抄録
馬蹄腎が並存したS状結腸癌に対して腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した1例を報告する.症例は72歳,女性.近医にて便潜血陽性を指摘される.精査にてS状結腸癌と診断され,当科に紹介となった.腹部CT検査で馬蹄腎が並存したため,3D-CT血管造影検査で過剰腎動脈の有無を確認した.術前診断cSS,cN1,cP0,cH0,cM0にて腹腔鏡下S状結腸切除術(D3郭清)を施行した.馬蹄腎は先天的異常を伴うことが多いため,術前に尿管の走行,過剰腎動脈の有無を把握し,術中の副損傷に十分注意することで,安全な腹腔鏡下手術が可能となる.