日本作物学会紀事
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頴花数水準が異なる水稲コシヒカリにおける発育指数対応の生長指標
山本 良孝川口 祐男高橋 渉
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1996 年 65 巻 3 号 p. 425-429

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抄録

面積当たり頴花数が異なる水稲コシヒカリの7年間39事例について, 生育データをDVI方式より整理し, 頴花数水準別に草丈, 茎数および窒素吸収量の推移をまとめた. 草丈はDVI=0.35 (有効分げつ終止期)以降, 頴花数水準間で差が拡大し, 頴花数が多い場合ほど草丈が大となった. そして, m2当たり頴花数水準30,000~35,000粒のときの草丈はDVI=0.35, 0.52 (最高分げつ期), 0.70 (幼穂形成期)および1.00(出穂期)において, それぞれ, 30cm, 51cm, 68cmそして100cmであった. また, 最終稈長も頴花数の増大とともに大となり, 倒伏の危険度が増した. 茎数ではDVI=0.35から頴花数水準間に差が認められ, その水準が高い場合, 最高分げつ期の茎数も多く, 有効茎歩合は低下した. そして, m2当たり頴花数水準30,000~35,000粒のときのm2当たりの茎数はDVI=0.35, 0.52, 0.70および1.00において, それぞれ, 400本, 700本, 610本そして410本であった. 窒素吸収量の頴花数水準間での差はDVI=0.52から有意に認められ, 頴花数の多い場合ほど, 生育の進行にともない, 窒素吸収量は増大した. そして, m2当たりの頴花数水準30,000~35,000粒のときの窒素吸収量は, DVI=0.52, 0.70および1.00において, それぞれ, 4.5gm-2, 5.8gm-2および9.1gm-2であった. また, DVI=0.52において草丈が52cm以上, 窒素吸収量が5.0gm-2以上, DVI=0.70において草丈が70cm以上, 窒素吸収量が6.7gm-2を超える場合は倒伏し易いので, 窒素中断等の対応が必要であることを示した.

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