日本大腸肛門病学会雑誌
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空置大腸に発生した腸炎(Diversion Colitis and Proctitis)の臨床的病理学的検討
岡村 孝鳥屋 城男藤田 毅袴田 安彦青木 信彦石原 通臣渡辺 正道有輪 六郎
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キーワード: 空置大腸, 人工肛門, 腸炎
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1995 年 48 巻 7 号 p. 623-628

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抄録

空置大腸に発生した腸炎 (diversion colitis and proctitis) とは腸内容が通過しなくなった大腸 (空置大腸) に発生した炎症過程である. 本症は潰瘍性大腸炎やCrohn病と併存することもあり, 空置大腸をもつ症例の診察にあたり知っておくべき疾患である. 本邦での報告はほとんどないので大腸ファイバースコープで積極的に検査し, 臨床的病理学的に検討した. 7症例のうち6例に浮腫,易出血性を認めた. さらに発赤, びらん, 潰瘍を示した症例もあった. 血性分泌を1例に認め, 残りの症例は無症状であった. 生検では粘膜固有層の炎症細胞の浸潤を全例に認めた. 高度な病変を有する症例では腺管の分岐, 変性, 上皮の萎縮, 変性, 粘膜固有層の線維化, crypt abscessを認めた. 発生頻度, 臨床症状, 生検所見は欧米の報告とよく一致した. 2例に人工肛門の閉鎖を行い, 空置大腸炎は消失した.

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