日本作物学会紀事
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品種・遺伝資源
インド型イネにおける穂ばらみ期および開花期耐冷性の評価
後藤 明俊笹原 英樹重宗 明子三浦 清之
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2008 年 77 巻 2 号 p. 167-173

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抄録
冷害常襲地に適応しうるインド型の多収品種を育成する目的で, 北陸研究センターで育成された多収品種・系統, および, その系譜上にある品種・系統を用い, 耐冷性の評価を行った. 「上344」, 「北陸193号」, 「桂朝2号」はインド型イネでありながら, 穂ばらみ期耐冷性が強かった. 「上344」の育成過程において, 耐冷性が強い方向に超越する現象が生じており, インド型イネに含まれる穂ばらみ期耐冷性に関わる遺伝的因子の中には, 相補的で, かつ, 強く効果が現れる因子の組み合わせが存在することが示唆された. 「水原258号」, 「上344」は開花期耐冷性が強く評価された. 「水原258号」は「上344」の親系統であることから, 両者には開花期耐冷性にかかわる遺伝的因子が存在すると推測された. この因子を見つけることはインド型イネの開花期耐冷性を改良していく上で有用であると考えられた. また, 各品種の穂ばらみ期耐冷性と開花期耐冷性との間に一定の関係はなかった.
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© 2008 日本作物学会
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