環境化学
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14 巻, 3 号
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  • 中村 健一, 高谷 知恵子
    2004 年 14 巻 3 号 p. 495-500
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    賀茂川河口干潟から採土した土壌に各種有機物を負荷し, 好気的環境下で48時間振盪を行った後, フォスファターゼ活性の変化を測定した。その結果, アルブミン, カゼイン, オリーブ油, オレイン酸をそれぞれ, 0.1%負荷することによって有意な活性化が認められた。しかしながらデンプン, 及びグルコース負荷の場合は活性変化を生じなかった。したがってタンパク質, 脂質が負荷されることにより, 干潟土壌フォスファターゼの活性が増加することが示唆された。一方, 同条件下でATPバイオマスはほとんど変化しなかった。また無機リン酸, 及び銅イオン, アルミニウムイオンの負荷は有意に干潟土壌フォスファターゼ活性を阻害することが明らかになった。
  • 野馬 幸生, 石川 紫, 能勢 和聡, 峯戸松 勝秀, 滝上 英孝, 酒井 伸一, 泉澤 秀一, 鏑木 儀郎
    2004 年 14 巻 3 号 p. 501-518
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    使用履歴や種類の異なる保管中のポリ塩化ビフェニル (PCBs) 廃棄物28試料を対象として, PCBs異性体および, コプラナーPCBs (Co-PCBs) , ポリ塩化ジベンゾーp-ジオキシン (PCDDs) , ポリ塩化ジベンゾフラン (PCDFs) の高分解能質量分析を行った。そして, 未使用のカネクロール製品27試料との比較により, PCBsやダイオキシン類の化学組成の変化とその変動幅, PCBsの変性の有無等を調査した。同族体組成や異性体組成では, ほとんどの試料で製品PCBと類似性があったが, 安定器充填材では低塩化ビフェニルの割合が増えているものがあった。ダイオキシン類はほとんどをCo-PCBsが占めており, PCDDs/DFsは約1/10, 000程度しかなかった。ダイオキシン類の毒性等量については, いずれも相当するカネクロール製品の濃度傾向と同様, カネクロール500や1, 000の毒性等量濃度が高い傾向を示した。カネミ油症事件での熱媒体利用過程において報告されたPCBsの変性として, PCBs総量に占めるPCDFsの割合, 毒性等量 (TEQ) 総量に占めるPCDFsと個別異性体の割合について注目した。各試料を相当する製品PCBと比較した結果から, いずれの試料もPCDFs総量およびTEQの割合, 2, 3, 4, 7, 8-PeCDF, 1, 2, 3, 4, 7, 8-HxCDFの増加もなく, 使用中に特段の変性は起きていないと考えられた。
  • 佐藤 学, 澤井 淳, 菊地 幹夫
    2004 年 14 巻 3 号 p. 519-529
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    現在, ノニルフェノールエトキシレート (NPnEs) および分解生成物であるノニルフェノールエトキシ酢酸 (NPnECs) の同時分析はLC-MSにより行われているが, 分析機器が高価である等の問題点がある。本研究では, 一般に普及しているHPLCを用いて安価で簡便なNPnEsおよびNPnECsの一斉分析法について検討した。
    分離カラムにInertsil Phカラムを, 溶離液に5mM酢酸アンモニウムーメタノール/水 (65/35) を用いて分析することにより, NPnEsとNPnECsをグラジエントを用いずにエチレンオキシド付加モル数毎に分離して分析することが可能となった。
    本方法が河川水の分析に適用可能であるか確認するために, 河川水への添加回収実験を行った。河川水にNPnEs, NPnECsを添加し, pHを9に調整した後, BOND ELUT C-18で固相抽出した。固相からアセトンで溶出させ, 溶出液を乾固してHPLCの溶離液に溶かし, HPLCで分析した。その結果, NPnEs, NPnECsともにほぼ100%の回収率が得られ, 本方法は河川水の分析に十分適用可能であった。河川水を分析したところ, 長鎖のNPnECsによる汚染を見い出した。
  • 米田 健一, 舟川 将史, 中井 智司, 細見 正明, 池口 孝
    2004 年 14 巻 3 号 p. 531-543
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    産業廃棄物焼却におけるダイオキシン類 (PCDDs/DFs) の生成機構を検討するため, パイロットスケールでの産業廃棄物の焼却炉実験を行った。その結果, ポリクロロジベンゾフラン (PCDFs) 濃度はポリクロロジベンゾーパラージオキシン (PCDDs) 濃度の約10~30倍となった。また, 多環芳香族炭化水素 (PAHs) の9H-フルオレン濃度とPCDFs濃度との相関係数は0.745と高い値になり, PCDFsの生成に9H-フルオレンが関与する可能性が明らかになった。そこで, ラボスケールで9H-フルオレンの燃焼実験を行った結果, 9H-フルオレンを添加した系でのみ9H-フルオレノン, ジベンゾフランが同定された。さらに, 9H-フルオレンあるいは9H-フルオレノンを添加して燃焼させた場合, 生成したPCDFsの濃度がこれらを加えなかった対照系の3~32倍に増大した。これにより, 9H-フルオレンが9H-フルオレノン, そしてジベンゾフランを生成し, これが塩素化されてPCDFsが生成するという経路が推定された。
  • Nyein Nyein AUNG, Jun YOSHINAGA, Atsushi TANAKA
    2004 年 14 巻 3 号 p. 545-553
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    Lead exposure of children via soil ingestion has never been closely examined in Japan. We determined the lead concentrations in sand and soil samples collected from some public playgrounds in Tokyo Metropolitan Area and estimated lead intake via soil ingestion among children. The mean lead concentration of the soil of 149μm fraction was 46.4μg/g; lead concentrations of play area soil and sand samples (149μm) collected from 25 playgrounds ranged from 11.7μg/g to 248μg/g. An average daily intake of 9.28μg lead was estimated; this amount of lead intake via soil ingestion alone covers 14% of the Provisional Tolerable Weekly Intake (PTWI) of 25μg/kg of body weight set by FAO/WHO. Moreover, the weekly lead intake through soil ingestion could be as high as 72% of PTWI when children ingest soil containing 200μg/g lead. Stable isotope ratios (IRs) analysis of selected soil samples and comparison with the IRs of probable sources were carried out. The IRs of soil samples with lead concentrations higher than 100μg/g had a similar distribution to the gasoline-lead used in Japan, indicating that atmospheric particulates deposited in the past remain in surface soil despite the fact that leaded-gasoline has not been used in Japan for transportation since the 1980s.
  • 坂田 昌弘, 丸本 幸治
    2004 年 14 巻 3 号 p. 555-565
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    首都圏西部 (東京都狛江市) における4年間の観測により, 微量金属 (Hg, Cd, Cu, Mn, Pb, Zn) の湿性沈着量の実態を明らかにした。Hg, Cd, PbおよびZnの湿性沈着量は, 大気中の濃度変化と調和して経年的に低下する傾向にあり, 特にその低下はHgとPbで顕著であった。大気中のHg, Cd, PbおよびZnは、主として周辺のごみ焼却施設 (清掃工場) から排出されており、湿性沈着量の経年的な低下はそこからの排出量の減少に起因するものであった。次に, 降水中にガス状および粒子状で取り込まれるHgについて, 微量金属の洗浄比 (=降水中濃度/大気中濃度) を基に, 湿性沈着量における粒子状Hgの寄与率を評価した。その結果, 降水に取り込まれたHgの約30~60%は粒子状Hgであり, ガス状Hgとほぼ同等な寄与であることがわかった。
  • 作山 久江, 遠藤 泰志, 藤本 健四郎
    2004 年 14 巻 3 号 p. 567-573
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    従来の酸化開始剤である過酸化水素の代わりにリノール酸ヒドロペルオキシド (LAHPO) を用いて西洋わさびペルキシダーゼ (HRP) によるビスフェノールA (BPA) の酸化分解を行った。その結果, BPAを, LAHPOとともにHRPと40℃で1時間インキュベー一トすることにより, 約98%のBPAが分解された。本反応生成物は過酸化水素を用いた場合と同様に大部分が高分子の重合物であったが, 4-isopropenylphenolがわずかに生成した。また, BPAの酵素反応生成物のエストロゲン様活性をヒト乳癌細胞MCF-7を用いて調べたところ, 活性が消失することを認めた。以上より, LAHPOはHRPによるBPAの分解において有効な酸化開始剤となることが認められ, BPAの除去に本酵素反応を応用できる可能性が示唆された。
  • 服部 幸和, 清水 武憲, 岸田 真男, 鎌田 暁義, 高橋 幸治, 田村 友宣, 上堀 美知子, 山本 仁史
    2004 年 14 巻 3 号 p. 575-585
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    大阪府における河川水質及び底質中のポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン (PCDDs) , ポリ塩化ジベンゾフラン (PCDFs) 及びコプラナーポリ塩化ビフェニル (Co-PCBs) の分析を行い, 濃度分布を調査した。淀川, 神崎川, 寝屋川, 大和川及び泉州諸河川の各水域において, 水質と底質の濃度範囲や同族体プロフィールなどの特徴について明らかにした。水質, 底質に加え, 粒子状及びガス状の環境大気, 排ガス及び農薬等の同族体組成について, 主成分分析を行い, 主成分1が燃焼及び農薬 (PCP) , 主成分2が粒子状成分及びガス状成分に起因する成分と考えられた。高塩素化のPCDD/PCDFsの組成が高い地点の底質について, 大気中のダイオキシン類, 特に粒子状物質の影響が強いことが示唆された。また, PCP農薬の影響の強い地点も示された。
  • 高木 博夫, 白井 美幸, 佐野 友春, 彼谷 邦光
    2004 年 14 巻 3 号 p. 587-596
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    LC/MSを用いた総ミクロシスチン量としての2-メチル-3-メトキシ-4-フェニル酪酸 (MMPB) の定量分析は, MSをネガティブESI測定質量m/z=207, 移動相を0.001%酢酸/アセトニトリル比60: 40とすることで良い分離測定が行えた。試料を乾固せずメタノールが一定量含有した状態で酸化剤の量を0.025M過マンガン酸カリウム (KMnO4) 1ml, 飽和過よう素酸ナトリウム (NaIO4) 100μlにて酸化し, pH3の溶液で固相抽出を行うことで収率は71%になった。WHOガイドライン値1μg/lの10分の1まで測定するには50mlの環境試料を用いれば定量が十分可能であることが明らかとなった。
  • 渡辺 信久, 南 吉隆, 水谷 聡, 高月 紘, 高倉 晃人
    2004 年 14 巻 3 号 p. 597-604
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    排ガス中の中一低揮発性有機塩素化合物を定量する際に, どのような物質が, 捕集管に捕集されているのかを調べるため, モデル化合物としてクロロベンゼン類 (CBs) とクロロフェノール類 (CPs) を用いて, 異なる化合物の相対応答, Carbotrap CとCarbotrap Bを直列につないだ場合の吸着分配およびドレインの通過効率を調べた。相対応答は, 異なる有機塩素化合物であっても, 塩素原子の量に比例して, 化合物の構造に依存しない。充填剤重量0.3g, 通ガス量84の条件では, Carbotrap Cに捕集される化合物の沸点は170℃以上, Carbotrap Bに捕集される化合物のそれは70~120℃であり, 沸点が120~170℃の化合物は, 両捕集管に同程度ずつ吸着保持される。ドレイン通過効率は, CBsについては良好であったが, CPsはドレイン水に溶解し通過効率は低く, また, pHの影響を受けた。PeCPのドレイン通過効率がpHの影響を受けずに非常に低かったことから, 沸点300℃以上の化合物は, ドレイン中で冷却されて凝縮するものと考えられた。
  • 西村 和之, 中島 大介, 高木 敬彦, 大河内 由美子, 井上 雄三, 後藤 純雄, 川本 克也
    2004 年 14 巻 3 号 p. 605-611
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    全国9つの堆肥化施設を対象とした調査を行い, 原料である有機性廃棄物と堆肥化製品の変異原性を把握した。
    有機性廃棄物や堆肥化製品を対象とした抽出法は, 超音波抽出法よりもソックスレー抽出法の方が高い抽出力を示す傾向があること, 試料中にある多様な有機物質に対応する為には, 極性の異なる2種以上の溶媒 (例えば, メタノール, n-ヘキサンなど) を用いた抽出を行う必要があること, Ames試験により変異原性を検索する場合, TA98菌株に代表されるフレームシフト型変異を検出する菌株を含めた試験を行う必要があることなどが明らかとなった。同一施設に対する変異原性試験調査から, 調査時期により異なる変異原性結果が得られた。
  • 濱田 典明, 中村 裕史, 本田 克久
    2004 年 14 巻 3 号 p. 613-623
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    排ガス中ダイオキシン類捕集用のダイオアナフィルタについて, JIS K 0311に規定されている, 試料ガス採取装置が備えていなければならない5つの条件に対する適合性を検証した。その結果, 5つの条件を満足しており, JIS K 0311に例示された液体捕集部および吸着捕集部の組合せと同等の捕集性能を有していることが確認された。一方, 捕集部の温度が低くて排ガス中の水分が凝縮した状態になると, 吸着力が低下することが確認された。現在までに確認されている適用範囲は, 排ガスの性状として水分量は41%まで, 廃棄物焼却施設において平均実測CO濃度は670ppmまでの範囲である。また採取条件として, 捕集部通過流量は73l/min (120℃における湿り流量) まで, 通過CO量は1800ml (標準状態) まで, 採取量は7.1m3 (標準状態における乾きガス量) までの条件である.ダイオアナフィルタを使用することで, 準備, 採取, 抽出, 洗浄といった操作の迅速化, 簡便化が図れるのみならず, 二次汚染の危険性を極めて低減できる。
  • Kazuho INABA, Masami KANAO-KOSHIKAWA, Taeko DOI, Takashi YAMAMOTO
    2004 年 14 巻 3 号 p. 625-632
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    The extraction behavior of β-estradiol, bisphenol A and triclosan observed in a thermoresponsive poly (vinylmethyl) ether precipitate system were investigated. The three toxicants were extracted from aqueous solutions into a gum-like precipitate, which formed by aggregation when the solution was heated to a temperature higher than the lower critical solution temperature of the polymer (ca. 305 K) . An anionic surfactant, linear dodecylbenzenesulfonate was found to decrease the efficiency in formation of the precipitate and in extraction of the target chemicals. However, no such effect was found by addition of a kind of nonionic surfactant polyethyleneglycol tert-octylphenyl ether or humic acid, which are typical coexisting organic materials in environmental waters. More than 90 % of the β-estradiol and bisphenol A was extracted with 3 gl-1 of the polymer, and only 0.3 gl-1 was needed to extract more than 90% of the triclosan. The extraction capacity of the polymer precipitate for the three chemicals was around 10-4 mol per 1 g of the precipitate.
  • (2) 実炉でのLC/EChD測定値のGC/MS法による検証
    渡辺 征夫, 工藤 雅子, 倉田 泰人
    2004 年 14 巻 3 号 p. 633-641
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    都市ごみ焼却炉の排ガス中の塩素数が2および3の11種のクロロフェノール類 (CPs) を凝縮水に捕集して, 高速液体クロマトグラフィ (LC) /電気化学検出器 (EChD) 法により分析する方法の信頼性の確認をした。すなわち, 2箇所 (AおよびB) の都市ごみ焼却施設の3回の調査で採取した凝縮水中のCPsを, 測定精度が高い誘導体化 (CD) -GC/MS法で同時に分析して, それぞれの分析値を比較した。LC/EChDでは8化合物に相当するピークがほぼ定常的に検出されたが, CD-GC/MSで検出できたのは施設Aで4成分, 施設Bで2成分であった。これらのうちで2, 4- (2, 5-) DicPおよび2, 4, 6-TriCPについては, 2種の方法による値が良好な一致を示し, 施設管理などの目的には幅広い範囲 (2~7, 000ng/m3) でLC/EChDの分析値を用い得ることが確認できた。他の成分のうちで, 施設Aの2, 6-DiCPでLC/EChDの値がCD-GC/MSに比較して幾分高い程度で目安としての利用は可能であったが, それ以外のLC/EChDで観測された成分ピークは, 想定したCPs以外のものが主成分と推定された。
  • Hideaki KITAMI, Tetsuo WATANABE, Takio KITAHARA, Yoshimi ISHIHARA, Jir ...
    2004 年 14 巻 3 号 p. 643-648
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    A simple and low cost means of determining the concentration of oxine copper in tap and river water by high performance liquid chromatography (HPLC) coupled to an ultraviolet detector (UV) has been investigated. A good linearity of the calibration curve was obtained in the concentration range of 0.1 mgl-1 to 2 mgl-1 (r=0.999-0.988) . The detection limit based on S/N=3 was 0.075, μg ml-1 for oxine copper. Acetonitrile was recommended to elute oxine copper, based on method development for the cartridge-type solid phase. The recovery for oxine copper from river water spiked at a concentration of 5 μgl-1 was 88.8%, and the relative standard deviation was 3.3 % using the activated carbon column method. This analytical method was successfully applied to the determination of oxine copper in tap and river water.
  • 大野 ちづ子
    2004 年 14 巻 3 号 p. 649-660
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    指針値が定められたゴルフ場農薬を簡易な方法で測定することを検討した結果, GC/MSで一斉分析ができない農薬については, LC/MS/MSで簡易に固相抽出法等で分析できることが判明した。
    検出下限値は, イミノクタジン酢酸塩以外, 濃縮しない場合でも, 一番厳しい指針値の物質で, 指針値の1/10以下であった。
    固相抽出の抽出法は2種類で対応した。アセトニトリルで溶出する方法と, アセトンで溶出したものを乾固し, アセトニトリルに再溶解する方法であるが, 後者はGC/MSでの一斉分析の試料を利用すれば, 操作手間を省くことができる。
    イミノクタジン酢酸塩は, 後者の方法で抽出が可能であった。
    ホセチルは, 固相抽出はできなかったが, 指針値の値が高いので, 水試料を濾過するだけで測定が可能であった。
    河川水に18農薬の添加回収試験を行った結果, 良好な結果を得た。
  • 渡辺 洋一, 倉田 泰人, 小野 雄策, 細見 正明
    2004 年 14 巻 3 号 p. 661-669
    発行日: 2004/09/22
    公開日: 2010/05/31
    ジャーナル フリー
    高濃度の銅, 砒素, クロムを含む建設廃木材を現場で容易に選別し, 再生材料としての安全性を向上させるため, 市販の水質試験用簡易分析キットを用いた廃木材中金属の分析について検討を行った。その結果, 銅の試験紙タイプの簡易分析キットを直接廃木材に接触させることで, 高濃度の銅を含むものを判定可能であること, さらに, 簡易な抽出を行って砒素あるいはクロムを簡易分析することにより, CCA処理木材かどうかの判定が可能であることがわかった。
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