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中村 幸代, 習田 明裕
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
1-13
発行日: 2025年
公開日: 2025/04/23
ジャーナル
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目的:「看護師の健康に影響を与える仕事への態度」という概念の構造を明らかにし,概念の活用性を検討する.
方法:Rodgers & Knafl(2000)の分析方法にて4つのデータベースを用いた46文献を対象とした.
結果:【自己を低く評価する】,【看護師としての在り方に戸惑いを抱く】,【本心をごまかす】,【役割への重圧を感じる】,【自分を差し置いて患者に献身する】,【我を忘れて仕事に没頭する】の属性6つ,先行要件5つ,帰結3つが示された.
結論:「責任感から自分よりも患者を優先して仕事へ尽力するという前向きさがある一方で,自己評価の低さによる仕事への重圧が相まって看護師としての在り方に戸惑いを抱くことで自身の健康を左右する働き方を選択する恐れがある状態」と定義した.本概念は,仕事と健康のバランスを模索する上で自己の内面に気づく機会を提供し,看護基礎教育において自己の健康管理方法を検討する促しや組織の心理的安全性の構築へ有用性が示唆された.
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荒井 洋子, 常盤 洋子
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
49-59
発行日: 2025年
公開日: 2025/05/20
ジャーナル
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目的:意味づけの概念を明らかにし,その特徴と心理的ケアへの適用可能性を検討する.
方法:国内外の30文献を対象に,Rodgersの概念分析法を用いた.
結果:属性は【自己との対峙】【考え方の変容】【新たな自己の発見】【新たな解釈】が抽出された.先行要件は6カテゴリー,帰結は3カテゴリーが導き出された.
結論:本概念は,「直面する状況において自己と対峙する中で,考え方の変容や新たな自己を発見し,自分自身を再解釈するプロセス」と定義された.これにより,意味づけは,個人が直面する困難を乗り越える際の認知的アプローチとして,人としての成長や適応を促す重要な役割を持つことが支持された.また,意味づけの概念を心理的ケアに適用する可能性が示唆された.
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安藤 冴子, 岩瀬 貴美子, 勝田 仁美
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
200-213
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/27
ジャーナル
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目的:小児期にてんかんを発症した成人における就労と精神症状に関する文献を分析し研究の動向と今後の移行期支援の課題を明らかにする.
方法:データベースはPubMed,CINAHL,医中誌Webを使用し,文献選定基準は対象者に小児期発症てんかん患者が含まれ,精神症状と就労に関する記述がある文献とした.
結果:分析対象文献は27件であった.精神症状併発と就労との間に有意な関連がみられた文献は4件,関連がないと示された文献は4件であり,文献により矛盾した結果であった.また患者のQuality of Lifeには精神症状の併発,就労状況,発作頻度,抗てんかん薬の副作用が関連していた.グループセッションと看護師からの電話連絡を含んだ介入は精神症状改善の効果も示されていた.
結論:今後,就労でのネガティブな経験について定性的研究や移行期からのストレス対処及びセルフマネジメントの準備性に関する研究が求められる.
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徐 廷美, 杉本 知子
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
214-226
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/27
ジャーナル
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目的:介護施設における認知症ケア実践者の精神的負担の概念を分析し,先行要件・属性・帰結による構成要素を明らかにし,概念の定義を行う.
方法:2023年までの日英54文献を対象に,Rodgersの分析方法(Rodgers & Knafl, 2000)で分析した.
結果:属性として【ケアの対象者にネガティブな感情を抱く】,【BPSD対応に疲弊する】,【困難なケアへの不安を感じる】,【倫理的苦悩に押しつぶされる】の4カテゴリーを抽出した.また先行要件として4カテゴリー,帰結として3カテゴリーを抽出した.
結論:介護施設における認知症ケア実践者の精神的負担は「ケアの対象者に対してネガティブな感情を抱きながら,BPSD対応に疲弊し,困難なケアへの不安を常に感じている一方で,倫理的苦悩にも押しつぶされている状態」と定義した.認知症ケアの質確保のためには,ケア実践者の精神的負担の軽減が重要であることが示唆された.
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上原 星奈, 山下 真裕子
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
306-318
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/23
ジャーナル
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目的:スピリチュアルケアにおける臨床判断を定義することである.
方法:医中誌Web,CiNii,PubMed,CINAHL,Academic Search,ScienceDirectを用いて,臨床判断とスピリチュアルケアをキーワードとして検索した.Rodgersの進化的概念分析を用いて基準を満たした36件を分析した.
結果:属性は【日常の観察から患者のスピリチュアリティの手がかりを得る】,【患者の内的世界を全人的に捉え深く考える】,【限られた時間を意識しながらケアのタイミングを判断する】,【癒しや自己探求のケアの方向性を定める】であった.
結論:本概念は,日常的な観察を通じて患者のスピリチュアリティに関する手がかりを見出し,限られた時間を意識しつつ,全人的に患者の内的世界を理解することによって,癒しまたは自己探求のケアの方向性を定めると定義された.
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亀田 幸枝, 小間 菫, 今井 美和, 河合 美佳
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
373-383
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/01
ジャーナル
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目的:日本における若年女性の子宮頸がん予防行動促進のために,母親への効果的な介入方法とリサーチギャップを明らかにする.
方法:PubMed,CINAHL,医学中央雑誌を用いて,2006年6月から2024年8月4日までに公表された英語と日本語の介入研究を検索し,14編の原著論文を分析した.
結果:効果的な介入方法として,子どもの健康や未来を守る行動を促す親族養育メッセージと教育的情報を含む積極的な接種推奨媒体の配信,娘が子宮頸がんを経験した母親のナラティブメッセージ,医師による対面でのリーフレット配布と説明,自治体からの個別通知や複数回の啓発資料の郵送が示された.今後の研究課題として,効果的な教材開発,介入効果の長期的評価,20歳前後での子宮頸がん検診受診に対する母親への介入方法の検討が必要である.
結論:母親への効果的な介入方法が示され,啓発・教育プログラムの立案に有用な知見を得た.
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清水 崇志, 田上 美千佳, 鈴木 美央, 片山 健浩
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
454-465
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/18
ジャーナル
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目的:精神科外来で精神疾患をもつ者へ実践されているデジタルテクノロジーを用いた看護実践の内容と効果を明らかにする.
方法:代表的なデータベースのPubMed,CINAHL,医中誌Webを用いて看護実践について記載のある日本語・英語文献をDigital TechnologyやTelemedicine等のシソーラスを用いたキーワードで抽出した.
結果:14件が選定された.内容を帰納的に統合し①教育的指導・相談(7件),②症状等のモニタリング(4件),③治療プログラムの実践(3件)を実施していることが明らかとなった.症状改善を目的とした8件の研究中7件で肯定的な変化がみられた.疾患や重症度に関わらず実践されておりビデオ会議システム(7件)が最も使用されていた.
結論:ビデオ会議システム等を用いた看護実践が様々な疾患や重症度の患者の症状改善に繋がる可能性が示唆された.
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渡邉 惠, 加藤木 真史, 佐々木 杏子, 長島 俊輔, 森 朱輝, 水戸 優子
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
513-525
発行日: 2025年
公開日: 2025/11/14
ジャーナル
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目的:看護学生の情動知能(EI)に焦点をあてた既存の教育介入研究の教育方法とその効果を概括し,教育上の課題を明らかにすることで,EI向上にむけた効果的な教育方法の示唆を得る.
方法:JBIガイドラインに基づきスコーピングレビューを実施した.看護学生のEIに焦点をあてた教育介入研究を検索し,教育内容と方法,評価指標,主な成果と課題を抽出した.
結果:対象文献は17件で,コミュニケーションスキル,ストレス管理能力等をテーマに多様な教育プログラムが開発されていた.教育方法は学生が自己の感情と向き合い省察を深めることに主眼が置かれ,対人対応能力や課題解決能力等,看護実践に不可欠な多様な能力の向上が確認された.しかし,学生の知識や実践知の影響が大きいことが課題とされていた.
結論:看護学生のEI向上に向けた教育の意義が示された.実証研究の継続によりエビデンスを構築し,レディネスにあわせた教育の体系化が望まれる.
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―コア・コンピテンシーの構成要素―
楠 潤子, 山﨑 由利亜, 田代 理沙, 増島 麻里子
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
526-539
発行日: 2025年
公開日: 2025/11/14
ジャーナル
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電子付録
目的:補完・代替療法に取り組むがん患者の看護におけるコア・コンピテンシーの構成要素をintegrative reviewによって特定し,明らかにすること.
方法:医中誌Web,MEDLINE,CINAHL等を用いて,「補完・代替療法」,「がん」,「臨床能力」等をキーワードとして検索し,選定した各種研究論文,解説等から抽出したデータを,質的帰納的方法により分析した.
結果:39件の分析対象文献の内訳は,質的研究10件,量的研究8件,混合研究4件,総説・レビュー10件,解説7件であり,5つの「知識」,11の「スキル」,4つの「態度・価値観」が明らかになった.
結論:当該コア・コンピテンシーは,知識獲得を基盤に看護師・患者関係を発展させながら,これまで培ってきたがん看護における態度やスキルを活用し,患者の目標達成を可能とする力として特徴づけられると考えた.
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山下 奈緒子, 武智 尚子, 永田 明
原稿種別: 総説
2025 年45 巻 p.
624-635
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/25
ジャーナル
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目的:現在の日本の手術医療に対応した手術室の看護師の役割の概念の構成する構造を明らかにする.その後,日本における手術室の看護師の役割を定義することを目的とした.
方法:分析の方法は,Walker & Avantの手法を用いた.辞書,書籍などに掲載されている定義,関連概念との相違を検討後,35文献を対象に属性,先行要件,帰結を抽出した.
結果:属性は『術中看護のための臨床判断』『患者の権利擁護』『術中の安全対策』『安心の提供』が同定された.先行要件及び帰結は各々3項目であった.日本における手術室の看護師の役割は,「術中看護のための臨床判断をおこない,患者の権利擁護を踏まえて術中の安全対策と安心の提供を行う」と定義した.
結論:時代の流れにより変化した日本における手術室の看護師の役割の特徴を明示できた.この概念の構造は日本における手術室の看護師に対する看護実践モデルの開発の資料として活用できる.
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梅本 知子, 坂本 真優, 河村 奈美子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
14-24
発行日: 2025年
公開日: 2025/04/23
ジャーナル
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目的:本研究の目的は,新人看護師が職場におけるコミュニケーション困難を経験しながらも就業継続の選択に至った径路について明らかにすることである.
方法:新人看護師5名を対象に半構造化面接を実施し,現象学的方法を基盤にテーマを抽出し,複線径路・等至性モデリングを用いてモデル化した.
結果:インタビューより,【先輩看護師に自身の存在価値を示せないことがもどかしく苦しい】,【精一杯の虚勢を張る】,【十分に仕事はできない中で自分が目指す看護を模索する】,【〈看護師〉として成長を勝ち取る】の4つの段階のテーマが抽出された.
結論:新人看護師は先輩とのコミュニケーションに困難を経験しながら,インシデントのような衝撃的な出来事への直面や同期の退職等を契機として,自分の成長や周囲の人間関係,環境の支えを改めて認識し,成長意欲を得て職業継続の選択に至った.この過程は『自己変成』の生起と考えられる.
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―訪問看護師の臨床経験に焦点をあてて―
前田 直宏, 藤井 仁, 板山 稔
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
25-38
発行日: 2025年
公開日: 2025/04/30
ジャーナル
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目的:COPD療養者に対する訪問看護師のセルフマネジメント(SM)教育の実施頻度と看護上の課題,他職種との連携頻度,困難に関する実態及び,それらと訪問看護師の臨床経験との関係・特徴を明らかにする.
方法:全国の訪問看護師3,000人を対象に,郵送法による質問紙調査を実施した.分析は基本統計量を算出後,SM教育の実施頻度と看護上の課題,他職種との連携頻度と臨床経験との差をMann–WhitneyのU検定で解析した.困難に関する自由記述は内容分析によりカテゴリーを抽出した.
結果:305人を分析対象とした.SM教育の実施頻度では,息切れの評価に関する指導が最も少なく,呼吸器科病棟経験がない群で有意に少なかった.それに加えて,呼吸器科病棟経験がない群はCOPD療養者への訪問看護の困難を感じやすい特徴があった.
結論:訪問看護師によるSM教育を促進するためには,臨床経験に応じた専門知識の普及と困難感の軽減が求められる.
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木村 淸子, 師岡 友紀
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
39-48
発行日: 2025年
公開日: 2025/05/14
ジャーナル
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目的:日本語学校の教職員が客観的に認識する在日外国人留学生の受療行動における課題を明らかにする.
方法:日本語学校の教職員10名に半構造化インタビューを行った.研究デザインは質的記述的研究とし,データは帰納的分析を行った.
結果:在日外国人留学生は,【在日外国人留学生であることが理由で受診において不利益を生じる】【日本語能力の限界により受診時に真意がわからないままでの会話となる】こと,【受診の要否の判断も含めて教職員に頼らざるを得ない】ことが示された.また,【自国との社会的システムや慣習の違いから日本の一般的な受療行動になじみがない】ことに直面し,【経済的な余裕がない中で在留するため受療行動が負担となる】ことが示された.
結論:在日外国人留学生が医療機関を活用するにあたり,医療機関側の体制整備だけでなく,留学生および日本語学校への情報提供や医療職者による支援体制の整備の必要性が示唆された.
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小野 博史, 渡邊 里香, 中西 永子, 河野 孝典, 粟村 健司, 芳賀 邦子, 撫養 真紀子, 真鍋 雅史, 新居 学, 坂下 玲子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
60-71
発行日: 2025年
公開日: 2025/05/20
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目的:看護小規模多機能型居宅介護サービス(看多機)は,通所,訪問,宿泊サービスを組み合わせた新しいサービスである.本研究の目的は看多機に従事する看護師に求められるコンピテンシーに基づいた看護実践自己評価尺度の開発と妥当性の検証にある.
方法:2021年6月末時点で開設されていた看多機729施設に所属する看護師を対象として,評価指標案を用いた質問紙調査を実施し,因子構造の決定と尺度の内的一貫性,妥当性を評価した.
結果:949枚のアンケートを配布し,865枚を回収した.欠損値がない649枚を分析し,9因子59項目で構成される尺度を開発した.各因子のクロンバックα係数は全て0.9以上であり,全ての因子における経験年数3年以上の得点は,有意に3年目未満の得点を上回っていた.
結論:開発した尺度は十分な妥当性を備えており,今後は看多機で提供されているケアを評価することへの活用が期待される.
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大賀 知津子, 吾妻 知美
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
72-80
発行日: 2025年
公開日: 2025/05/20
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目的:中堅看護師におけるキャリア・プラトー測定尺度の得点と現部署での就業継続意思との関連を明らかにする.
方法:中堅看護師528名を対象に就業継続意思とキャリア・プラトー測定尺度を用いて調査した.継続意思に対する尺度のカットオフ値をROC分析にて算出,プラトー群と非プラトー群に分け,継続意思を従属変数,プラトーの有無または尺度の得点と潜在的交絡因子を説明変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.
結果:キャリア・プラトーは現部署での就業継続意思と有意に関連していた(調整済みオッズ比2.70,95%CI 1.83~3.98,p < 0.001).また,尺度得点も有意に関連していた(調整済みオッズ比0.97,95%CI 0.95~0.98,p < 0.001).
結論:中堅看護師のキャリア・プラトー測定尺度における得点は現部署における就業継続意思と関連する有用な評価指標である可能性がある.
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南部 泰士, 丹治 史也, 川尻 舞衣子, 西本 大策
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
99-109
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/09
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目的:LOHに対する受診行動に影響を与える要因を年代,認知度,AMSスコアに着目して明らかにする.
方法:日本全国の20~69歳の男性1,500名を対象にWebアンケートを実施し,LOH症状に対する受診促進の要因について自由記述で回答を収集.1,168名の回答をKH Coderでテキストマイニングを用い分析した.
結果:2,091語の抽出語を基に,4つのカテゴリー,【受診を促す条件と支援】,【受診を妨げる経済的・社会的な障壁】,【受診を妨げる心理的・知識的な障壁】,【受診を妨げる医療体制・制度の限界】が導かれた.
結論:職場・家庭からの支援,経済的支援の強化,専門医療体制の整備が受診行動の促進に重要である.
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吉羽 久美, 森田 展彰
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
110-120
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/09
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目的:乳幼児期の子どもへの接し方に育児困難を感じる母親の援助要請のプロセスを明らかにすることである.
方法:乳幼児期の子どもへの接し方に育児困難を感じた経験がある母親26名に半構造的面接法によるインタビューを行い,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチによる質的研究を行った.
結果:乳幼児期の子どもへの接し方に【育児困難の知覚】をする母親は,困難を解決し【最適な育児の探索】のために【援助要請】を行う.それは日ごろから行っている【援助要請しやすい関係づくり】をもとに【方法の選択】をし,《救いを求める》ことで【安心を得る】ことである.【援助要請の抵抗感】や対面での【援助要請のあきらめ感】がある母親は【オンラインの援助要請】を行うことで【安心を得る】.
結論:接し方に育児困難を感じる母親の援助要請のプロセスが明らかになった.看護職はこのプロセスを啓発し,看護実践に活かす必要がある.
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岡西 幸恵, 藤田 佐和
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
121-131
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/16
ジャーナル
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目的:再発・転移がんサバイバーの療養生活における調和のプロセスを明らかにする.
方法:研究参加者16名を対象に半構造化面接を行いM-GTAを用いて分析した.
結果:調和のプロセスは,『ニュートラルな自分で生きる』を中核に据え,【変わりゆく状況に自己存在が揺らぐ】から【死を傍におき自分軸をもつ】【がんは自分の一部である】【自己の拡がりに気づく】自己認識の拡大プロセスで,【今あるものに意識を向ける】【安定した自分を確保する】方略との相互作用により支えられ促進されるものであった.『ニュートラルな自分で生きる』は,がんの再発や転移を繰り返すなかで生じる絶え間ない揺れに対峙する自己の在りようで,本プロセスの循環により強化されるものであった.
結論:『ニュートラルな自分で生きる』を中核に据え,自己認識とコントロール感覚の回復・拡大の促しが,最良な健康を保つ療養生活の支えになることが示唆された.
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松崎 洋子, 堀口 和子, 岩田 昇
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
132-141
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/16
ジャーナル
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目的:高齢者のセルフ・ネグレクト状態を類型化することである.
方法:近畿6府県の地域包括支援センターと社会福祉協議会でセルフ・ネグレクト事例を担当した専門職者に自記式質問紙調査を実施した.
結果:セルフ・ネグレクト状態や行為に関する調査項目への回答151部を主成分分析し,不衛生な生活環境,不適切な保健医療行動,不衛生な家屋環境,金銭の管理不足,稀薄な対人関係の5側面の指標を抽出した.その指標を用いてクラスタ分析し,対人関係稀薄群(34%),金銭管理困難群(26%),全体低群(23%),家屋環境劣悪群(14%)の4群に類型化された.4群間で差異が見られたのは,障害高齢者および認知症高齢者の日常生活自立度,セルフ・ネグレクトのタイプと深刻度,高齢者の他者受容であった.
結論:高齢者のセルフ・ネグレクト状態は4群に類型化することができ,その類型化のクラスタ間の特徴から,それらに応じた介入や支援の必要性が示唆された.
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小倉 あゆみ, 平谷 優子, 川村 智行
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
142-151
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/20
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目的:1型糖尿病の学童期の子どもにセルフケアを移行するプロセスにおける親の関わりの様相を明らかにする.
方法:9歳以下で1型糖尿病を発症した,現在小学生以上の子どもの親10名を対象に半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した.
結果:研究参加者は全員が母親であり,子どもは全員持続皮下インスリン注入療法(CSII)を行っていた.分析の結果,【子ども自身で遂行することが難しい糖尿病管理を補う】【子どもとともに糖尿病管理を実施できるように働きかける】【親の責任のもとに段階的に糖尿病管理を子ども主体で進める】【学校関係者と協働して子どもの糖尿病管理を行う】【安心・安全な子どもの環境を整える】【子どもの主体性を促すために対応の仕方を工夫する】の6カテゴリーが抽出された.
結論:子どもにセルフケアを移行するプロセスにおける親の関わりは,子どもが主体的に糖尿病管理を行い,1型糖尿病と共に生きていくことにつながると示唆された.
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上元 達仁, 池崎 澄江
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
152-163
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/20
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目的:訪問看護管理者のリーダーシップ行動尺度の開発を行うこと.
方法:全国の訪問看護師3,000名を対象に,管理者のリーダーシップの行動に関する他者評価尺度39項目を含むインターネット調査または質問紙郵送調査を実施し,尺度の信頼性および妥当性の検討をした.
結果:577名(回収率19.3%)から回答が得られ,探索的因子分析の結果,2因子16項目が抽出された.モデル適合度はGFI = .936,AGFI = .909,CFI = .973,RMSEA = .062で,外的基準との相関係数はr = .768~.818であった.尺度全体のクロンバックα係数は.959,再テスト法による相関係数はr = .716であった.
結論:一定の信頼性および妥当性を有すること,良好なモデル適合度を示したことから,本尺度は訪問看護管理者のリーダーシップの行動を評価する指標として活用可能である.
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有田 弥棋子, 加藤 真由美
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
164-177
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/27
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目的:臨地実習指導者と大学教員が認識する看護実習生の責任ある行動を明らかにすること.
方法:指導者21人と教員22人に半構造化面接法によりデータを収集し,テキストマイニングによる量的分析と質的帰納的分析のミックス法を用いた.
結果:両者の語りで上位頻出単語の単純一致率85.3%,Kappa係数0.71.実習前から実習中に渡り【自己の不安に向き合う行動】をし,実習中は【実践力向上のための学び方を学ぶ行動】【看護実践を振り返る学習態度】をしながら【安全に配慮した統制行動】【理由を思考したルールの遵守行動】【意味を理解して伝える行動】【状態・状況に関心を寄せる行動】【相手の立場に立った行動】【信頼が得られる行動】【自己の努力を評価する行動】が責任ある行動として抽出された.
結論:両者は実習生が学ぶために行動することや,クライエントの安全への配慮や関係構築に向けて統制する行動が責任ある行動と捉えていた.
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新井 里美, 中田 ゆかり, 比嘉 勇人
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
178-188
発行日: 2025年
公開日: 2025/06/27
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目的:臨床看護師が実践している入院中の保存期慢性腎臓病患者の行動変容を促す療養援助のプロセスを明らかにすること.
方法:腎臓病指導を行う臨床看護師10名に半構造的面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA)を用いて分析した.
結果:臨床看護師が保存期慢性腎臓病患者とともに患者自身が取り組もうと思える療養行動を見出すプロセスは,【患者の療養体験と希望を知覚する】ことを起点とし,【患者に承認してもらう】関係性を築けると【立ち止まって確認したり説明する】【患者とこころを合わせ療養行動を見出す】援助につながり,行動変容を促進できる.話をきかせてもらっても【及び腰になる】【一方的に指導する】という行動変容を促すことができないプロセスも見られるが,【チームで支援する】ことで行動変容を促す療養援助を継続できる.
結論:患者の関心事について【患者の療養体験と希望を知覚する】ことを通して顔なじみとなり【患者に承認してもらう】関係性を築くことが,行動変容を促す療養援助において重要であることが示唆された.
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福田 早織, 檜山 明子, 村松 真澄, 樋之津 淳子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
236-245
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/09
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目的:術前外来で行われている退院後の生活を見据えた看護実践を明らかにする.
方法:術前外来の看護師を対象に個別に半構造化面接を実施した.分析方法はクラウス・クリッペンドルフの内容分析とした.対象者別の逐語録を精読し,看護実践の語りを対象者の言葉のまま抽出し,内容が明瞭になるように文章で表しコードとした.対象者全体のコードを意味の類似性や相違性を検討して共通する項目ごとにサブカテゴリ化,カテゴリ化した.
結果:対象者は6名で面接時間は平均43分であった.分析の結果,術前外来における退院後の生活を見据えた看護実践は235コード,53サブカテゴリ,9カテゴリであった.
結論:看護師は,安全な周術期管理を目的に身体的準備を整える支援を看護師間・多職種と連携して行っていた.また,精神・社会的な情報から患者の思いや価値,生活状況を把握し,意思決定支援や術後の変化と共に生活していくための支援を重視していた.
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鈴木 和代
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
246-257
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/11
ジャーナル
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目的:脳卒中発症直後の急性期の患者を対象に動きを再構築する看護介入の実現可能性を検討する.具体的には,介入効果の検証に必要な標本サイズと指標の妥当性,本格的な調査を行うための課題を明らかにすることである.
方法:対象者は発症後3日目以内にSCUに入院した60~85歳の患者で,対照群20名,介入群20名のデータを収集した.発症4日目~15日目の期間において動きを再構築する看護介入を行い,介入効果の主要評価指標はFIMで分析した.
結果:対照群と介入群の2群間の評価指標に統計学的な有意差は認められなかった.入院時のNIHSSが20未満の患者に限定した分析では,発症15日目のFIM認知項目得点利得が介入群において高く統計学的な有意差が認められた.
結論:今回の結果より必要な標本サイズや評価指標,その他研究方法において本格的な調査に向けた課題が明らかとなった.
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吉田 みつ子, 遠山 義人, 谷口 千絵, 喜多 里己
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
258-266
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/14
ジャーナル
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目的:妊娠期にがんと診断された女性のがん治療,育児の体験について明らかにする.
方法:2023年3月~7月に女性2名にインタビューを行い,ナラティヴ分析を行った.
結果:Aさんは乳がんのため妊娠中に抗がん剤治療を受け〔不安・疎外感・孤独感の中でお腹の子どもを心配し続けた〕.出産後は〔子どもの世話とがん治療・通院の綱渡り〕のような毎日だった.数年を経て〔今の日常がある幸せをかみしめる〕毎日である.Bさんは軟部腫瘍のため妊娠中に手術を受け〔不安・疎外感・孤独感の中で自分のがんよりも子どもを産めるのかが心配〕だった.出産後も体調がすぐれず〔子どもの世話を毎日こなすことに精一杯で自分の身体は二の次〕で,少しずつ〔子どもとの時間を大事にしながら自分の人生に目を向ける〕ようになった.
結論:がん治療による心身の不調や,通院と授乳や育児といった母親役割を担う困難は大きく,出産後の育児支援が必要である.
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永井 翔, 篠崎 惠美子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
267-277
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/15
ジャーナル
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目的:本研究の目的は,幼少期に保護者から虐待を受け,成人期に精神疾患とともに生きる当事者が,自身のライフストーリーをどのように語り再解釈しているかを解明することである.
方法:対話的構築主義を基盤としたライフストーリー研究を用い,3名に非構造的インタビューを3回行い,逐語録を「ストーリー領域(story realms)」と「物語世界(tale worlds)」の2つの位相に着目して分析した.
結果:否定的体験の中でも肯定的要素を見いだしながら自己理解を深める過程が示され,再解釈による回復と成長の可能性が確認された.チャイルド・マルトリートメント経験と精神疾患をめぐる語りは一面的に捉えきれない複合的な意味づけを含んでいた.
結論:当事者は過去のトラウマを病理のみで見るのではなく,多面的な語り直しを通じて新たな意味を再構築していた.包括的アプローチに基づく支援の必要性が示唆される.
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渡邊 美保, 塩見 理香, 竹崎 久美子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
286-294
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/17
ジャーナル
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目的:本研究の目的は認知症高齢者の術直後の床上安静期において,高度実践看護師(老人看護専門看護師・認知症看護認定看護師)が実施している患者・看護師双方に安楽をもたらす看護ケアの工夫について明らかにすることである.
方法:急性期病院に勤務する高度実践看護師6名を対象に半構造化面接を実施し,質的内容分析を行った.
結果:【興奮や混乱に繋がる予兆への初期対応】【床上安静に伴う苦痛の低減】【身体拘束に頼らない術後管理の工夫】の3つのカテゴリーが抽出された.これらの工夫は,認知症高齢者にとって術後安静に起因する不快感や苦痛の低減,せん妄や混乱の軽減のみならず,看護師にとってもケアの困難感を軽減するものであった.
結論:安静に伴う不快症状を緩和し,薬の使用タイミングを見定め,疼痛緩和や術当日の睡眠の確保を図り,身体拘束の解除に力を注ぐことが患者・看護師双方に安楽をもたらす看護であることが示唆された.
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厚美 彰子, 青木 雅子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
295-305
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/23
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目的:アトピー性皮膚炎をもつ幼児後期のこどもに必要なセルフケアを養育者が補完するケアの過程を明らかにする.
方法:乳幼児期にアトピー性皮膚炎と診断された3~11歳のこどもの母親16名に幼児後期の状況について半構造化面接を行い,グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.
結果:母親は【ありのままのこどもとの対話】を続け,『こどもの日常にケアを馴染ませる戦略』【あえての空白の創出】【補完の再調整】を繰り返し,ケアの補完を調整しこどものセルフケア能力の発達に向かう過程であった.
結論:容易ではない幼児後期のこどものセルフケア能力発達の支援は,こどもの日常にケアが馴染むように,長期に渡り母親を支援すること,アトピー性皮膚炎の症状に留意しながら,ケアの保持と放出の調整を行う【あえての空白の創出】という新たな視点も含め,こどものセルフケア能力と母親のケア能力を拡大できる支援が必要である.
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大城 真理子, 神里 みどり, 源河 朝治, 謝花 小百合
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
327-337
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/25
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目的:離島在住乳がん患者が,島外の専門的乳がん診療機関での治療から,その後のフォローアップに至る継続的な受診において,どのような困難感を有しているのかを明らかにする.
方法:離島在住乳がん患者14名を対象に半構造化面接調査を実施し,質的記述的分析を行った.
結果:離島在住乳がん患者は,島外の専門的乳がん診療機関への受診にあたり,島外に出るための移動や手続きに伴う身体・精神・経済的な困難感を有していた.また,治療に際して,家族や医療者からの支援を得にくいことも困難感として抽出された.乳がんは,長期にわたる治療やフォローアップが必要であり,島外に長期的に出向くことに対する困難感が抽出された.
結論:離島在住乳がん患者は,島外受診において,離島特有の困難感を抱えていた.今後は,離島在住乳がん患者の島外受診に対する継続的な支援体制を整備し,困難感の軽減に努めることが必要である.
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上國料 美香, 舟島 なをみ, 中山 登志子, 植田 満美子, 横山 京子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
351-361
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/25
ジャーナル
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目的:患者安全のための医療事故防止能力自己診断尺度―ICU看護師用―を開発する.
方法:ICU看護師の医療事故防止行動を解明した質的帰納的研究成果に基づく質問項目の作成と尺度化,項目反応理論を用いた質問項目の選定,郵送法による全国調査を行った.尺度の回収は,無記名個別投函とした.
結果:ICU看護師907名に尺度を配布し,有効回答304部を分析した.IRTを用いて15項目を選定し,完成版とした.尺度の情報量は,9.24以上,尺度全体のクロンバックα信頼性係数は,.91,主成分分析による第1成分への寄与率は,44.02%であった.既知グループ技法により4仮説が支持された.再テスト法による相関係数は,.50,確証的因子分析の結果は,CFI = 0.88,RMSEA = 0.09であった.
結論:本尺度は,妥当性のうち構造的側面に課題を残すが,複数の側面から証拠を備えており活用可能である.
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原田 雅義, 名越 恵美, 實金 栄
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
362-372
発行日: 2025年
公開日: 2025/07/25
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目的:本研究は若年成年世代がんサバイバーが診断後,日常生活を送る上での情報を探索するプロセスを明らかにすることである.
方法:がんサバイバー19名に半構造化面接を行い,M-GTAで分析した.
結果:がんサバイバーは,〈がんと共存するための情報を経験者から得て,同世代と繋がるために自身も発信する〉.その上で,〈心身の苦痛や経済的な問題を乗り越えて生活を整える方法を探す〉.さらに,〈がんと共存しながら,ライフサイクルに応じた人生を歩む情報を求め続ける〉.また,〈子どもや親への関わり方に悩み,手探りで解決策を探す〉.しかし,〈万が一の時に子どもに生活上の苦労をさせないような対応策を希求する〉.一方で,〈情報を収集する上で自身の信念を持つ〉ことが根底にあった.
結論:がんサバイバーは疾患に伴う苦痛緩和や社会との繋がりを維持し,家族を想いながらがんと共存する方法を模索していることが明らかとなった.
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佐藤 太一
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
392-411
発行日: 2025年
公開日: 2025/08/26
ジャーナル
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目的:保健師のケアリングを促すOJT事例検討会モデルの内容妥当性を検証する.モデル活用者は管理期保健師である.
方法:(1)モデル(案)の開発(2)モデル(案)の内容妥当性検証(3)最終版モデルの開発を経た.内容妥当性検証では管理期保健師として事例検討会を推進した経験を有する者等の協力を得た.検証は2回の質問紙調査と質問紙調査間の1回の会議にて行った.
結果:8名の協力を得た.第2回調査では124項目中120項目が妥当,4項目が不確定と判定された(不確定の4項目は削除).第2回調査の意見を踏まえ最終版モデルを開発した.モデルは4のコア概念【組織的・効果的に事例検討会を実施するためのマネジメント行動】,【保健師のケアリングを促すOJT事例検討会】,【事例検討会の成果】,【事例検討会の要件】で構成された.
結論:検証結果及びケアリング理論等との照合により,モデルの内容妥当性が確認できた.
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大友 光恵, 鈴木 幸子, 宮﨑 紀枝
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
423-433
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/03
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電子付録
目的:産科医療機関の看護職を対象に,子ども虐待発生予防に向けた看護実践意識化プログラムの効果を検証することを目的とした.
方法:無作為化比較試験を介入群31名,対照群30名を対象に実施した.介入群にはEラーニングとグループワークによるプログラムを実施した.効果評価には,NES-CMP(子ども虐待発生予防に向けた看護実践自己評価尺度)と看護実践の意識,モチベーション,自信の割合および変化量を用いた.
結果:介入群28名(脱落率9.7%),対照群26名(脱落率13.3%)のデータを分析した.NES-CMPスコアでは両群に有意差はなかったが,看護実践の意識,モチベーション,自信の変化量では,介入群が対照群を有意に上回った.
結論:本プログラムは,看護実践における意識,モチベーション,自信の向上に有効であったが,より広範な対象者や効果の持続性を検討する必要がある.
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佐々木 めぐみ, 吉田 祐子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
434-443
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/03
ジャーナル
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目的:医療的ケア児をもつ母親の特別支援学校における付き添いの経験を明らかにする.
方法:医療的ケア児の母親11名に半構造化面接を実施し,グラウンデッド・セオリーにて分析をした.
結果:母親は【子どもに合う学校の選択】をしたが,【学校の医療的ケアへの戸惑い】を抱くことがあった.【子どもに適した学習環境づくり】に努めたが,戸惑いが続くと【現状への妥協】に至り,付き添いを継続した.一方,【教職員から受けた積極的な自立支援】を通じて【子どもの社会性への気づき】が促され,子離れを意識し始め,【子離れがもたらす自己再発見】に至った.付き添い中は【子どもの体調による心の揺れ】を抱え続け,他の経験と相互に影響していた.
結論:母親の付き添いは,子どもの学習環境を整え,母親自身の役割再構築の過程であった.子どもの健康状態や心理社会的発達,母親の心の揺れをアセスメントした上で付き添いの在り方を検討する必要がある.
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増田 政江, 高井 ゆかり
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
444-453
発行日: 2025年
公開日: 2025/09/18
ジャーナル
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目的:重症心身障害児(者)の母親が,わが子の施設入所を考え始めてから入所中の現在に至るまでの心理的プロセスを明らかにする.
方法:施設入所している重症心身障害児(者)の母親26名に半構造化面接を実施し,グラウンデッド・セオリー・アプローチを参考に分析した.
結果:施設に託しても《わが子を守る母親としての責任はかわらない》というプロセスだった.【わが子を守る母親としての責任】を根底に【わが子を守れない不安】【わが子を施設に託すかどうかを考える】【施設のことは考えてもいなかった】【わが子を施設に託さざるを得なかった】等の11のカテゴリから形成された.またプロセスには,わが子を施設に託すことの葛藤や苦悩が存在していた.
結論:母親が現在プロセスの中のどの様な心理状態であるのか理解しながら母親の思いに耳を傾け,ありのまま受け止めることが重要であることが示唆された.
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―高齢者虐待経験のある養護者への面接結果―
栗田 真由美, 操 華子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
466-477
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/01
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目的:高齢者の虐待経験がある養護者を対象に,被虐待高齢者の介護を引き受け,役割不全の状況(虐待)から安定した生活を獲得する諸相を明らかにした.
方法:高齢者虐待の経験がある養護者5名を対象に半構造化面接を実施し,Meleisの移行理論を基盤に作成した概念枠組みをDirected Content Analysisを用いて質的に分析した.
結果:【養護者が自力で介護役割を担う】状況下で介護役割を獲得し,【追い詰められた状況と現状の苦しさからの解放】という役割不全の状況から役割支援を受け,安定した生活の獲得に至る諸相が得られた.
結論:養護者の介護役割の獲得後,保健師等支援者やサービスなどの支援による介護と生活との調和により,介護役割の一時的移行がみられた.一方で,適切な支援が得られず,介護負担の軽減に至らない,負担の増大が役割不全(虐待)を招いた.しかし,適切な支援介入により,虐待や再燃を防ぎ,安定した生活を獲得につながることが明らかとなった.
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斎藤 美矢子, 守田 孝恵
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
478-489
発行日: 2025年
公開日: 2025/10/10
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目的:乳幼児健診で個別課題から地域課題の抽出と解決の検討を促すカンファレンスシートの妥当性と有用性を検証する.
方法:個別課題から地域課題を抽出し解決の検討を促すカンファレンスシートを作成し実際に使用した.カンファレンスで参加観察を行い,実践技術の要素を組み込んだシートの妥当性を検証した.また,質問紙調査を実施し,有効性と効率性の観点から有用性を検証した.
結果:28事例の検討で8件の地域課題の検討がされた.シート内容は要素との関連が認められ,妥当性が確認された.また,保健師の意識変化から【個別課題の共通性に気づく】【個別課題から地域課題を思考するプロセスが理解できる】【地域の環境に目が向く】【情報の可視化と伝達の効率化】など,有効かつ効率的に実用できるシートの有用性が示された.
結論:本シートは,個別課題から地域課題の抽出と解決の検討を促す有効なツールであり,妥当性と有用性が確認された.
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川本 紀子, 前田 ひとみ, 松本 智晴
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
503-512
発行日: 2025年
公開日: 2025/11/05
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目的:新人看護師のキャリア・アダプタビリティを明らかにする.
方法:3年目看護師12名に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.
結果:分析の結果,【看護の力を感じ,将来のキャリアを考えた】【尊敬する先輩看護師がいた】【看護師・社会人として早く自立したいと思った】【看護師として責任を果たさなければならないと思った】【仕事を続けられるように気持ちをコントロールした】【患者との関係構築を大切にした】【仕事の要点をつかむことを意識した】【積極的,計画的に学ぶことを意識した】【自分の成長を自覚できた】【仕事ができないと思われたくなかった】【良い人間関係を築こうと意識した】【頼れる職場環境だと認識できた】が抽出された.
結論:新人看護師のキャリア・アダプタビリティには,キャリア構築理論の次元と同様の内容が示された.一方,既存概念にはない「安心感」が含まれることが明らかになった.
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杉谷 美穂, 千葉 陽子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
540-549
発行日: 2025年
公開日: 2025/11/14
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目的:女性と自認していない生物学的女性で出産を経験した者が,妊娠・出産・産後の体験をどのようにとらえ,感じ,考えていたのかを本人の語りを通して明らかにする.
対象と方法:トランス男性(身体的には女性で性自認が男性),Xジェンダー(身体的には女性で性自認が女性でも男性でもない),かつ妊娠・出産し生児を得て授乳・子育て経験がある者に半構造化面接を行い,テーマ分析法で分析した.
結果:6名の妊娠・出産・産後の体験の語りより【妊娠・出産した人生に対する心の揺らぎ】【妊娠・出産・産後の女性的なからだの変化に対する認識】【妊娠・出産・授乳をするのは女性,母親であるという一般的な性規範への不快感】【性自認の開示状況で異なる医療者との関係】の4テーマを抽出した.
結論:看護者には,シスジェンダーに基づくケアを提供するだけでなく,多様な性を理解しこれらの人々へのケアのあり方を探究する姿勢が必要である.
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田原 啓子, 石垣 和子, 塚田 久恵, 黒崎 あかね
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
561-571
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/08
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目的:中等症から重等症の先天性心疾患児の母親が自律的育児を見出すためのプロセスを明らかにする.
方法:訪問看護利用経験のある先天性心疾患児の母親7名に対し振り返り法によるインタビューを実施,複線経路等至性モデル,経験学習理論を用いて分析した.
結果:母親は,【自ら育てると決心する】【症状の安定に一定の自信を獲得する】【成長に喜びを見出す】【時に育児を社会にゆだねる】という分岐点を経て,等至点:母親が落ち着いて家で子どもと共に暮らしている状態に至っていた.
結論:在宅療養中の先天性心疾患児の母親が自律的な育児を習得するためには,母親が置かれている状況に応じて促進要因や阻害要因を考慮した具体的な支援方法を検討することで,母親の実態に対応したケアの提供が期待できることが示唆された.
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重田 ちさと, 天野 敏江, 根本 友見, 岡田 佳詠
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
581-591
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/15
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目的:患者から暴力を受けた精神科新人看護師に対するベテラン看護師の支援のプロセスを明らかにする.
方法:精神科経験10年以上・看護管理者・精神看護専門看護師のいずれかに該当する看護師12名に面接を実施し,M-GTAを用いて分析した.
結果:ベテラン看護師は【見えにくい不適応な反応を探る】【孤立しやすさを探る】ことで支援の必要性を判断し,一方で〈言語的暴力被害に対する支援のタイミングを逃す〉ことも経験していた.さらに,【安心して相談できる土台づくり】【隠そうとする感情を受け止めコントロールする手助け】【周囲のサポートを強化する働きかけ】の心理的支援から【暴力体験を今後のケアへ繋げる内省の促し】の教育的支援へ移行していた.
結論:心理的支援から教育的支援への移行は,感情のコントロールを支え,二次被害の予防に重きを置いたプロセスであった.また,言語的暴力被害に対する支援体制の確立も今後の課題であると考えられた.
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樋口 佳耶, 髙木 廣文
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
592-602
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/15
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目的:高度急性期病院における医師から看護師への相対的医行為の委譲による看護業務への影響を明らかにする.
方法:看護管理者16人に半構造化面接を行い,質的記述的に分析した.
結果:9サブカテゴリ,4カテゴリを抽出した.医師からの相対的医行為の委譲により,【自律性の向上】,【実践能力の向上】,そして,【提供できる看護サービスの向上】および【必要な看護サービス提供への支障】という変化が生じていた.
結論:医師からの相対的医行為の委譲により,看護師が専門性を発揮できる機会が増える一方,専門性の発揮のために必要な,療養上の世話等が十分にできなくなるという影響も生じていた.医師から看護師へのタスク・シフト/シェアを推進する政策を看護の専門性の発揮に資するものとするためには,看護師が療養上の世話を十分に行える環境を整えることが必要である.
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―訪問看護師からみた要因と支援に焦点をあてて―
蒔田 寛子, 大野 裕美, 川村 佐和子
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
603-612
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/25
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目的:療養生活を送る在宅高齢者が救急車の頻繁利用をしなくなった要因と,支援について明らかにすることを目的とした.
方法:研究協力者は訪問看護師1,000名である.2段階のデルファイ法により,質問紙調査を行った.同意率は第1回調査では70%,第2回調査では80%とした.
結果:第1回調査の同意率70%以上は,在宅高齢者が救急車の頻回利用をしなくなった要因18項目中14項目,在宅高齢者への支援21項目中20項目であった.第2回調査の同意率80%以上は,在宅高齢者が救急車の頻回利用をしなくなった要因14項目中13項目,在宅高齢者への支援20項目中19項目であった.
結論:在宅高齢者が救急車の頻回利用をしなくなった要因は,症状理解と対応ができるようになったこと,必要な医療が在宅で受けられること,病院ターミナルから在宅ターミナルへの切り替えであった.そのためには,緊急性の高い状態を説明し,いつでも対応する支援が必要であった.
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河野 瑠奈, 鳥居 順子, 入野 了士, 田中 美延里
原稿種別: 原著
2025 年45 巻 p.
613-623
発行日: 2025年
公開日: 2025/12/25
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目的:学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りの実態を明らかにする.
方法:小学校3校の保護者を対象に無記名自記式質問紙調査を実施した.
結果:分析対象344名の内39名(11.3%)が「気がかりな高齢者がいる」と回答し,内16名(41.0%)が継続的に気がかりな高齢者の様子を確認していた.さらに,高齢者見守り項目の中でも「家の中から怒鳴り声がする・悲鳴が聞こえる」「歩く姿が危なっかしい,具合が悪そう」といった項目は「非常に気になる」ことが示された.高齢者見守りと関連のある項目は,地域の高齢者から受けた子育て支援,近所づきあいや地域活動を通した高齢者との交流,地域への愛着等であった.
結論:地域における世代間交流を推進するとともに地域への愛着を高めることで学童期の子どもを持つ保護者における高齢者見守りが促進される可能性がある.
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