日本大腸肛門病学会雑誌
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V. 大腸sm癌内視鏡治療後の経過
津田 純郎
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2006 年 59 巻 10 号 p. 874-879

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抄録

大腸癌治療後の経過観察は,治療後の局所遺残,治療後の再発,見逃されていた同時性多発癌の発見,異時性多発癌の発見が主な目的である.しかし,大腸sm癌の内視鏡治療後のサーベイランス方法には一定の見解がない現状がある.さらに,2005年に大腸sm癌内視鏡治療後の追加治療の適応基準が改訂され,大腸癌治療ガイドライン(医師用2005年版)に示された.よって,この基準に準じた大腸sm癌の内視鏡治療後の経過の現状を文献例から解析し,適切なサーベイランス方法を求める試みを行った.その結果,(1)遺残再発,見逃されていた同時性多発癌を発見するためには,治療後1年以内,特に,3~6カ月に精密検査を行う,(2)局所再発発見するためには,治療後3~5年以内に重点をおいた検査を行う,(3)遠隔転移,異時性多発癌の発見のためには,それ以上の期間の定期検査が必要となることが明らかにされた.しかし,十分な文献がなく再発リスク別のサーベイランス方法に言及することはできなかった,今後経済効率も含めた効果的,効率的なサーベイランス方法を確立することが急がれる.

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