日本作物学会紀事
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品質・加工
小麦粉のポリフェノールオキシダーゼ活性の簡易評価法の開発
伊藤 美環子西尾 善太谷尾 昌彦船附 稚子田引 正山内 宏昭
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2008 年 77 巻 2 号 p. 159-166

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抄録

中華麺においては, 明るく黄色みのある麺色が重要な品質項目の1つである. これまでの研究で, 中華麺生地色の変化量は小麦種子のポリフェノールオキシダーゼ(PPO)活性との間に高い相関関係が認められることが報告されている. 種子のPPO活性の簡易評価法であるL-DOPA(3, 4-Dihydroxy-L-phenylalanine)法によって北海道の硬質コムギ品種・系統のPPO活性の変異が推測できることを明らかにしたが, 種子のPPO活性と中華麺色の変化の関係は, 小麦粉におけるPPO活性に比べて相関は小さかった. そこで, より効率的な選抜をするために以下のような小麦粉のPPO活性の簡易評価法を開発した. 平底の培養試験管に小麦粉0.2gと10mMのL-DOPA溶液 を4mL入れ, 1時間振とう後18時間室温に放置し, 色彩色差計によって着色した懸濁液のL*, a*, b*を測定した. この簡易評価法で得られたL*値と従来法である酸素電極法による小麦粉のPPO活性値の間には高い負の相関関係が認められ, 反応液のL*値が高い系統を選抜することにより, PPO活性が低く, 中華麺の変色が少ない系統の選抜が可能であると考えられた.

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© 2008 日本作物学会
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