日本気管食道科学会会報
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特集6 ビデオシンポジウム:内視鏡診断と内視鏡手術
中・下咽頭,下咽頭食道接合部表在癌に対する内視鏡治療
川久保 博文大森 泰安藤 崇史佐藤 靖夫杉浦 仁横山 顕
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2010 年 61 巻 2 号 p. 146-152

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抄録

【目的】われわれは中・下咽頭表在癌に対し,全身麻酔下に彎曲型喉頭鏡にて喉頭展開し,内視鏡補助下に鉗子を使用して粘膜切除を行う手術であるELPS (endoscopic laryngo-pharyngeal surgery) を開発し,施行している。【方法】2000年1月から2009年8月までに当院で治療した中・下咽頭,および下咽頭食道接合部の表在癌,168症例,265病変を対象とし,治療方法と治療成績を検討した。【結果】病変の主座は,中咽頭63病変,下咽頭195病変,下咽頭食道接合部7病変であった。彎曲型喉頭鏡による喉頭展開によって全例において食道入口部までの良好な視野が確保された。病変が食道入口部を越える病変では経口的に挿入する鉗子と内視鏡が干渉するため鉗子操作が困難であるため,下咽頭をELPSで,頸部食道をESDにて切除するHybrid内視鏡手術が有効であった。治療法は内視鏡治療233病変 (ELPS 132病変,EMRC 85病変,Hybrid内視鏡手術7病変,その他9病変),手術12病変,化学放射線療法20病変であった。Overall survival rateは3年80.2%,5年66.0%,cause-specific survival rateは3年96.6%,5年94.8%であった。【結論】中・下咽頭表在癌に対しELPS,下咽頭食道接合部表在癌に対しHybrid内視鏡手術 (ELPS+ESD) を施行することで安全かつ確実な切除および根治が可能である。

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