窯業協會誌
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高濃度の鉄分を有する赤色粘土とその焼成物のESRによる研究
石田 信伍藤村 義和今井 寛治竹内 信行Ohn MAUNG若松 盈
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1984 年 92 巻 1066 号 p. 366-371

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抄録

京都の郊外に産し, 色付き陶磁器の優れた原料として用いられる赤土粘土及びその焼成物に含まれる鉄を主にESRと近赤外分光法で研究した. 赤土粘土の反射及びESRスペクトルと鉄の水酸化物のそれを比較することにより, 赤土粘土上の鉄は水酸化鉄ゲルの形で存在していることが分った. 焼成した赤土粘土表面上の鉄は, 酸化焼成ではα-Fe2O3とFe2O3-x (x≪1, α-Fe2O3が少し還元されたもの) の形で存在し, 還元焼成ではFeO, FeO1+x (x≪1, FeOが少し酸化されたもの), γ-Fe2O3及びα-Fe2O3の形で存在することが, ESR法で分った. 更に, 赤土粘土とそれより低濃度の鉄を含む信楽粘土よりなる素地の焼成物の色の由来について, 種々の酸化状態にある酸化鉄種の有無に関連づけて議論した.

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© The Ceramic Society of Japan
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