日本救急医学会雑誌
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症例報告
術前診断にCT検査が有用であった原発性小腸軸捻転症の1例
濱洲 晋哉佐藤 文平堀井 進一薄井 裕治
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2008 年 19 巻 4 号 p. 214-218

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抄録

症例は18歳の男性で,約5日前より腹痛が出現し,症状が増悪したために当院を受診した。来院時左下腹部を中心に圧痛が著明であり,筋性防御も認めた。血液検査では白血球上昇を認めたが,他に異常はなかった。腹部造影CT検査にて腸間膜の血管を中心として小腸が渦巻き状に巻き込まれるwhirl signの他,小腸の壁肥厚や造影効果の低下など虚血性変化を疑わせる所見が存在し,緊急手術を施行した。手術所見はほぼ全長に渡る小腸が上腸間膜動脈を中心に時計方向へ360°回転しており,腸回転異常などの解剖学的異常は存在しなかったので,原発性小腸軸捻転症と診断した。腸管壊死の所見はなく捻転の解除のみで手術は終了した。術後経過は良好であり,手術後10日目に退院となった。本症例の術前診断は困難であるが,whirl signや腸管虚血を疑う所見が造影CT検査で得られ,治療方針決定に有用であった。

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© 2008 日本救急医学会
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