2009 年 34 巻 4 号 p. 591-596
症例は52歳,男性.上腹部痛を自覚し近医を受診し,腹部computed tomography(CT)検査で腹腔内に最大径20cmの腫瘤を指摘され,当センター紹介受診となった.腹部CT,magnetic resonance imaging(MRI)検査で胃と茎で連続する径20cmの腫瘍を認め,有茎性に発育する胃粘膜下腫瘍の診断で開腹手術を施行した.術中所見では血性腹水を認め,術中迅速細胞診で間葉系細胞を認めclass IVであり,腹膜播種陽性と診断した.腫瘍は胃前庭部前壁と径1.5cm,長さ2.0cmの茎で連続しており胃部分切除により腫瘍を摘出した.摘出標本は大きさ21×18×8cmで,病理組織学的には紡錘形細胞が錯綜配列を示し,核分裂像は1/50HPFであった.免疫組織学的にはKIT,CD34陽性であった.以上より胃GISTと診断された.有茎性に発育した胃GISTの本邦報告例は29例と稀なので報告する.