環境化学
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首都圏西部における微量金属の湿性沈着量の経年変化と水銀の降水への取り込み
坂田 昌弘丸本 幸治
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2004 年 14 巻 3 号 p. 555-565

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抄録

首都圏西部 (東京都狛江市) における4年間の観測により, 微量金属 (Hg, Cd, Cu, Mn, Pb, Zn) の湿性沈着量の実態を明らかにした。Hg, Cd, PbおよびZnの湿性沈着量は, 大気中の濃度変化と調和して経年的に低下する傾向にあり, 特にその低下はHgとPbで顕著であった。大気中のHg, Cd, PbおよびZnは、主として周辺のごみ焼却施設 (清掃工場) から排出されており、湿性沈着量の経年的な低下はそこからの排出量の減少に起因するものであった。次に, 降水中にガス状および粒子状で取り込まれるHgについて, 微量金属の洗浄比 (=降水中濃度/大気中濃度) を基に, 湿性沈着量における粒子状Hgの寄与率を評価した。その結果, 降水に取り込まれたHgの約30~60%は粒子状Hgであり, ガス状Hgとほぼ同等な寄与であることがわかった。

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