日本作物学会紀事
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直播水稲の耐倒伏性に関与する生理生態的形質 : 第2報 耐ころび型倒伏性品種の根の生育特性
寺島 一男尾形 武文秋田 重誠
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1994 年 63 巻 1 号 p. 34-41

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抄録

耐ころび型倒伏性の弱い日本の品種(日本品種)とこれの強いアメリカ合衆国の品種(アメリカ品種)および穂重型の半倭性インド型品種(半倭性インド型品種)を用い, 耐ころび型倒伏性に関連する, 物質生産, 各部位への乾物分配, 根の発達などの生育特性を比較した. アメリカ品種の単位土地面積当り乾物生産量(乾物生産量)は日本品種と同じかやや劣る傾向であったが, 根への乾物分配比率が高く, 単位土地面積当り根重(根重)も日本品種より重い傾向を示した. 半矮性インド型品種では, 乾物分配比率については日本品種との間に明瞭な違いがみられなかったが, 幼穂形成期以降の乾物生産量がより高く, これに伴って根重も重くなる傾向が認められた. さらに, アメリカ品種と半矮性インド型品種は, いずれも日本品種にくらべて心土層や作土のより深い層に根を多く分布させる傾向を示した. 各品種の押し倒し抵抗値は, 心土層中や株直下方向の層中の根重との間に正の相関関係を示した. しかし, 冠根数や冠根の株当り総断面積と押し倒し抵抗との間には明瞭な関係は認められなかった. 以上から耐ころび型倒伏性の強い品種に共通した特性は根重が重く, 土壌のより深い層へ根を分布させる点にあると判断された.

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