日本看護科学会誌
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最新号
選択された号の論文の44件中1~44を表示しています
総説
  • 田中 孝美, 田中 晶子, 殿城 友紀
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 p. 10-18
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    目的:慢性呼吸器疾患患者のアドバンス・ケア・プランニング(以下ACP)を支える介入研究の文献レビューから,推奨される実践の要素を明らかにすること.

    方法:PubMed,CINAHL with Full Text,医学中央雑誌ver. 5の書誌データベースを用い2017年12月までに発表された文献を対象に検索を行った.

    結果:慢性呼吸器疾患患者のACPを支える介入研究のレビューから,明らかとなった推奨される実践の要素は,ACPの対象,ACPの介入の潜在的なニーズの評価,ACPの介入実施者と関わりの回数,ACPに関する情報提供,人工呼吸に関する情報提供,ACPに関する記録の共有であった.

    結論:慢性呼吸器疾患患者のACP介入研究の効果から捉えるACPの関わりに適した対象の考え方,ACPを支えるために推奨される実践要素の意味について示唆された.

  • 仁科 祐子, 長江 弘子, 谷垣 靜子
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 p. 74-81
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/28
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    目的:日本の訪問看護師の行う訪問看護実践における判断について定義することを目的とした.

    方法:日本国内で発表された33文献を対象として,Rodgersの概念分析方法を用い分析を行った.

    結果:4つの属性:【生活者としての対象をよく知る】【先を見通す】【対象者の生活に即したケアを共に考える】【対象者中心思考で熟考する】,3つの先行因子:【生活の場での看護の特徴】【専門職的判断への意志】【看護師個人の能力】,2つの帰結【判断の内容】【対象者に最適なケアの実施】が抽出された.

    結論:日本の訪問看護師の行う訪問看護実践における判断は,対象者中心思考で熟考することを基盤とし,生活者としての対象をよく知り,先を見通しつつ,対象者の生活に即したケアを共に考えるプロセスである,と定義した.このプロセスにより対象者の状態,ケア,関わり方が決定され,対象者に最適なケアの実施に至る.

  • 田中 博子, 荒木田 美香子
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 p. 221-226
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/28
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    目的:医療者のCultural Sensitivityの概念を明らかにし,日本における本概念の適用可能性を検討することである.

    方法:Rodgersの概念分析アプローチの方法を用いた.2017年までに発行された英語文献44件,和文献4件の合計48件を分析対象とした.

    結果:【対象者を理解したいという積極的な思い】,【自文化との差異の自覚】,【文化に関する知識】,【文化の理解】,【文化の尊重】の5つの属性と,4つの先行要件,6つの医療者・対象者の帰結を抽出した.

    結論:本概念を,文化が異なる対象者を理解したいという積極的な思いのもと,自文化との差異を自覚し,文化に関する知識を得ることで対象者とその文化を理解し,尊重の態度で文化的差異に向き合う情動的・認知的能力であると定義した.グローバル化が加速している我が国において,本概念は異文化を有する対象者の理解を高める医療者の教育・評価に有用な概念であると考えられた.

  • 牧野 耕次, 比嘉 勇人
    原稿種別: 総説
    2019 年 39 巻 p. 359-365
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/17
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    目的:患者-看護師関係におけるインボルブメントの概念を明らかにすることである.

    方法:英語文献を対象とし,データベースPubMed,CINAHL,Academic Search Elite,SCOPUSを使用して,Rodgers(2000)の概念分析の手法により分析した.

    結果:30件を分析した結果,患者-看護師関係におけるインボルブメントは,五つの属性【患者に専心する】【患者の世界に入る】【患者を理解する】【境界を調整する】【関係を形成する】と四つの先行要件,二つの帰結が抽出された.

    結論:患者-看護師関係におけるインボルブメントの概念モデルを用いることで,否定的な側面ととらえられがちな「巻き込まれ」を「個人の問題」とせず,看護の枠組みの中で肯定的なかかわりに変化させることが可能となる.すなわち,臨床看護師にとってインボルブメントの概念モデルは,看護の中で起こったありのままを次の看護の中で活かしていくためのツールとなりえる.

原著
  • 折山 早苗, 宮腰 由紀子, 茅原 路代
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 19-28
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    目的:12時間二交代制勤務の看護師の日勤,長日勤,夜勤における睡眠,眠気と疲労を明らかにする.

    方法:対象者は,22歳の女性看護師7人とした.交代制勤務時の睡眠状態,眠気,疲労感を「関西学院式眠気尺度」,「自覚症状しらべ」,PVT,アクティブトレーサー,アクチグラフを用いて測定した.

    結果:身体活動量は,長日勤が日勤や夜勤よりも多く,身体的負担も大きかった.日勤中と夜勤中には,疲労感と眠気は変化しなかった.長日勤では,勤務の終了にかけて直線的に疲労感と眠気は増加し,覚醒水準は低下した.一方,夜勤の開始時には眠気や疲労感は改善していたが,夜勤終了時には疲労のねむけ感やぼやけ感が増加した.さらに,睡眠時間は夜勤前が最も短く,交代制勤務では睡眠覚醒リズムの変化が一時的にみられたものの翌日には改善していた.

    結論:12時間交代制勤務では,長日勤が他の勤務より活動量も多く,疲労感や眠気は増加し,覚醒水準は低下した.睡眠時間は夜勤前が日勤後よりも短時間であった.

  • 新裕 紀子, 中尾 久子, 濵田 裕子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 29-37
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    目的:臨床看護師が成長に向かう動機づけの構造を明らかにする.

    方法:経験3年目以上の看護師13名に半構成的面接を行った.

    結果:8つのカテゴリーが見出された.看護師は【看護職として仕事に向かうための基盤】を築くことで【看護という仕事への取り組み】を容易にし,仕事の中で【専門職としての未熟な自己への気付き】に至り【未熟さの克服への努力】を行っていた.他者との関わりが増すことで【他者との関わりを通した自己の在り方への関心】を強く抱きながら【他者への配慮を心にとめた自己の探究】を続け,経験を積み重ねる中で【看護職に対する誇りと他者貢献への欲求】が培われ,【仕事に対する自律性と協調性の融合】した行動へと繋がった.

    結論:看護師が成長に向かう動機づけは,一人前の専門職を目指す中で他者へ向かう思考と自己の内面に向かう思考がバランスを取り,協調的で自律的な行動を見出す構造であることが示唆された.

  • 金子 多喜子, 森田 展彰, 伊藤 まゆみ, 関谷 大輝
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 45-53
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    目的:本研究の目的は,看護師の感情対処育成のため認知再構成法によるWeb版教育プログラムを実施し,感情対処傾向の変容効果を検証することである.

    方法:看護経験年数10年未満の看護師26名を対象に,認知再構成法を用いたWeb版教育プログラムを実施した.介入評価は,看護師版感情対処傾向,STAI日本語版,首尾一貫感覚(SOC)の尺度を使用し,介入前・後,および介入後1ヵ月の3期に測定した.

    結果:メンタルヘルスに効果的な対処である,患者の感情と看護師自身の感情の折り合いをつけ調整する“両感情調整対処”が高まり(F(2, 48) = 3.61, p = .035),感情への対処自信も高まった(F(2, 48) = 5.02, p = .010).また,その効果は概ね介入直後よりも介入後1ヵ月において変容を認めた.

    結論:本研究のWeb版教育プログラムの実施により,看護師の感情対処傾向を変容させる可能性が示唆された.

  • 福田 早織, 中村 惠子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 59-67
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    目的:卒後1~3年の看護師の手術看護の経験を可視化する.

    方法:対象者7名に半構造化面接を行い,リースマンのナラティヴ分析を用いて分析した.

    結果:対象者7名が語る手術看護の経験は,【患者の辛さや不安な思いを気遣う関わり】【患者の思いの理解と信頼関係が大事だという気付き】【患者の立場に立って気付く倫理的配慮の必要性】【受け持ち看護師である自覚】【器械出しが出来ないやりきれなさと患者を救う看護だという気付き】【患者の安全を守る責任と役割を果たすための努力】【手術看護が出来たという実感】【手術看護を行うことで気付いた手術看護の魅力】【患者との関わりから得る達成感と励み】の9テーマであった.

    結論:卒後1~3年の看護師は,十分に看護が実践出来ないと感じながらも,日々の手術看護の経験を通して,看護の意味を見出し,やりがいを感じながら,手術看護における技術の向上を目指していた.

  • 武内 玲, 川田 美和, 柴田 真志
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 68-73
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/28
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    目的:本研究の目的は,慢性期統合失調症患者の日中の身体活動と睡眠指標の関連を明らかにすることであった.

    方法:対象者は慢性期統合失調症入院患者27名(男性17名,女性10名,平均年齢58.3 ± 11.6歳)であった.客観的睡眠指標として小型体動計を用いて,総睡眠時間(TST),入眠潜時(SL),中途覚醒時間(WASO)および睡眠効率(SE)を評価した.また,主観的睡眠指標としてピッツバーグ睡眠質問票(PSQI)を実施した.身体活動指標は歩数を採用し,一軸加速度計を用いて客観的睡眠指標とともに1週間測定した.

    結果:歩数は,SE(r = .629, p < .01)およびTST(r = .406, p < .05)と有意な正の関連が,またWASO(r = –.615, p < .01)と有意な負の相関関係が認められた.一方,歩数とPSQIスコアに関連は見られなかった.

    考察:身体活動の多い統合失調症入院患者は客観的睡眠指標が良好であり,身体活動を高めることが睡眠の改善に結びつく可能性が示唆された.

  • 冨田 亮三, 細田 泰子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 82-90
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/04
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    目的:初期キャリア形成期看護師のピア・コーチング測定尺度の信頼性と妥当性を検討する.

    方法:専門家会議と内容妥当性指数から55項目のピア・コーチング測定尺度原案を作成した.2017年9月~2018年3月に全国65施設の卒後2・3年目の看護師を対象に質問紙調査を実施した.318名のデータを分析対象とし,項目分析,探索的因子分析,Cronbach’s α係数,外的基準との相関関係,再テスト法を行い信頼性と妥当性を確認した.

    結果:探索的因子分析の結果【互恵関係の構築行動】【援助方法の共創行動】【援助方法の補填行動】【自己変容の促進行動】の4因子20項目が抽出された.下位尺度のCronbach’s α係数は .82~.89であった.協同作業認識尺度の「協同効用」との相関係数は .33,看護師チームのチームワーク測定尺度との相関係数は .33であった.再テスト法では下位尺度の級内相関係数が .65~.79であった.

    結論:初期キャリア形成期看護師のピア・コーチング測定尺度の信頼性と妥当性が検証された.

  • 田中 浩二
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 91-99
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/04
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    目的:視覚障害によってCharles Bonnet症候群を呈した高齢者の経験について,身体知覚の側面から解釈することである.

    方法:視覚障害とそれに伴う幻視・抑うつをもつAさんに対して参加観察と非構成的インタビューを行い,AさんのナラティヴをMerleau-Pontyならびに伊藤の身体論に依拠して解釈した.

    結果:Aさんの経験を解釈することで,視覚障害に伴う幻視の特徴や喪失体験の苦悩を受容する過程として【視覚に対する思考や感情の影響と幻視のはじまり】【重なる喪失体験による侵襲的な幻視と抑うつ】【感覚の代償】【他者を通して芽生えた生きる力】【喪失したものの現れ】【運命の引き受け】という6テーマが導き出された.

    結論:視覚には当事者の思考や感情が関与しており,状況によって幻視・抑うつが変化することが示唆された.そのため,当事者の苦悩を理解した上で,生きることの意味の探求や生活の再構築などを支援しながら,障害や喪失の受容のプロセスを支えていくことが重要である.

  • 大槻 奈緒子, 福井 小紀子, 坂口 幸弘
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 100-107
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/13
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    目的:本研究の目的は,医療的ケア児のレスパイトケア(以下,RC)に焦点をあて,小児の訪問看護を実施している訪問看護ステーションおよびその併設事業所におけるRCの実施実態とその関連要因を明らかにする.

    方法:全国の小児の訪問看護を実施している事業所1,154か所を対象に,郵送法による自記式質問票調査を実施した.分析はχ2検定およびMann-WhitneyのU検定を用いた.

    結果:381名(32.8%)からの有効回答を分析対象とした.RC実施率は57.1%であり,放課後等デイサービスの併設は実施率と関係がみられた(p = .004).また,RCの実施には,看護職員数,ニーズ,看護の質の統一化,人員確保,事業所スタッフの児とのコミュニケーション能力,家族との信頼関係構築能力が関連していた(p = .00–.036).

    結論:RCの実施には,人員配置や看護の質の統一化,基本的看護スキルの習得などの整備を行う必要性が示唆された.

  • 野中 雅人, 服部 ユカリ
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 108-115
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/19
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    目的:大学病院に勤務する看護師が捉えた看護師長による変革型リーダーシップと職場コミュニティ感覚との関連を明らかにする.

    方法:国公私立大学病院に勤務する病棟勤務看護師275名に対し,自記式質問紙調査を実施した.項目は基本属性,看護師用職場コミュニティ感覚尺度,変革型リーダーシップ尺度とし,重回帰分析を行った.

    結果:職場コミュニティ感覚を従属変数,変革型リーダーシップを独立変数とし,重回帰分析を行ったところ,変革型リーダーシップ(β = 0.515, p < 0.01)とに有意な関連が認められた.さらに変革型リーダーシップの下位尺度である個別的配慮(β = 0.400, p < 0.01)が職場コミュニティ感覚と有意に関連していた.

    結論:スタッフの捉える看護師長の変革型リーダーシップは,病棟におけるスタッフの職場コミュニティ感覚を高めることが示唆された.

  • ~在宅での乳幼児期の子育て体験の分析から~
    進藤 夏子, 夏原 和美
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 116-126
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/28
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    目的:乳幼児期の重症心身障がい児(重症児)を育てる母親がどのように社会との接点を持つのか,そのきっかけやパターンを母親の体験から明らかにする.

    方法:6~8歳の重症児の母親9名に出生から幼児期までの育児における母親の心理,地域社会との関係等について半構造的面接を実施し,質的記述的分析を行った.

    結果:21カテゴリー,5[大カテゴリー]が抽出された.母親は[重度な障がいの子どもと向きあう]体験を基盤に,[遠い他者に感じる冷ややかな世間]の影響を受けると[思い込みに囚われて行き場がない子育て]を体験し,[顔が見える他者からのエネルギー]によるプラスの影響があると[他者との関わりへと広がっていく自分の世界]という体験をしていた.

    結論:乳幼児期の重症児の母親は,子どもの不安定な体調や,他者を冷たく感じる体験から社会との接点をもてない状況となる.社会との接点は,家族や友人のような顔の見える他者からもたらされるパターンと,自ら身近な他者の理解を求めるパターンを認め,母親同士のつながりが重要な役割を担っていた.

  • 富田 真佐子, 片岡 優実
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 127-136
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/09/28
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    目的:炎症性腸疾患患者のQOLを評価する尺度を開発することを目的とした.

    方法:これまでに行ってきたQOL関連要因探索研究の結果に基づき,2病院の外来患者を対象に質問紙法による調査を実施した.クロンバックのα係数および再テストによる尺度の信頼性と,因子分析による構成概念妥当性および外的基準との相関係数による基準関連妥当性を検証した.

    結果:質問紙を460部配布し,分析対象は319名(クローン病222名,潰瘍性大腸炎97名)であった(有効回答率69.3%).項目分析と探索的因子分析により19項目5因子を抽出した.19項目に欠損がない対象300名のクロンバックのα係数は尺度19項目全体が.914,因子別では.710~.927の範囲であった.再テスト法の級内相関係数は.820,外的基準との相関係数は,SF-8のPCSが.388,MCSが.711,生活満足度10点評価が.731であった.

    結論:信頼性,妥当性は概ね良好であったが,構成概念妥当性については課題が残った.

  • 清水 史恵
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 137-146
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/04
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    目的:特別支援学校の看護師(以下,学校看護師)が,医療的ケアを要する子どもの急変に備えるプロセスを明らかにする.

    方法:学校看護師18名に半構造化面接を実施し,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.

    結果:学校看護師は,急変対応を経験し,重責を伴う急変対応の判断に迷い,急変にチームで対応する必要性を感じる中で,急変時に関わる人たちと信頼関係を築き,その子を知るように努めていた.そして,その子に起こりうる体調の変化や急変を予測し,教諭と共に,急変時に動けるように備え,急変に至らないよう先手を打っていた.その際,学校看護師は,親や教諭の思いや学校のルールにそわなければいけないことで葛藤を抱くと,教諭や親の思いと折り合いをつけていた.学校看護師は,教諭と共に急変に備えながら教諭の急変対応力を高めていた.

    結論:急変に備えるため,学校看護師と教諭が経験を共有し学ぶ場の必要性が示唆された.

  • 堀部 光宏, 赤澤 千春
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 147-156
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/23
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    目的:高齢レシピエントの自己管理行動の現状と自己管理行動に影響する要因を明らかにすることである.

    方法:「日本肝移植研究会」に登録された移植実施施設67か所のうち,18施設の移植コーディネーターや医師に研究協力を依頼した.協力が得られた7施設で外来受診時の65歳以上の生体肝移植レシピエントに無記名自記式質問紙を配布し,回収された167人分を分析した.

    結果:91.6%のレシピエントが免疫抑制剤を内服していたが,49.7%は副作用の理解が不十分であった.女性レシピエントは「移植後の期間」が経過すると日々の観察に関する自己管理行動を疎かにしていた.また,フレイルの女性は「健康増進実行度」が低かった.

    結論:高齢レシピエントは免疫抑制剤の副作用自体の理解は不十分であったが,自己管理行動はできていた.女性レシピエントでは「移植後の期間」が「日々の観察実行度」,フレイルが「健康増進実行度」に影響していた.

  • フォーカス・グループインタビューデータの質的分析
    金城 芳秀, 宮里 暁乃, 佐伯 圭一郎, 西川 浩昭, 大城 真理子, 李 廷秀
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 165-173
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/09
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    目的:本研究は,教育学習環境におけるシビリティとインシビリティについて,看護学生の認識を明らかにすることを目的とした.

    方法:2016年2月から2017年7月までに,学部4年生5人からなる3つのフォーカス・グループが得られ,各約1時間分の逐語録を分析資料とした.

    結果:内容分析の結果,シビリティは4つのカテゴリーから構成され,(1)学べる環境の具備,(2)意思や価値観の尊重,(3)成長過程の共有,(4)関係性の拡充であった.またインシビリティは3つのカテゴリーからなり,(1)否定的な言動,(2)一貫性がない言動,(3)コンピテンシーの不足であった.

    結論:本研究より,学生は自らの成長を伴う教育学習環境の構造と過程から教員のシビリティを認識し,学生と教員の相互の関わりの中止あるいは中断の原因となる状況からインシビリティを認識することが示唆された.

  • 片山 美穂, 北岡 和代, 中本 明世, 川村 みどり, 森岡 広美, 川口 めぐみ
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 174-182
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
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    目的:抑うつ状態にある母親が子どもに感じる思いから辿る育児プロセスを探索する.

    方法:産後1か月健診時または新生児家庭訪問時のエジンバラ産後うつ病自己調査票(EPDS)が9点以上の母親6名および,育児不安が強く育児指導を受けた母親6名,計12名の母親を対象に,半構成的面接法を実施した.研究方法はGrounded Theory Approachを用いた.

    結果:抑うつ状態にある母親は,日々《子どもへの対応がわからずイライラ,悶々として過ごす》状況にあり,様々な思いと育児行動のプロセスを経て《思わず手が出る》《子どもを放置・子どもに近づけない》《子どもに感謝する》の3つの帰結に至っていた.

    結論:子どもに否定的な感情を抱き負の帰結に至らないための支援として,母親を追い詰めない,孤立させないように,母親の元に直接出向いて必要な援助をすることの重要性が示唆された.

  • 大槻 奈緒子, 福井 小紀子, 藤田 淳子, 清水 準一, 林田 賢史, 清崎 由美子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 183-192
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/13
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    目的:本研究は,機能強化型訪問看護事業所での利用者特性に応じた訪問看護ケアの実施実態を明らかにした.

    方法:全国の機能強化型訪問看護事業所と利用者515名を対象に開発したデータ入力システムを用いた調査を行った.

    結果:利用者特性に関連する実施回数の多い訪問看護ケア項目は,がん末期では「疾病・治療の説明・指導(オッズ比(OR)=4.535)」,神経難病利用者への「衣生活のケア・指導(OR = 2.276)」,小児への「精神的援助(OR = 3.062)」「意思決定支援(OR = 3.701)」が特徴的であった.

    結論:利用者特性別での実施回数の多い特徴的な訪問看護ケアが明らかになった.訪問看護のケア実施には,利用者特性を考慮する必要がある.

  • 地域包括ケア病棟の看護職に着目をして
    小木曽 加奈子, 伊藤 康児
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 193-201
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/16
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    目的:地域包括ケア病棟の看護職を対象に,地域包括ケアにおける認知症高齢患者に対するシームレスケア実践力尺度作成に向け,妥当性と信頼性を検証することを目的とした.

    方法:地域包括ケア病棟137施設の看護職1,370名を対象に,質問紙調査を行った.

    結果:570名(41.6%)の有効回答を得た.天井効果および床効果を示す質問項目はなかった.探索的因子分析では,【多職種の強みを活かす】,【家族の現状を考慮する】,【穏やかな日々の生活を維持する】,【認知機能に応じ日常生活動作の向上を目指す】,【退院後へつなぐ医学的管理】,【入院早期からのMSWとの連携】の6因子に分かれ,各因子のα係数は.800以上であった.確認的因子分析では,CFIは.905,RMSEAは.065であった.

    結論:本尺度の妥当性と信頼性が示され,認知症高齢患者に対し地域包括ケア病棟が求められる機能を果たすためにも,本尺度の活用が望まれる.

  • 大原 裕子, 河井 伸子, 黒田 久美子, 坂本 明子, 石井 優香, 正木 治恵
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 202-210
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/12
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    目的:高齢者ケアの継続に向けた急性期病院看護師のコーディネート機能を明らかにする.

    方法:看護師16名を対象に半構成的面接を行い質的統合法(KJ法)にて分析した.

    結果:コーディネート機能は,【他職種を含めたケア実践への動力:日頃の関わりから高齢者の望みや価値観を感性で捉え支える】,【他職種との連携・調整への動力:多角的視点での情報収集・現状判断と予測からの舵取り】,【高齢者の生き様を尊重したケア実践に向けた足固め:高齢者の全体像やケアの方向性一致・集約への働きかけ】,【よりよい連携に向けた足固め:互いの専門性の尊重と担当領域の見定め】,【高齢者をとりまく環境に対する調整:介護者へのケアや関係調整,地域住民への啓発】,【システム環境に対する調整:伝達をスムーズにする為の手段やルートの構築】の6機能であった.

    結論:コーディネート機能は「足固め-動力-調整」と「高齢者-他職種」からなる2軸構造となった.

  • 千原 裕香, 西村 真実子, 成田 みぎわ, 金谷 雅代, 寺井 孝弘, 伊達岡 五月, 本部 由梨
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 211-220
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/12/14
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    目的:青年期前期における親世代になることに対する意識尺度を作成し,信頼性と妥当性を検討する.

    方法:予備調査により48項目の尺度原案を作成した.A県内の高校生786名を対象に質問紙調査を実施し,内的整合性と構成概念妥当性を検討した.

    結果:回収数762名,有効回答数703名であった.因子分析及び信頼性の検討の結果,【子どもとの関わりに対する意識】【親子関係に対する意識】【親になることに対する意識】【夫婦や社会で子育てすることに対する意識】【子どもや子育てに対する関心・感情】【子育てに対する不安】の6下位尺度33項目で構成された.既知集団妥当性と確証的因子分析により,一定の構成概念妥当性が確保された.各下位尺度のCronbach’s α係数は0.76から0.94で概ね良好な値が得られた.

    結論:作成した親世代になることに対する意識尺度の信頼性と妥当性は概ね確保できた.

  • ~テーマ分析による体験の探究~
    川村 崇郎, 小松 浩子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 227-235
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/16
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    目的:低血糖は糖尿病患者の予後を左右する.本研究では糖尿病を有する高齢者が低血糖に関してどのような体験をしているのか探究する.

    方法:1型あるいは2型の糖尿病を有し,研究参加に同意した日より遡って1年以内に低血糖を経験した65~90歳の高齢者13名に半構造的面接を行い,テーマ分析を用いてデータを分析した.

    結果:4つのテーマと12のサブテーマが抽出された.4つのテーマは《コントロールがきかないもどかしさ》,《自己肯定感を伴う低血糖のコントロール》,《自己管理という心得》,《低血糖との折り合い》であった.

    結論:高齢者は低血糖に関して負担感情のみではなく《自己肯定感を伴う低血糖のコントロール》というポジティブな感情を抱くことが見出された.高齢者は《自己肯定感を伴う低血糖のコントロール》と《自己管理という心得》を後ろ盾として,生活や価値観にもとづいて選択的に《低血糖と折り合い》をつけると考えられる.

  • 福島 康子, 矢嶋 裕樹
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 236-244
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/21
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    目的:本研究は,Weinerの帰属理論に基づき,自閉スペクトラム(ASD)者の困難場面に対する看護学生の原因帰属と支援行動意図との関連を明らかにすることを目的とした.

    方法:看護学生351人を対象に質問紙調査を実施した.ASD者の困難場面をヴィネットとして提示し,それに対する原因帰属(統制可能性)や感情(怒り・共感),支援行動意図についてたずねた.分析では,統制可能性が怒りや共感を介して支援行動意図に影響を及ぼすとする仮説モデルを設定し,検討した.

    結果:構造方程式モデリングの結果,仮説モデルはデータに適合していた.パス係数から,ASD者の困難場面に対する統制可能性認知が低い者ほど,共感が強く,支援行動意図が高いこと,一方,統制可能性認知が高い者ほど,怒りが強く,支援行動意図が低いことが示された.

    結論:ASD者の困難場面に対する看護学生の原因帰属,とりわけ統制可能性への介入がASD者への共感や支援行動の促進につながる可能性が示唆された.

  • 大西 陽子, 村井 嘉子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 245-253
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/23
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    目的:クリティカルケア領域における浅い鎮静深度で管理されている人工呼吸器装着患者に対する看護実践の特徴を明らかにする.

    方法:急性・重症患者看護専門看護師および集中ケア認定看護師を対象に半構造化面接を実施し,質的帰納的に分析した.

    結果:対象者13名から【患者の複数の情報を統合し苦痛を読み取り積極的に緩和を試みる】【患者に医療機器・装着物を繰り返し見せたり触らせたりすることでその存在を示す】【患者に急激な身体状況の変化や今後の見通しについて繰り返し説明する】【患者の自発的な行動を尊重すると同時にその危険度を見極める】【患者の同意を得ながらケアやリハビリに取り組めるよう導く】【患者-家族間を仲介し相互の距離を調整する】の6つの看護実践が明らかとなった.

    結論:看護師は浅い鎮静において,患者の力を引き出しながら,患者と協働して看護実践を組み立てていく必要があることが示唆された.

  • 二見 朝子, 野口 麻衣子, 山本 則子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 261-269
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/15
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    目的:看護師が利用する科学的根拠の利用頻度およびクリティカルシンキング(CT)との関連を明らかにする.

    方法:病院の病棟師長および看護師を対象に自記式質問紙調査を実施した.組織特性,個人特性,CT,情報源の利用頻度等を尋ねた.情報源のうち,ガイドライン・論文データベースを科学的根拠と分類した.

    結果:全国61病院の師長68名,看護師986名分の回答を分析対象とした(有効回答率:師長93.2%,看護師72.1%).ガイドラインは58.4%,論文データベースは32.8%が1年以内に1度以上利用していた.CTは,ガイドライン(オッズ比[OR]:1.97,95%信頼医区間[CI]:1.30~2.99)および論文データベース(OR: 2.47, 95%CI: 1.58~3.85)の利用共に有意に関連していた.その他の要因としてガイドラインの利用には学会参加回数が多いこと,論文データベースには一般病床,統計解析の院内研修がある,年齢が低い,臨床研究実施回数が多い,学会参加回数が多いことが有意に関連した.

    結論:CTの高さは,科学的根拠の利用促進に寄与しうる要因であることが示唆された.

  • ―東北地方のA県ならびに政令指定都市B市内の病院に勤務する看護師を対象として―
    新宮 洋之, 安保 寛明
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 270-277
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/29
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    目的:看護師を対象に,構造的エンパワメントと情動的コミットメント,ワーク・エンゲイジメントの関係を明らかにする.

    方法:東北地方のA県ならびに政令指定都市B市内の病院に勤務する看護師を対象に,質問紙調査を行った.

    結果:構造的エンパワメントから情動的コミットメントならびにワーク・エンゲイジメントには,それぞれ有意な正のパスがあった.また,構造的エンパワメントからワーク・エンゲイジメントを介した情動的コミットメントには有意な正のパスがあったが,構造的エンパワメントから情動的コミットメントを介したワーク・エンゲイジメントへのパスは有意な関係になかった.

    結論:構造的エンパワメントは,看護師の情動的コミットメントならびにワーク・エンゲイジメントを高めることが示唆された.また,看護師における構造的エンパワメントと情動的コミットメント,ワーク・エンゲイジメントの関係には,方向性があることが示唆された.

  • 真志田 祐理子, 深堀 浩樹, 太田 喜久子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 278-287
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/29
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    目的:大腸切除術を受け外来通院する75歳以上の高齢者が術後に経験する生活の変化と変化への対応について明らかにする.

    方法:研究参加者9名に半構造化面接を実施し,質的内容分析を行った.

    結果:大腸切除術後の高齢者は,生活の変化を経験し様々な変化に対応していた.術後期の生活の変化の認識は《生活機能の低下を経験する》,《気力や体力の低下により活動量が低下する》,《症状がないもしくはあっても生活は変化しない》の3つだった.回復・適応期や維持期においては,老いによる機能低下を自覚するようになる高齢者がおり,生への期待と最期の迎え方を考えるといったある程度肯定的な変化と,生と老いの狭間で葛藤を感じる変化に分類され,一人の高齢者が両方を同時に感じる場合もみられた.

    結論:大腸切除術後高齢者の退院後における支援では,疾患や症状の評価だけでなく,退院後に生じる生活の変化の継続的な理解と,その変化や高齢者自身が行っている対応に応じた支援を行っていくことが有益である.

  • 伊東 由康, 尾花 美幸, 坂口 幸弘
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 288-297
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/29
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:救急外来での終末期患者の家族ケアに対する看護管理者の評価および組織体制の実態とその関連について明らかとすることを目的とする.

    方法:救急外来の看護管理者を対象に質問紙調査を実施した.救急外来での終末期患者の家族ケア30項目を使用,因子分析から評価得点を作成し,組織体制との重回帰分析を行った.

    結果:有効回答は149名(51.6%)であった.救急外来での終末期患者の家族ケア30項目に対する肯定的な評価の割合は53.3~96.6%であった.重回帰分析の結果,合計得点と「救急外来での年間死亡患者数」(β = –0.21),「多職種連携体制あり」(β = 0.25),「ケアの評価あり」(β = 0.44),「標準化されたケアプラン・マニュアルあり」(β = 0.24)で関連を認めた.

    結論:看護管理者が十分に実践されていないと認識しているケアの存在が明らかとされ,実践の促進には多職種連携体制やケアの評価・標準化に関する組織体制整備が必要であることが示唆された.

  • 緒形 明美, 小木曽 加奈子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 306-315
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/29
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:特別養護老人ホーム(以下,特養とする)の職場環境評価尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討することである.

    方法:予備調査の後,全国の特養300施設の看護職と介護職の1,800名を対象に,質問紙調査を実施した.

    結果:344名(回収率19.1%,有効回答率95.6%)の因子分析の結果,「上司の支援的役割」,「創造的業務改善」,「人事考課」,「施設長の任務」,「教育」,「介護職と看護職の協働」の6因子34項目で構成された.尺度の信頼性と妥当性を検討した結果,尺度全体のクロンバックα係数は,.956で,モデル適合度は,χ2 = 1193.5,p < .001を示し,GFI = .837,AGFI = .812,CFI = .925,RMSEA = .059であった.また,外的基準との相関係数は,.204~.916であった.

    結論:構成概念妥当性のデータへの当てはまりはやや劣るが,内的整合性,基準関連妥当性が一定の基準を満たした.特養の職場環境評価の指標として活用可能である.

  • 吉岡 詠美, 金子 さゆり
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 316-325
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/11
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:看護学生が看護学実習で経験するケアの倫理的行動について評価できる看護学生版ケアの倫理的行動尺度を開発し,その尺度の信頼性と妥当性を検証する.

    方法:全国の看護学生694名に自記式質問紙調査を実施した.因子分析を行い,構成概念妥当性はAMOSでモデルの適合度を確認,併存妥当性は「看護の専門職的自律性測定尺度」を用いて確認した.信頼性はCronbachのα係数で内的整合性を確認,再テストで級内相関を確認した.

    結果:因子分析の結果,5因子29項目が抽出された.モデルの適合度は,GFI = .896,AGFI = .883,CFI = .977,RMSEA = .034であり,「看護の専門職的自律性測定尺度」との相関は,r = .453であった.信頼性は,29項目全体で,α = .932であり,5因子それぞれは,α = .837~.887であった.級内相関は,ICC = .351~.904であった.

    結論:看護学生版ケアの倫理的行動尺度は,5因子29項目で構成され,この尺度の信頼性と妥当性が確認された.

  • ―無作為化比較試験による検討―
    松田 佳子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 326-333
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/14
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    目的:初めて父親になる男性が,立ち会い出産後にBirth-Review for Coupleを受けることで得られる父親らしさへの効果を明らかにすること.

    方法:立ち会い出産を希望する男性を対象に,無作為に介入群(22名)とコントロール群(23名)に割り付け,2群間比較を行った.介入群へは,出産後3日以内に夫婦一緒に出産の振り返りを行った.調査は,妊娠後期,出産後,産後1か月時に質問紙法を実施し,統計学的に分析した.

    結果:二元配置分散分析の結果,父親意識の高まり(F = 10.969, p < 0.001)と子どもの存在から沸き立つ思い(F = 5.848, p = 0.007)に有意差が認められた.またこれらは,出産後および産後1か月ともに介入前より有意に高かった(p < 0.01~0.001).

    結論:父親意識の高まりと子どもの存在から沸き立つ思いは,介入によって出産後に高くなることが明らかとなり,産後1か月まで維持されていることが示された.

  • 須坂 洋子, 寺嶋 明子, 有森 直子, 中村 由唯, 青木 美紀子
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 341-349
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/14
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:遺伝看護の実践能力を測定する尺度を開発し,信頼性と妥当性を検討した.

    方法:先行研究から遺伝看護実践能力尺度を作成した.調査1では内容的妥当性と表面的妥当性,調査2では対象者293名のデータで信頼性,併存的妥当性,既知集団妥当性の分析,モデル適合度の検定をおこなった.

    結果:内容的妥当性,表面的妥当性の検討により,6因子21項目の尺度が作成された.尺度全体のCronbach’s α係数は .96であり,信頼性が確認された.既知集団妥当性では,遺伝医療・看護の勉強会参加経験「あり」群と「なし」群を比較し,1%水準で参加経験「あり」群の総得点が高かった.また6因子21項目の仮設モデルの適合度を確認的因子分析で検討し,容認できる整合性を認めた.

    結論:遺伝看護実践能力尺度21項目6因子構造を開発し,概ね信頼性と妥当性が確保できた.

  • 田口 めぐみ, 宮坂 道夫
    原稿種別: 原著
    2019 年 39 巻 p. 350-358
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/17
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:看護師が自己規範とチーム規範との不一致によって経験するジレンマの内容,ジレンマ対応の様式,対応に影響を及ぼす因子を明らかにする.

    方法:ジレンマの内容と経験および対応について,看護経験2年以上の看護師21名にインタビューを行い,構造的ナラティヴ分析とテーマ的ナラティヴ分析を組み合わせた分析を行った.

    結果と考察:構造的ナラティヴ分析の結果から,ジレンマを経験した際の対応は,イ)ジレンマに対してチーム規範に則って行動した,ロ)-①ジレンマに対して個人の可能な範囲で行動した,ロ)-②ジレンマに対して小集団から同意を得られた場合に行動した,ハ)-①ジレンマに対して自己規範に則って行動したがチーム規範に変化をもたらさなかった,ハ)-②ジレンマに対して自己規範に則って行動しチーム規範に変化をもたらした,に分類できた.テーマ的ナラティヴ分析の結果から,ジレンマ対応に影響を及ぼす因子は,看護経験年数,異動経験の有無,周囲との対立回避,賛同者の獲得,役割意識に基づく行動であった.患者の多様なニーズへの対応には,看護師個人とチームの相互における継続的な検討が必要である.

資料
  • ―同じフィールドで行われている他大学薬学部とのIPEの試み―
    志田 淳子, 大塚 眞理子, 佐藤 可奈, 井村 紀子, 菅原 よしえ, 高橋 和子
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 1-9
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    目的:同じフィールドで実習している他大学薬学部学生とのクリニカルIPEを,看護学実習の一部に試行導入し,看護学生が認識するIPEの効果および課題を明らかにする.

    方法:A大学看護学部学生のうちクリニカルIPEを体験した4年生12名,3年生28名を対象に無記名自記式質問紙調査(自由記載,RIPLS等)を実施し,実習の前後比較を行った.自由記載はBerelsonの内容分析法を用い,統計学分析の有意水準はp < .05とした.

    結果:有効回答は4年生7名(58.3%),3年生は12名(42.9%)であった.各学年共に実習前後のRIPLS得点に有意差を認めなかった一方,4年生は専門職に求められる連携・協働の姿勢や態度を学び,3年生はIPEを通して他職種への障壁,緊張が緩和していた.課題として,学年に応じた実習目標の設定および実習方法の工夫等が示された.

    結論:クリニカルIPEの一定の効果を確認した一方で,看護学生のレディネスに応じた運営上,指導上の課題が明らかになった.

  • 吉岡 京子, 戸ヶ里 泰典
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 38-44
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    目的:妻子が自主避難した経験を持つ男性労働者(以下,避難実施群とする)の経験を明らかにする.

    方法:福島県内の32企業に勤務する2,209人の男性労働者に無記名自記式質問紙調査を行った.

    結果:分析対象者352人(有効回答率16.0%)のうち避難実施群は80人(22.7%)で,8割以上が放射線の子どもへの健康影響を心配し自主避難させていた.またその61.3%が妻子を自主避難させたことを「良かった」と評価していた.「良くなかった」と評価したことには「放射線に関して公開される情報が信頼できないから」,「家事を自力でやらなければならなかった」,「妻子が自主避難していることを誰にも相談できなかった」と回答したことが有意に関連していた.

    結論:妻子の自主避難に対する評価が低かった者は,災害時のリスクコミュニケーションに課題を感じており,家事負担の増加や社会的孤立を経験していた可能性が示唆された.

  • 菊池 有紀, 薬袋 淳子
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 54-58
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/23
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    本研究は,A貯筋教室の高齢者32名(76.8 ± 6.2歳)を対象に,自宅で実施できる身体と口,頭の体操からなる介護予防プログラム「活きいき体操プログラム」の効果と,自宅での実施継続を検討した.

    2013年と2014年の認知機能,うつ傾向,握力,片足立ち,嚥下機能について介入前後をt検定で比較し,教室への参加頻度と自宅での週1回以上の実施有無との関連を調べた.

    結果,参加頻度と自宅での実施に差はなく,身体と頭の体操87%,口の体操65%が実施していた.介入前後の改訂版長谷川式簡易知能評価スケール得点は27.9 ± 2.9点から28.6 ± 2.4点と有意に向上した(p = .02).うつ傾向,握力,片足立ち,嚥下機能に差は見られず維持していた.

    「活きいきプログラム」は,地域力を用いて自宅で実施することが可能な介護予防のプログラムであり,認知機能の向上と身体機能の維持に寄与する可能性が示唆された.

  • 吉江 由加里, 横山 孝枝, 加藤 真由美
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 157-164
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/11/06
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    目的:回復期リハビリテーション病棟(以下,リハ病棟)に勤務する看護師の多職種連携実践力に影響する要因を明らかにすることである.

    方法:リハ病棟看護師245名に,インタープロフェッショナルワーク実践能力評価尺度(CICS29)を用いて質問紙調査を実施した.単変量解析で有意差がみられた変数を独立変数とした二項ロジスティック回帰分析を行った.

    結果:CICS29に影響する要因は,「連携に関する現任教育の受講(Exp = 10.591)」,「療法士がチームリーダー(Exp = 19.455)」,「コミュニケーション能力(Exp = 1.157)」,「バックアップ能力(Exp = 1.180)」であった.

    結論:多職種連携実践力を高めるためには,連携に関する現任教育および療法士をチームリーダーとするチームの構築,多職種の理解を深めコミュニケーション能力およびバックアップ能力を高めることの必要性が示唆された.

  • 成瀬 和子, 杉本 敬子, 柳澤 理子, 神原 咲子, 近藤 麻理, 近藤 暁子, 田代 順子, 南 裕子, 中山 洋子
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 254-260
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/01/23
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    目的:日本の看護系大学院のグローバル化推進のための基礎資料を作成するため,大学院のグローバル化状況調査をおこなった.

    方法:2015年12月に修士課程を持つ156大学に無記名式調査票を郵送した.内容は①外国人教員・留学生の受入れ,②日本人大学院生の留学や海外研修,③教員の国際的研究や教育環境,などである.回答は記述的に分析した.本調査は,高知県立大学看護研究倫理審査委員会の承認を得て実施した.

    結果:回答のあった73校のうち72校を分析の対象とした.留学生受け入れは1~2割が実施,単位互換制度があるのは1校であった.また,海外の大学と積極的に交流しているのは半数にとどまった.教員は語学力や業務多忙のため,共同研究や国際学会参加は進んでいなかった.

    結論:日本の看護系大学院ではグローバル化に向けた対応の重要性は認識され様々な試みがなされていたが,語学能力強化や海外研修の推進がさらに求められる.

  • 臨床経験年数,新人教育への関与状況,職場風土との関係
    大村 優華, 廣田 大, 山上 優紀, 冨田 耕平, 辻本 朋美, 井上 智子
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 298-305
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/02/29
    ジャーナル オープンアクセス HTML

    目的:大学病院に勤務するスタッフ看護師の新人教育への思いを,臨床経験年数,教育への関与状況,職場風土の視点から明らかにする.

    方法:大学病院に勤務するスタッフ看護師1,281人を対象とし,2016年3~6月に新人教育に対する思いについて自記式質問紙調査を実施した.項目は新人教育への思い,関与状況,職場風土,属性とし,一元配置分散分析(ボンフェローニ法による多重比較)とt検定を用いて分析した.

    結果:有効回答は746部であった(有効回答率58.2%).臨床経験年数が少ない場合は教育実施時の不安や緊張を,教育への関与が多い場合は教育に対する喜びと負担感を,一体感のある・ほめられる職場風土であると認識している場合は教育を通して喜びと自己の成長を感じていた.

    結論:大学病院に勤務するスタッフ看護師の新人教育に対する思いは,臨床経験年数,教育への関与状況,職場風土の視点で異なっていた.

  • ―言語的妥当性を踏まえた翻訳版の作成―
    大坂 和可子, 青木 頼子, 江藤 亜矢子, 北 奈央子, 有森 直子, 中山 和弘
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 334-340
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/14
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    目的:本研究の目的は,患者の意思決定の葛藤をスクリーニングするSURE(Sure of myself; Understand information; Risk-benefit ratio; Encouragement)test日本語版を,言語的妥当性を踏まえ開発することである.

    方法:SURE test日本語版は,第1段階:2名による順翻訳,第2段階:順翻訳統合,第3段階:2名による逆翻訳,第4段階:研究者協議(暫定版作成),第5段階:一般市民,医療者への調査,第6段階:再検討,を経て開発した.

    結果:暫定版作成後,第5段階の一般市民と医療者32名の調査において,「わかりやすい」と回答した割合は各項目で47%から78%であった.第6段階にて言語的妥当性を再検討し,日本語版を確定した.

    結論:一連の過程を経て,言語的妥当性を踏まえたSURE test日本語版を開発した.

  • 中村 茜, 月野木 ルミ
    原稿種別: 資料
    2019 年 39 巻 p. 366-372
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/03/17
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    目的:地域共生社会実現を目指す上での訪問看護師による地域づくり推進の教育的示唆を得るため,地域づくりを推進する訪問看護師の実践を明らかにする.

    方法:先駆的に地域づくりを推進する訪問看護師7名に半構造化面接を実施し,質的記述的に分析した.

    結果:地域づくりを推進する訪問看護師の実践は,【個の看護にとことんこだわる】と【広く柔軟な発想のもと,自分たちのペースで歩む】実践を基盤とし,【安心して素の自分でいられる空間を共につくる】実践や【個の力を引き出し輝かす】実践の相互作用を受けながら【地域のつながりを広げる】実践とつながっていた.さらに醸成して【住民が自らの願いをかなえる過程を見守る】実践へと発展していた.

    結論:地域づくりを推進する訪問看護師の実践は,訪問看護活動の特徴である「個」の視点と,制度やシステムに依らない柔軟な創造性を基盤とし,地域のつながりの拡大と,住民主体の取り組みを見守る実践を主軸とした構造であることが明らかとなった.

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