日本外科系連合学会誌
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症例
大腸内視鏡検査後に横行結腸の大網穿通により皮下気腫・後腹膜気腫を発症した1例
松浦 一生河野 博光山口 佳之
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2007 年 32 巻 2 号 p. 238-241

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抄録

大腸内視鏡 (CF) 検査後, 広範な後腹膜気腫・縦隔気腫・皮下気腫を呈し, 急性腹症として開腹手術を施行した1症例を経験した。症例は93歳, 女性。他院にてCF検査後, 腹痛を訴え, 皮下気腫を認めたため, 大腸穿孔を疑われ当院紹介入院となった。入院時腹腔内にfree air, 腹水を認めず, 全身状態が安定していたため, 保存的治療をしていた。入院後3日目に腹痛を強く訴え, 左側腹部に筋性防御を認めたため, S状結腸穿孔による腹膜炎の悪化を疑い, 緊急手術を施行した。開腹時に腹水貯留はなく, 下垂した横行結腸脾彎曲側の大網付着部に裂傷を認めたが, 漿膜には裂傷が及んでおらず, 大網および横行結腸間膜を経由して後腹膜, 皮下に気腫性の変化を生じていた。腹腔内ドレナージをして手術終了し, 術後14日目に, 特に合併症なく軽快退院した。

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© 2007 日本外科系連合学会
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