日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の癌化とサーベイランスの検討
本邦報告例の解析
鈴木 公孝渡邉 聡明畑 啓介名川 弘一
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2003 年 56 巻 2 号 p. 62-68

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抄録

本邦における潰瘍性大腸炎(UC)癌化例312例の臨床病理学的特徴について検討した.10年以上を経過した例(73%),全大腸炎型の症例(83%)に多く,発生する癌はびまん浸潤型(44%),多発型(29%),低分化・粘液癌(45%)が高頻度であった,症例を,癌による症状で発見された群(I),UCに対する検査で偶然発見された群(II),ハイリスク症例に対しサーベイランスで発見された群(III)の3群に分類した.早期癌の比率は1群で4%,II群で24%,III群で55%,単なるclinical follow-up(II群)に比し,サーベイランスを行った場合の予後は良好であった(p<0.005).サーベイランスで最初に認められた病変がlow-grade dysplasia,high-grade dysplasia,癌の場合,その後の経過中発見された早期癌の比率は,それぞれ77%(10/13),50%(3/6),21%(3/14)であった(p<0.05).UCに合併する大腸癌の早期診断にサーベイランスは有用であるが,サーベイランス群においても,Astler&Coller C症例26%,遠隔転移例15%と高率であり,より適正なプログラムが必要と考えられた.

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