴を反映し,慢性疾患のセルフマネジメントの要素を含むことが示唆された.

  • 宮部 明美, 鈴木 玲子, 常盤 文枝, 山口 乃生子, 大場 良子, 東口 晴菜
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 629-635
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/10
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    目的:本研究は「中堅看護師の教育力」の概念分析を行い,その構成概念と定義を明らかにした.

    方法:Rodgersの手法を用いた.データは医学中央雑誌Webを用いて「中堅看護師」AND「教育」を入力し,目的に合う文献31件を抽出した.

    結果:属性は【看護実践モデル】【指導方略】【対人関係】【役割遂行】【問題解決行動】【自己研鑽】,先行要件は【看護の中核的存在】【キャリアデザインの認識】【成人学習者の特性】【組織支援体制】,帰結は【専門性の高い看護の提供】【キャリアデザインの促進】【成人学習者としての向上】【役割遂行の向上】を抽出した.

    結論:中堅看護師の教育力とは,「現場における看護実践モデルとして,指導方略を用い,対人関係を構築して役割を遂行する中で問題解決に取り組むことで獲得する能力である.また,問題解決行動を繰り返し用いながら自己研鑽に努めることで向上できる能力である.」と定義した.

  • 中井 あい, 齋藤 智子
    原稿種別: 総説
    2020 年 40 巻 p. 654-660
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/03/10
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    目的:独居高齢者の低栄養状態に関連する食環境アクセシビリティについて,先行研究で得られている知見を文献検討から明らかにし,独居高齢者の食生活支援に対する地域看護実践について検討する資料を得ること.

    方法:PubMed,CINAHL,医学中央雑誌Web版をデータベースとし,1999年から2018年の間に発表された文献を検索し,検討した.

    結果:独居高齢者の栄養状態は低い傾向にあった.独居高齢者の低栄養状態に関連する食環境アクセシビリティの要素として,【低い経済状況】,【孤立感と孤食】,【機能低下】,【希薄な社会ネットワーク】,【食事に関する低いスキルと行動】,【食事を変える意欲の低さ】,【買い物に不便な居住状況】が挙げられた.

    結論:独居高齢者の低栄養状態に関連する食環境アクセシビリティは多様であり,複雑に関連している.独居高齢者の食生活支援は,食環境アクセシビリティの要素における障害を検討し,それに対応して実践していくことが必要である.

原著
  • 畑中 純子, 畑中 三千代, 髙﨑 正子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 5-13
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/19
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    目的:熟練産業看護職が産業看護活動において重視する目的と活動の構造を明らかにする.

    方法:熟練産業看護職10名に半構造化面接を行い,質的統合法を用いて分析した.

    結果:労働者への〈健康と労働からの制約の中でその人らしく働くことや生きることの実現〉〈退職後を見据えながらの心身共に健康に過ごせるための関わりの積み重ね〉〈会社組織の状況やキーパーソンを見極め,タイミングを見計らっての提案と活動の提供〉〈人財育成と段階的な活動の積み上げによる会社組織の産業保健の自立の実現〉〈労働者・管理者間等の意見調整と労働者への支援活動と職場への支援活動の連結〉〈中立の立場から専門職として関わり続けることによる信頼関係づくり〉〈専門性を高めるための体験学習と専門知識の習得の継続〉の7つが抽出された.

    結論:対象者との関係性を基盤として会社組織の産業保健の推進と自立および労働者の健康と生き方を支援していた.

  • 鳥谷 めぐみ, 長谷川 真澄, 粟生田 友子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 14-22
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/27
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    目的:高齢軽症脳梗塞患者の体験に基づいた再発に関するリスク認知を記述する.

    方法:65~88歳の軽症脳梗塞患者18名を対象に半構造化面接を行い,脳梗塞の再発リスクや疾患,健康管理に関する捉えについて質的記述的に分析した.

    結果:高齢軽症脳梗塞患者の再発に関するリスク認知には,【再発への漠然とした気がかりがある】【再発に対して何に気を付ければよいかわからない】【脳梗塞になることを気にしても仕方がない】と深刻な再発の危機感を持っていないことが語られた.また,【自分の脳梗塞は軽くて回復している】【発症前から健康管理ができていた】という自身の疾患や健康管理の評価から再発を漠然と捉えていることが明らかになった.

    結論:高齢軽症脳梗塞患者は再発に対する重大性や脆弱性を認識していず,再発予防への動機づけが不十分である.したがって看護師は患者の主観的な再発に関するリスク認知を把握し,個人の理解に応じた支援を行う必要性が示唆された.

  • 野正 佳余, 横山 美江
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 23-31
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/27
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    目的:本研究は,ハンチントン病患者の血縁者がもつ遺伝に関する体験を明らかにし,看護職の役割を検討するための基礎資料とすることを目的とした.

    方法:半構造化面接法を用いてデータ収集し,質的記述的研究にて分析した.

    結果:研究参加者は10名,年齢は平均53.6歳(SD = ±28.5)であった.分析の結果,7つのカテゴリーと39のサブカテゴリーを抽出した.研究参加者は,【発症者への違和感】を持ち,【漠然と気づく家系の病気】を感じていた.【発症者の人格の変化による生活への支障】が生じ,【遺伝家系であることに囚われ(る)】,【自分が発症した時を脅え(る)】,【遺伝について伝えることを躊躇(する)】していた.さらに,【発症者自身やその家族が孤立(する)】していた者もいた.

    結論:ハンチントン病患者の第一度近親者は,漠然と家系の病気を気づき,遺伝について囚われ,自分が発症することに脅えながら,発症者とともに過ごしていた.

  • 西村 結花, 古瀬 みどり
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 32-39
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/03
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    目的:人工股関節全置換術(THA)を受ける高齢患者のSEIQoLの変化および疾患特異的尺度,健康関連QOLとの関連を明らかにする.

    方法:初回THAを受ける65歳以上の患者30名を対象に,入院時,退院時,退院後6か月時で,SEIQoL—DWの半構造化面接及び疾患特異的尺度(JHEQ),健康関連QOL(SF-8TM)の質問紙調査を実施した.

    結果:THAを受ける患者のSEIQoL Index Scoreは経時的に有意な点数の上昇が認められた.SEIQoL Index ScoreとJHEQ,SF-8TMとの関連は時期ごとに有意に関連する内容が異なっていた.

    結論:THAを受ける高齢患者の術後QOLの改善が示唆された.また,入院時,退院時,退院後6か月時の時期により,重要視するQOLの内容が変化することが示唆された.

  • 菅原 厚史, 笠原 聡子, 石松 一真
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 47-55
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/11
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    目的:小児専門病院での医師-看護師間の協働の態度に関連する個人要因を検討した.

    方法:医師と看護師に無記名自記式質問紙を郵送し,臨床経験年数,医師-看護師間の協働の態度(JSAPNC),協働によるリスク・ベネフィットの認識,ファミリーセンタードケアの実践(MPOC-SP)などを調査した.

    結果:233名から調査票を回収し,医師70名,看護師132名を分析対象とした.JSAPNC合計点を目的変数とした重回帰分析の結果,医師は協働による患者リスク軽減の認識とMPOC-SP得点が,看護師はそれらに加え臨床経験年数も有意となった.

    結論:小児専門病院での医師-看護師間の協働の態度の向上には,協働による患者リスク軽減の認識を高め,ファミリーセンタードケアを推進する必要がある.看護師では小児専門病院の看護師としての専門性を発揮できるような早期の介入も求められる.

  • 稲垣 安沙, 高野 純子, 野口 麻衣子, 山本 則子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 56-64
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/23
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    目的:地域高齢者のアドバンス・ケア・プランニング(ACP)実施状況と関連要因を探索した.

    方法:高齢者向け地域活動に参加した65歳以上の地域高齢者380名にACP実施状況(ACPに関する話し合い及び記録)等を尋ねる自記式質問紙調査を実施した.ACP実施状況の関連要因を多重ロジスティック回帰分析にて検討した.

    結果:131名(有効回答率34.5%)のうち,ACPに関する話し合いは83名(63.4%),記録は31名(23.7%)が実施していた.話し合いには介護経験有(オッズ比(OR):5.2,95%信頼区間(CI):1.9~13.9)と記録実施(OR:7.3,95%CI:1.4~37.1)が関連した.記録には終末期に自宅療養の希望有(OR:3.6,95%CI:1.3~9.7)と話し合い実施(OR:12.9,95%CI:2.7~61.6)が関連した.

    結論:介護経験者を先達としてACPに関する話し合いの機会を設けるなどの支援プログラムが求められる.

  • 小林 浩平, 朝澤 恭子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 65-73
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/23
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    目的:学校教職員に対する児童の一次救命処置とエピペンの使用に関する不安軽減を目指し,急変対応の不安軽減プログラムの開発と評価を行う.

    方法:小学校教職員に対して急変対応の不安軽減プログラムを開発し実施した.プログラム内容は学校管理下の心停止の実際,死戦期呼吸等であった.介入前後調査により,急変対応の不安,知識を対応のあるt検定を用いて比較した.

    結果:239人に有効回答を得た.急変対応の不安は25.7 ± 4.8点から18.6 ± 5.6点に有意に減少し(p = .000),急変対応の知識は2.7 ± 1.5点から4.5 ± 1.0点に有意に増加した(p = .000).プログラムの活用度,満足度は,72.8%の対象者が高く評価した.

    結論:プログラムにより急変対応の不安が軽減し,急変対応の知識が増加した.満足度,活用度の評価が高く,実用可能性のあるプログラムであることが示唆された.

  • ―卓越性,熟慮性,および自己効力感との関連―
    小口 翔平, 山口 大輔, 松永 保子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 74-81
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/23
    ジャーナル フリー HTML

    目的:多重課題困難感の要因として看護実践能力,認知的熟慮性,自己効力感との関連を探索することを目的とした.

    方法:看護職349名の基本的属性,多重課題困難感,看護実践の卓越性自己評価尺度(NESCP),認知的熟慮性-衝動性尺度,一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)について,Mann-Whitney U検定と多重ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:多重課題困難感を感じない群でNESCP(p < 0.001)やGSES(p < 0.001)の得点が高く,GSESの得点の増加(aOR = 0.864, 95%CI: 0.803~0.930)や男性であること(aOR = 2.975, 95%CI: 1.333~6.639)が,多重課題困難感を低下させる要因であった.

    結論:多重課題困難感の要因として自己効力感と性別が関連していた.自己効力感を高めるような教育を行うことで,多重課題困難感を軽減する可能性が示唆された.

  • 植木 瞳, 正岡 経子, 林 佳子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 82-90
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/23
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    目的:40歳以上の初産婦に対して助産師が行っている産褥期のケアを明らかにすること.

    方法:助産師経験10年以上の助産師9名を対象に,半構造化面接にてデータを収集し,質的記述的に分析した.

    結果:助産師は,【長年かけて築いた生活が変わることを継続して意識づける】,【褥婦の体力やペースに合わせ,育児を継続できるようにかかわる】,【褥婦が育児方法を納得でき,自らSOSを出せるようにかかわる】というケアを行なっていた.なかには他者の判断を優先して生きてきた褥婦もいるため,その傾向を見極めながら【他者の判断を優先して生きてきた褥婦が,自分の判断で育児できるようにかかわる】というケアを行なっていた.また,【サポートを得にくい褥婦が一人で頑張らないような支援体制を作る】というケアを行っていた.

    結論:助産師は,40歳以上の初産婦に対して40歳以上の初産婦の人生経験や価値観を尊重したケアを行なっていることが明らかになった.

  • 内田 史江, 谷垣 靜子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 91-99
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/07/28
    ジャーナル フリー HTML

    目的:訪問看護師のがん患者ターミナル看護支援尺度の開発と,信頼性と妥当性の検証を目的とする.

    方法:フィールド調査により質的帰納的に抽出したデータと文献検討を基に,訪問看護師のがん患者ターミナル看護支援尺度原案を作成した.全国の訪問看護師に23項目5段階のリカート法にて自記式質問紙調査を行い,669名を解析対象とした.

    結果:最尤法プロマックス回転による因子分析の結果,2因子15項目が採択され,【がん患者および家族の安心・安寧の日常生活支援】【在宅療養の安定と急変対応に向けたチーム連携による支援】と命名された.また,信頼性,妥当性を確認した結果,尺度全体のCronbach’s α係数.948,基準関連妥当性.745,モデルの適合度は,GFI = .882,AGFI = .841,CFI = .925,RMSEA = .097であった.

    結論:本尺度の信頼性,妥当性は,統計量的に許容範囲であることが確認され,在宅療養がん患者,家族を支援する訪問看護師や訪問看護ステーション管理者が支援内容の性質や程度を知る指標として活用できる.

  • 大西 奈保子, 小山 千加代, 田中 樹
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 113-122
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/01
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    目的:本研究の目的は,死別前から死別後を含めて,在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴と訪問看護師の支援について明らかにすることである.

    方法:在宅で妻を介護した夫を妻の生前からケアした経験のある訪問看護師9名にインタビューを行い,その内容をグラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析を行った.

    結果:その結果,在宅で妻を介護した夫の看取りの特徴は,【夫婦のありよう】【非日常的生活の継続】【つながりの薄さ】【抑え込まれた悲しみ】の4カテゴリ,夫への訪問看護師の支援は,【非日常的生活の中での看取りを支える】【抑え込まれた悲しみからの回復を促す】の2カテゴリで構成された.

    結論:特に妻との死別後,夫が悲嘆から回復し,生活再建に取り組むようになるためには長い夫婦生活の中で育まれた【夫婦のありよう】が重要と考えられ,訪問看護師は看取りの時期に【夫婦のありよう】に添いながら,夫婦が望む看取りのあり方を実現できるように支援していくことが必要と示唆された.

  • 平野 美樹子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 123-132
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/08
    ジャーナル フリー HTML

    研究目的:危機状況下における個人の相互支援に関する能力を測定する相互支援尺度(Mutual Support Scale,以下,相互支援尺度)を作成し,その信頼性,妥当性を検討する.

    研究方法:先行研究および半構成的面接の分析結果から,32項目の仮項目作成.災害拠点病院に所属する看護職747人を対象に,質問紙調査を実施した.

    結果:相互支援尺度について検討した結果,3因子28項目を選択し,因子名を《良い関係を築く》,《つながりを強める》,《緊張を緩める》とした.Cronbachのα係数は,尺度全体において.950であった.相互支援尺度は,外的基準(CA尺度,柔軟性尺度)との間に比較的強い有意な正の相関,基準グループ法では,派遣経験者等の得点が高く有意差が認められた.

    結論:相互支援尺度は3つの因子から構成される尺度であり,検討結果から,信頼性,妥当性が確保された.

  • 石井 陽子, 二宮 一枝
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 133-142
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/16
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    目的:児童相談所(以下,児相)保健師の実践能力の評価指標となる項目を提案し,尺度開発にならい,信頼性および妥当性を検討することである.

    方法:全国の児相保健師138名中,34名を分析対象に,先行研究等をもとに作成した17項目を用いて,無記名自記式質問紙調査を行った.構成概念妥当性の検討は,確認的因子分析と仮説検定を実施した.信頼性の検討は,I-T相関,Cronbach’s α係数を確認した.

    結果:項目間相関が高い1項目を除外し,16項目で作成した「児相の基本職務を遂行する力」「保護者に寄り添い,その特徴や能力に応じた支援を行う力」「地域の関係機関やネットワークと連携する力」の3因子モデルの適合度指標は,RAMSEA = .065,CFI = .988,SRMR = .084で,仮説検定では8項目中5項目が統計的に支持された.項目全体のCronbach’s α係数は.930,3因子では.809~.888,I-T相関は.47~.85であった.

    結論:本項目は信頼性と妥当性があると判断できた.児相保健師の実践能力を評価する指標として活用可能と考える.

  • 森 朱輝, 落合 亮太, 徳永 友里, 今津 陽子, 平井 美佳, 渡部 節子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 143-151
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/26
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    目的:結核に対する潜在的意識を測定する紙筆版結核Implicit Association Test(IAT)を開発する.

    方法:看護学生96名と一般学生27名を対象に,信頼性,妥当性を検討した.

    結果:看護学生41名と一般学生20名から有効回答を得た.再テスト信頼性における級内相関係数は0.679であった.弁別的妥当性ではIAT値と社会的望ましさ尺度に有意な相関を認めなかった(r = 0.023, p = 0.861).既知集団妥当性では,看護学生と一般学生,感染看護学単位取得の有無の比較でIAT値に有意差を認めず(p = 0.357, p = 0.827),結核の知識とも相関を認めなかった(r = 0.032, p = 0.845).併存妥当性では,感染脆弱意識とIAT値に相関を認めなかった(r = 0.190, p = 0.142).

    結論:紙筆版結核IATは一定の信頼性・妥当性を有するが,既知集団妥当性はさらなる検討を要する.

  • 成田 愛, 朝倉 京子, 高田 望
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 152-159
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー HTML

    目的:病院組織の看護実践環境が看護師の能力開発に及ぼす影響を明らかにする.

    方法:東日本に所在する3つの大学病院に勤務する看護職1,419名を対象とし,無記名自記式質問紙調査を実施した.質問紙は保健師の専門性発展力尺度のうち看護師の能力開発に共通する下位尺度,看護実践環境尺度の一部および基本属性で構成し,共分散構造分析を実施した.

    結果:1,129名より回答を得た(有効回答率79.6%).共分散構造分析の結果,分析モデルの適合は適切であり,病院組織の看護実践環境から「看護師の能力開発」へのパス係数について,看護実践環境の「病院全体の業務における看護師の関わり」からのパス係数は.25(p < .01),「ケアの質を支える看護の基盤」からのパス係数が.23(p < .01)であった.

    結論:看護実践環境のうち「病院全体の業務における看護師の関わり」および「ケアの質を支える看護の基盤」は,看護師の能力開発へ正の影響を及ぼすことが示唆された.

  • 竹本 奈央, 浦中 桂一, 朝澤 恭子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 160-167
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー HTML

    目的:産褥早期の褥婦に対して背部へのアロマトリートメント介入をし,リラックス感および疲労感の変化を明らかにする.

    方法:分娩後1から7日目の褥婦30名に対して15分間のアロマトリートメント介入をした.比較群をおかない一群事前事後テストデザインの準実験研究であり,属性,リラックス感,疲労感,プロセス評価の回答を求めた.介入前後の比較はWilcoxon符号付き順位検定を行い,質的データは内容分析を行った.

    結果:有効回答は30部(96.8%)であり,リラックス感は介入前より介入後が有意に高く(p = .000),疲労感は介入前より介入後の方が有意に低下した(p = .001).

    結論:産褥早期の母親への背部のアロマトリートメントにより,介入後にリラックス感は有意に上昇し,疲労感は有意に低下した.産褥早期の母親のリラックス向上と疲労軽減に有用性があると示唆された.

  • 中谷 三佳, 大林 陽子, 谷村 晋, 新小田 春美
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 168-176
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/10/09
    ジャーナル フリー HTML

    目的:NICU入院児の母親の直接授乳開始(直母)後1か月の母乳育児自己効力感(BSE)の関連要因を明らかにした.

    方法:縦断的観察研究.直母後3~7日と1か月に自記式質問紙調査を行い,直母後1か月のBSEの関連,予測要因を重回帰分析にて検討した.

    結果:対象はNICU入院児の母親97名であった.関連要因は,年齢(偏回帰係数:B = –.34,p = .048),初産婦(B = –4.56, p = .005),母乳不足感(B = 1.63, p < .001),ストレス対処能力(B = .33, p = .029)であった.予測要因は,直母後3~7日の母乳不足感(B = 1.19, p < .001)とストレス対処能力(B = .75, p < .001)であった.

    結論:NICU入院児の母親の直母後1か月のBSEの予測要因は3~7日の母乳不足感とストレス対処能力であった.

  • 構造方程式モデリングを用いた分析
    松本 智里, 加藤 真由美, 兼氏 歩, 市堰 徹, 福井 清数, 髙橋 詠二, 平松 知子, 谷口 好美
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 177-186
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    目的:女性人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty: THA)患者の歩容の自己評価が何に影響され,何に影響を与えるのかを明らかにするために,術前と術後の歩容の自己評価モデルを開発した.

    方法:変形性股関節症が原因でTHA予定の女性患者80名を対象に,無記名自記式質問紙調査を術前と術後6ヶ月の2回行い,構造方程式モデリングで検証した.

    結果:術前の歩容の自己評価が影響を受けたのは年齢,歩行能力と跛行への思いで,影響を与えたのは社会生活への思い,股関節の満足度と術後の公的自己意識であった.術後の歩容の自己評価が影響を受けたのは歩行能力,跛行への思いで,影響を与えたのは全体的健康感,自尊感情,社会生活への思い,股関節の満足度であった.

    結論:女性THA患者の歩容の自己評価は,影響を受ける変数と影響を与える変数のつながりが術前と術後で異なっていると示唆されたため,術前後の各々でアセスメントされるべきであると考えられた.

  • 小林 麻衣, グレッグ 美鈴
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 187-195
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    目的:手術看護を経験することが看護師のキャリア発達に及ぼす影響を明らかにする.

    方法:新卒で手術室に配属後3年以上の手術看護の経験があり,手術室以外の部署に勤務する臨床経験10年程度の看護師11名に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.

    結果:手術看護の経験をもつ看護師は【手術看護を経験したことで歩みたい道を考える】.配置転換後は【手術室で習得した知識・技術を配置転換部署での看護に活かせる】こと等に強みを感じていた.一方で【配置転換時に手術看護では経験しない看護に戸惑う】等の困難に直面し,【配置転換部署での困難を乗り越えるために努力する】ことで【配置転換により看護師として成長する】ことが示された.

    結論:手術看護の経験を有する看護師には,特有な看護実践経験を踏まえて自らのキャリアの方向性を思慮する時期が存在する.配置転換時は手術看護で経験しなかった実践により苦境に陥るが,手術看護の経験はどの領域の看護にも活かせる強みとなり,職務を遂行する上でポジティブな影響を及ぼす.

  • 中村 康香, 川尻 舞衣子, 長坂 桂子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 196-204
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    目的:計画的行動理論を用いて就労妊婦のセルフケア行動意図に影響する要因について明らかにする

    方法:正常経過でフルタイム勤務の初妊婦7名を対象に産前休暇(以下,産休)取得前後の身体活動に関するセルフケアについて半構成的面接を行い,計画的行動理論に基づき質的記述的に分析した

    結果:平均年齢は30.1歳,全員電車通勤であった.身体活動のセルフケアについて,産休前は仕事と妊娠の両立を図るため休息をとるという行動に対する態度と,母児の安全のために活動抑制を肯定する規範と活動を促進する2方向の主観的規範が認められた.妊娠という身体的要因や就労の環境的要因は,いずれも身体活動の阻害要因として位置づけられた.産休後は,様々な阻害要因が認められた.

    結論:就労妊婦は,身体活動のメリットを理解している一方で,就労と妊娠を両立させるために休息を意識的にとっている.特に産休後は阻害要因となる身体的・環境的要因が多様であり,個人の生活に合わせた支援体制が必要である.

  • ―喪失と孤独の中でのつながりの醸成―
    成田 太一, 小林 恵子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 205-213
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    目的:長期入院を経験し精神科デイケアを利用する男性統合失調症者が,地域においてどのように生活を再構築しているのか,当事者の視点からその特徴を明らかにし支援への示唆を得る.

    方法:男性統合失調症者9人を対象とし,参加観察やインタビューから得られたデータから退院後の生活の再構築についての語りを抽出し,分析した.

    結果:対象者は,【長期入院によるつながりの喪失】を経験し,退院後は馴染みのない【新たなコミュニティのメンバーシップを得ることの難しさ】から寂しさを感じていた.そのようななか,専門職や親族などからの【サポートの活用による病状や生活の維持】を図りながら,【地域におけるデイケアメンバーとのつながりと役割の獲得】により,生活を再構築していた.

    結論:長期入院を経験した男性統合失調症者が地域の中で孤立せず社会参加できるよう,当事者コミュニティと地域コミュニティとの関係づくりを強化することや,入院早期からの就労支援と地域における活動の機会の必要性が示唆された.

  • 小木曽 加奈子, 伊藤 康児
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 214-223
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    目的:本研究は地域包括ケア病棟の看護職における認知症ケア実践と仕事に向き合う力および職務継続意向との関連を明らかにすることを目的とした.

    方法:地域包括ケア病棟の看護職の質問紙調査では570名の回答が得られ,地域包括ケア病棟継続意向なし群320名と,あり群250名を有効回答とした.

    結果:2群では,ソーシャルサポート,ワーク・エンゲイジメントなどに差がみられた.パス図においては,職員間のコミュニケーションおよび学び支えあう環境は互いに関係をし,認知症ケアという仕事に向き合う力となり,職務継続意向につながるというモデルの適合度はGFIは.904,AGFIは.882,CFIは.922,RMSEAは.058,GFI≧AGFIであり,モデルを採用する基準を満たすものであると評価した.

    結論:地域包括ケア病棟における認知症ケア実践は,職務満足および仕事に対するポジティブな思いを高め看護職としての仕事の継続につながると考える.

  • 渡邊 聡子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 224-234
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/11/06
    ジャーナル フリー HTML

    目的:妊婦を対象に災害への備え教育プログラムを提供し,その効果を検証することである.

    方法:災害への備えに関する知識を得て,その知識を活用した演習を行い,さらに,自宅で自分たちに必要な備えを実施し,取り組んだ内容を参加者間で共有・情報交換する,この一連のプロセスに妊婦とそのパートナーが参加するという教育プログラムを開発し,自記式質問紙を用いて,本プログラムを受講した介入群21名と,プログラムで使用する冊子のみを受け取った対照群40名の災害への備え行動および知識の変化を比較し効果を評価した.

    結果:行動および知識は介入群に有意に増加しており,特に,日ごろには実施率が低い災害時の連絡方法の取り決めなど,家族との調整を要する項目が増加した.

    結論:本教育プログラムは,妊婦の災害への備え行動を促進させる効果が示唆された.

  • 重政 兼悟, 矢嶋 裕樹, 上山 和子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 235-243
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー HTML

    目的:看護師の職業及び組織コミットメントに基づくプロファイルを抽出し,それぞれの割合及び特徴を明らかにする.

    方法:中・大規模病院(300床以上)に勤務する看護師900人を対象に,自記式質問紙調査を実施した.職業及び組織コミットメントについてクラスター分析を行い,対象者をクラスターに分類した.次いで,各クラスターとワークエンゲイジメント等との関連を検討し,各クラスターの特徴を検討した.

    結果:434人(回収率42.2%)を分析対象者とした.クラスター分析の結果,5クラスターが抽出された.そのうち,「組織関与型」が最も多く31.3%であった.また,「高関与型」と比べて,「功利関与型」「低関与型」はワークエンゲイジメントが低いなどの特徴がみられた.

    結論:本研究の結果は,各々のコミットメントプロファイルに合った就業継続支援を考える際の一助となるものである.

  • 作田 裕美, 大串 晃弘, 坂口 桃子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 252-259
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/02
    ジャーナル フリー HTML

    目的:病院前救急医療におけるフライトナースの職務遂行の構造を明らかにすることである.

    方法:東海・近畿圏のフライトナース6名を対象に半構造化面接を行い,KJ法を用いて分析した.

    結果:職務遂行は,【周囲の関係者の力をもらうために自ら協働を仕掛ける】,【医師とのディスカッションを通して精度の高い臨床推論を引き出す】,【臨機応変な対応と工夫を凝らす】,【特殊で厳しい医療環境のなかで最大の効果を上げるために努力する】【振り返りを行い,個人の経験を知識に変換しチーム内で共有する】,【フライトナースの看護の独自性を明らかにしたい】,【経験で得た知識を活用したOJTによる新人の育成】の7つのシンボルマークで説明された.

    結論:職務遂行は,「中核としての経験の蓄積」を基盤として「経験をブラッシュアップ」する過程を経て「さらなる展望へ」へと至る段階的な三層構造となった.

  • 吉田 彩
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 260-269
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー HTML

    目的:在宅がん患者の看取りにおける家族の対処の過程を明らかにする.

    方法:がん患者の看取り期に訪問看護を利用した20名の家族を対象に,家族の対処の過程について半構造化面接を行った.分析は複線径路・等至性モデルを用いた.看取りの過程を一連の径路に示し,家族の対処とそれに影響した要因を検討した.

    結果:対処の過程は2つに大別され,その差異は,患者が臥床がちになるなどの看取り期の変化の時期に生じた.患者の変化を捉え,昼夜を問わず患者のそばにいるなどの対処をとった家族は,心身の不調をきたしながらも,「自分ができるだけのことを一生懸命やれた」という認識に至った.一方,患者の死を予期せず自分の生活を優先するなどした家族は,「患者との死別や死の状況は受け入れがたい」という認識に至った.

    結論:家族が心身の健康を保ちながら,看取り期の患者の変化に対処できる,介護への適度な距離を保つ必要性が示唆された.

  • 澤田 明菜, 鏡(関塚) 真美, 太田 良子, 毎田 佳子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 270-278
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:核家族世帯の母親が産後1か月から4か月までの期間にどのような育児ストレスを抱き,それにどのように対処してきたかを明らかにする.

    方法:健康福祉センターで児の4か月児健診を受診した,単胎かつ正期産で20~34歳の母親に半構成的面接を行い,得られたデータを質的記述的に分析した.

    結果:研究参加者は11名であった.母親は【母乳育児に対する苦悩】,【子どものペースに合わせることへの負担】,【2人の子どもと関わる中で生じる戸惑い】,【1人で育児を抱え込む気負い】という育児ストレスに対し,【周囲の頼れる存在を認知し自ら関わり頼る】,【母親自身で対応し自己完結する】という対処行動をとっていた.

    結論:本研究により,母親誰もが育児ストレスを持ち得るものであることを医療者は認識し,母親が適切な対処行動をとれているかに焦点をあて,必要時に専門職のサポートを受けられる方法を育児ストレスの内容と併せて具体的に情報提供することの重要性が示唆された.

  • 中山 貴美子, 鳩野 洋子, 合田 加代子, 草野 恵美子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 279-289
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/10
    ジャーナル フリー HTML

    目的:本研究では,乳幼児をもつがんサバイバーである母親ががん診断後に抱える困難を明らかにすることを目的とした.

    方法:出産後にがんの診断を受け,乳幼児期の子どもを育てることを経験した母親5名を対象に半構成的面接を実施した.データは,質的に分析した.

    結果:【子どもを残して死ぬ恐怖があり,生きる希望が持てない】【不確かで長い治療がつらい】【治療と子育ての両立にせっぱつまる】【無理をせざるをえず,その人にとってのあたりまえの生活ができない】【がんを受容しきれずにもどかしい】【がんにより子どもと家族を巻き込むことがつらい】【頼れる資源や情報が不足している】【経験者に出会えずにつらさを共有できない】【治療と生活が重なる経済的負担がある】という9つのカテゴリーが抽出された.

    結論:母親は,子どもと共に生きる希望がもてず,治療と子育ての両立にせっぱつまる等の困難を抱えていた.母親には,治療と子育ての両立支援や母親同士の支え合いが重要と示唆された.

  • 川村 晴美, 鈴木 英子, 田辺 幸子, 中澤 沙織
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 312-321
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
    ジャーナル フリー HTML

    目的:急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感尺度を開発し,信頼性・妥当性の検証を行うことを目的とした.

    方法:質的先行研究と文献研究に基づき,急性期病院で認知症高齢者をケアする看護師の困難感尺度原案作成した.全国の国公立系医療機関で6つの急性期病院に勤務する認知症高齢者をケアする看護師690名を対象に質問紙調査を実施し,信頼性と妥当性を検証した.

    結果:分析対象は567名(有効回答率82.2%)であった.項目分析と探索的因子分析により16項目3因子が抽出された.さらに,確証的因子分析により探索的因子分析で得られた仮説モデルの適合度が確認された.信頼性では,クロンバックα係数は尺度16項目全体が.93,因子別では.82~.91の範囲であった.再テスト法の級内相関係数は.69,外的基準としての「仕事ストレッサー尺度」との相関係数は.56であった.

    結論:信頼性,妥当性は概ね良好であった.今後は,この尺度を使用しての実証研究を行うことが望まれる.

  • 西 百久登, 井上 幸子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 322-331
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/12/30
    ジャーナル フリー HTML

    目的:トランスジェンダー(TG)に対する看護師の知識および理解的態度と看護実践の関連性について検証すること.

    方法:全国の711病院に勤務する看護師を対象に,無記名自記式オンライン調査を実施した.TGに関する知識・理解的態度,TGに対する看護実践,基本属性等について尋ねた.独立変数を知識および理解の各変数,従属変数をTGに対する理想的な看護実践と現実的な看護実践とし,重回帰分析を用いて偏回帰係数および95%信頼区間を算出した.

    結果:合計528名から回答を得た.TGの知識得点が高いことは,理想的な看護実践・現実的な看護実践ともに得点が高いことと関連していた.TGへの理解的態度の得点も,理想的な実践と有意な関連がみられたが,現実的な実践には関連がなかった.

    結論:TGについて理解的であるだけでなく,正しい知識を持つことがTGへの看護において重要であり,より良い支援につながる可能性がある.

  • 柴田 佳純, 大村 優華, 山上 優紀, 北田 裕香, 辻本 朋美, 飯田 恵, 井上 智子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 332-339
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/22
    ジャーナル フリー HTML

    目的:社会人経験のある看護師の語りから,職業継続につながる看護師の職業的魅力を明らかにする.

    方法:社会人経験のある看護師15名に職業継続に関する半構造化面接を行った.録音データから逐語録を作成し,前職と比較して看護師の仕事の良さが語られている部分を質的記述的に分析した.

    結果:2つのコアカテゴリーと6つのカテゴリー,13のサブカテゴリーが抽出された.コアカテゴリー〈経済基盤の強さ〉はカテゴリー【強い経済力】【職の得やすさ】【自分のワークスタイルに合わせて選べる多様な勤務形態】で構成され,コアカテゴリー〈仕事そのものの面白さ〉はカテゴリー【職場環境と患者におこる毎日の変化】【職務における自己裁量の広さ】【看護の奥深さ】で構成された.

    結論:職業継続につながる看護師の職業的魅力は,経済基盤の強さと仕事そのものの面白さであった.特に看護の奥深さは,看護師特有の職業的魅力であることが鮮明となった.

  • 海老名 泉紀
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 340-348
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/22
    ジャーナル フリー HTML

    目的:子どもが急変を起こす以前に看護師がどのような経験をしているのか,一連の過程を把握すること.

    方法:子どもの急変経験がある看護師9名に非構造化面接調査を行い,グラウンデッド・セオリーを用いて分析した.

    結果:看護師は何が起こるかわからない《不確かな状況》において,危機を回避するために《子どもの声を届ける》という過程がある一方,回避するための思うような対応が得られず《引っかかりを残す》という,異なる帰結に至る過程が把握された.これら帰結を導くプロセスは,《アンテナを張る》《何かが起こる予感》《医師との共有化のハードル》《声にならない声を届ける使命感》《周囲を巻き込む》で構成され,子どもの状態を医師と共有できるかが道筋を分ける分岐点となった.

    結論:子どもの急変においてはこの共有化のハードルをいかに下げ,一人の看護師の感覚を医療チーム全体の問題意識にしていくことの重要性が示唆された.

  • 牧野 真弓, 加藤 真由美, 成瀬 早苗
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 349-359
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/22
    ジャーナル フリー HTML

    目的:一般病棟の認知障害高齢者に対する入院時から身体拘束の回避と解除を念頭においた転倒予防ケア行動評価尺度を開発し,妥当性と信頼性を検討した.

    方法:全国の一般病棟看護師1,128名を対象に,尺度原案54項目の質問紙調査を実施した.分析対象を303名とした.

    結果:探索的因子分析(主因子法,プロマックス回転)の結果,22項目5因子構造となり,【入院時から納得を目指す接近】【身体拘束を回避・解除する転倒予防連携】【その人らしさを尊重するケア者の態度】【拘束回避の転倒予防技術】【その人らしい活動支援】と命名した.モデル適合度はCFI = .949,RMSEA = .061,基準関連妥当性 .792,Cronbach α係数 .947,再テスト信頼性係数 .783であった.

    結論:本尺度は,妥当性・信頼性を確認され,看護師がチームで認知障害高齢者への身体拘束回避の転倒予防ケアを継続する上で活用可能と示唆された.

  • 甲斐 貴雅, 市川 奈央子, 武村 雪絵, 國江 慶子, 木田 亮平, 松田 美智代, 竹下 保稔
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 360-368
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/01/22
    ジャーナル フリー HTML

    目的:指導を守らない成人患者に対する怒りを経験した看護職について,思考の未統合感としてその怒りの影響が1週間以上続く状態が,怒りを経験した後に職場で受けた支援と関連するかを明らかにした.

    方法:2018年7~10月に全国40施設の看護職2,475人に無記名自記式質問紙法で患者に対する怒りの経験の有無や時期,思考の未統合感,職場で受けた支援を尋ね,思考の未統合感スコアを従属変数とした重回帰分析を実施した.

    結果:半数の看護職が指導を守らない患者に対する怒りを経験し,1年以上前の出来事の思考の未統合感を有する看護職もいることがわかった.上司の共感的態度での傾聴や同僚からの助言は思考の未統合感スコアと負の関連が,上司との振り返りは正の関連があった.

    結論:指導を守らない患者に対する怒りを経験した看護職の中には思考の未統合感が長期に続く者も存在するが,職場で受けた支援により思考の未統合感を低減できる可能性が示された.

  • ―急性期にある糖尿病足病変入院患者と看護師の関係の現象学的研究―
    栩川 綾子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 369-377
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/05
    ジャーナル フリー HTML

    目的:糖尿病足病変入院患者と看護師との関係で何が起こっているのかを,足病変患者の様々な状況にその都度応じる看護師の日常から記述する.

    方法:Merleau-Pontyの身体論を参考にした現象学的研究方法を用い,看護師が足病変患者を看護する場面の参与観察及び個別面接のデータから,記述した.

    結果:参加者Cさんは,検温時のやり取りから患者の「ぽやっと」した感じを捉えた.それは,糖尿病療養の緩くマイペースな態度であり,それに促され患者のこれまでの生活情報を得るのであった.参加者Eさんは,足病変の処置をしている患者の息遣いに,表情を歪めて痛みを捉えると手を患者の腕に当てた.このEさんの痛みの分有を契機に,患者は毎日の処置時の恐怖を表出したのであった.

    結論:看護師は,患者の症状や苦痛の表現に看護の重要な点を知覚し関与していく.看護師の知覚は,患者と身体の交流から生起するために主観ではないのであり,関係を展開する鍵になっている.

  • 卯川 久美, 細田 泰子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 386-395
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/05
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    目的:新人看護師の組織社会化におけるプロアクティブ行動尺度の信頼性と妥当性を検討する.

    方法:尺度原案を用いて,新人看護師1,377名を対象に質問紙調査を実施した.項目分析,探索的因子分析,確認的因子分析,外的基準との相関,Cronbach’s α係数,再テスト法により信頼性と妥当性を検討した.

    結果:341名を分析対象とした.探索的因子分析の結果,【看護技術習熟行動】【人間関係構築行動】【積極的学習行動】【他者からのフィードバック探索行動】の4因子20項目が抽出された.確認的因子分析の適合度指標はGFI = .902,AGFI = .874,CFI = .908,RMSEA = .062であった.Cronbach’s α係数は.73~.82であった.プロアクティブ行動尺度との相関係数は.49,看護師の職務満足度尺度とは.38であった.再テスト法の相関係数は.60~.67であった.

    結論:新人看護師の組織社会化におけるプロアクティブ行動尺度の信頼性と妥当性は検証された.

  • 岡本 悦子, 白鳥 さつき, 大橋 渉
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 403-411
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/10
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    目的:看護師が多職種のエラーを指摘する行動に影響を与える要因を明らかにする.

    方法:全国の特定機能病院に勤務する看護師1,834人に郵送法による質問紙調査を行った.問題指摘態度尺度,ノンテクニカルスキル等84項目を調査し,問題指摘態度尺度得点を目的変数,経験年数や職位などの個人属性とノンテクニカルスキル等の性格特性を分けて説明変数として重回帰分析を行った(強制投入法).

    結果:質問紙の回収数は412部(回収率22.5%).重回帰分析の結果,看護師の問題指摘行動に影響を与える要因は,経験年数や職位よりも個人の性格特性であるノンテクニカルスキルの「アサーティブネス」(β = .34, p < .001)と「リーダーシップ」(β = .21, p < .001)でより強い影響が示された.

    結論:看護師の問題指摘行動には,「アサーティブネス」,「リーダーシップ」などのノンテクニカルスキルが影響していた.

  • 森山 美香, 松本 啓子, 伊東 美佐江, 秋鹿 都子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 412-421
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/10
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    目的:DNARの意思決定を行う家族に関わるICU看護師の困難感尺度を開発し,尺度の信頼性および妥当性を検証する.

    方法:DNARに関する文献検討や先行研究をもとに尺度原案を作成し,ICU看護師2,544人に質問紙調査を実施した.

    結果:768人(有効回答率30.1%)を分析対象とした.探索的因子分析の結果,【家族との関わりへの戸惑い】【看護師間の連携調整の難しさ】【グリーフケアの難しさ】【医師との連携調整の難しさ】【患者の状況判断の不確かさ】【決断過程の曖昧さ】の6因子34項目が抽出された.尺度全体のクロンバックαは .93で内的整合性が確認された.また確認的因子分析により構成概念妥当性を認め,ICU看護師の終末期ケア困難感尺度との相関により基準関連妥当性が確認された.

    結論:本尺度の信頼性および妥当性が確認された.

  • ―1年間の縦断的観察研究―
    藤田 倶子, 菱田 知代, 丸山 加寿子
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 422-429
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/10
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    目的:地域高齢者の体組成と体成分の握力低下への影響を明らかにした.

    方法:縦断的観察研究を実施した.地域高齢者2,671人のうちベースライン209人,1年後155人に体成分,体組成,握力を測定し,Asian Working Group for Sarcopenia 2019の基準でベースライン値を低SMI(skeletal muscle mass index),高体脂肪率,たんぱく質量不足,ミネラル量不足,サルコペニア肥満の有無に分類した.1年後に対応のあるt検定,反復のある分散分析を行った.

    結果:男性(n = 60)の握力低下(η2 = .011, p = .014),ミネラル量不足(η2 = .123, p = .003)とその交互作用(η2 = .011, p = .018)がみられた.

    結論:男性では,ミネラル量不足が1年後の握力低下に影響し,ミネラル量増加のための支援を検討する必要性が示唆された.

  • 金山 俊介, 松田 明子, 青戸 春香, 花木 啓一
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 430-438
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/10
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    目的:小児特発性ネフローゼ症候群(INS)患者のプライマリナース経験がある看護師における,小児INS治療計画に関する知識および看護実践状況とプレドニゾロン(PSL)の添付文書に基づく薬理学的知識の現状を明らかにすることである.

    方法:大学附属病院または地域医療支援病院の小児病棟に在籍している看護師697名に質問紙調査を実施した.

    結果:分析対象者210名を小児INS患者のプライマリナース経験有群と無群に分け比較を行った.治療計画に沿った看護を行っているものは,有群89名(90.8%),無群98名(89.1%)であった.また,併用注意をまったく知らないものは,有群30名(30.6%),無群39名(35.5%)であった.プライマリナース経験の有無により,知識や看護実践状況に有意な差はなかった.

    結論:小児INS患者のプライマリナースは,治療計画は把握していたが,ガイドラインに基づく看護を行っていない可能性がある.また,治療計画と薬理学の知識との乖離が示された.

  • 1年間の前向きコホート研究
    池田 直隆, 河野 あゆみ
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 439-447
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/18
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    目的:腎移植患者の自己管理行動がQOLと生体データと医療費に及ぼす影響を1年間の前向きコホート研究で明らかにする.

    方法:腎移植患者225名に,自記式質問紙調査を実施した.自己管理行動の評価に腎移植患者自己管理尺度,健康関連QOLの評価にSF-12を測定した.電子カルテデータより,分析対象者の基本属性と生体データを把握し,レセプトデータの診療報酬請求情報から医療費を算出した.

    結果:分析対象者132名のうち,役割/社会的QOL得点(F(1, 50) = 14.85, p < .001)とトリグリセリド値(F(1, 61) = 9.83, p < .001)において自己管理行動と時期の交互作用を有意に認めた.医療費では,自己管理高群が有意に外来行為明細点数料を削減していた(F(1, 123) = 4.06, p = .044)が,外来医療費総計と医療費総計では有意な差はなかった.

    結論:腎移植患者の適切な自己管理行動がQOLの向上と生体データの維持に効果を及ぼすことが示唆された.

  • 浦島 尚子, グライナー 智恵子, 岡本 菜穂子, 福田 敦子, 山口 裕子, 龍野 洋慶
    原稿種別: 原著
    2020 年 40 巻 p. 448-456
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/02/18
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    目的:急性期病院で必要とされる認知症看護実践能力を明らかにすることを目的とした.

    方法:急性期病院で認知症看護を実践している看護師15名を対象に,半構成的インタビューを行い,質的記述的研究を行った.

    結果:認知症看護実践能力は「認知症患者に対する基本的なケア姿勢」,「認知症患者が入院中安全安楽に過ごすための対策の実施」,「認知症患者の入院前後の生活や周囲の環境に目を向けた,継続的なケアの展開」,「認知症患者に適切なケアを提供するための組織人としての行動」により構成されていた.

    結論:本研究により,基本的な認知症患者に対する姿勢だけではなく,急性期病院で必要とされている包括的な認知症看護実践能力が明らかとなった.今後認知症高齢者の入院が急増する背景からも,こういった視点で効果的に能力が向上されることが望まれる.

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